矢吹町北町の国道4号沿いに4月24日、県内初進出となる「HOTEL R9 The Yard」(ホテル アールナイン ザ・ヤード)がオープンした。特徴的なのはその外観で、「コンテナ」が客室になっている。1台1客室の独立したつくりで、敷地内には黒地に赤い線の入ったコンテナが50個近く整然と並んでいる。

公式ホームページによると運営するのは建築用コンテナ型モジュールメーカーの㈱デベロップ(千葉県市川市、岡村健史社長)。2007年設立。資本金18億1198万円。ホテル事業、再生可能エネルギー事業、建築不動産事業などを展開し、ホテルはコンテナ型をメインにカプセル型、ホステル型、民泊型と全国112カ所に進出している。
特筆されるのは、平時はビジネスホテルとして稼働するが、有事にはコンテナの特長を生かし「レスキューホテル」に変身することだ。これまでに災害や新型コロナ対応の拠点として7回、レスキューホテルとして出動要請された実績があり、国交省関東地方整備局や140を超える市町村と災害協定を締結している。矢吹町のホテルにも食料や水が備蓄され、有事にはレスキューホテルとして機能することが期待される。
フロントになっているコンテナを訪ねると、ネパール人男性のマネージャーと日本人男性のスタッフが取材に応じてくれた。
「部屋はダブルルームが40室、ツインルームが3室、デラックスツインルームが3室、計46室あります。全室禁煙です。オープンして間もなくゴールデンウイークを迎えましたが、お陰様で5月3、4日は満室でした」(日本人男性スタッフ)
ゴールデンウイーク中は観光客の利用が中心だったが、普段はビジネス客の利用がほとんどだという。
「ここから須賀川や白河に行かれる方が多いようです。建設業の方の連泊も目立ちます」(同)
フロントにはタオル大小、歯ブラシ、ヘアブラシ、T字カミソリ、ガウンなどの無料アメニティや無料ドリンクコーナーがあり、敷地内はコインランドリーや自動販売機、無料Wi―Fiも完備。外観は見慣れないが、サービスの中身は一般的なホテルと全く同じだ。
「食事は周辺の店舗で済ませたり客室に持ち込んでいただくようになりますが、デラックスツインルームならキッチンがあるので調理も可能です」(同)
客室内も見せてもらったが、中に入るとコンテナとは思えない。テレビ、冷蔵庫、電子レンジ、空気清浄機なども揃っている。ベッドマットレスは全室シモンズ製だ。
「一般的なホテルだと壁が薄くて隣の部屋の音が漏れ聞こえることがありますが、当ホテルはコンテナ同士の距離を取っているので、隣の音が聞こえることはありません」(同)
同ホテルが建つ土地はもともと㈱ホテルニュー日活(矢吹町、昨年1月に破産)が所有し、パチンコ「日活第三ホール」が営業していたが、昨年5月にデベロップが取得。今年1月に投資会社の㈱LIFULL Investment(東京都千代田区)へと売却された。矢吹町のホテルは同社の投資物件で、竣工後はデベロップにサブリースしている。コンテナなのでスクラップアンドビルドにも適していることから、投資には最適ということらしい。
他にはないレスキュー機能を備えた同ホテルが、どのような快進撃を見せるのか注目だ。