【磐梯町】佐藤淳一町長インタビュー(2025年)

【磐梯町】佐藤淳一町長インタビュー(2025年)

経歴

さとう・じゅんいち 1961年9月、磐梯町生まれ。日大工学部卒。磐梯リゾート開発取締役総支配人を経て、2015年の磐梯町議選で初当選。19年6月の磐梯町長選に立候補し無投票で初当選。23年6月の町長選で再選。

 ──2期目がスタートして折り返し地点を迎えました。前半をどのように振り返りますか。

 「私たちの子や孫が誇れる『魅力あるまち』という磐梯町のビジョンが形になってきました。3年前に総合計画の見直しを1年前倒しで行いました。そのなかで具体的な数値目標の一つとして掲げているのが『人口4000人』です。

 4000人という数字は、現在の町人口が3100人を切る状況から考えると、3割増という高いハードルです。国勢調査では町は5年ごとに約250人、年間50人程度の自然減となっています。4000人という高い目標値を掲げた理由は二つあります。一つは、純粋に人口を増やすという決意。もう一つは、職員に対してのメッセージです。『人口を減らさない、維持するだけでは不十分だぞ』と。現実的な視点は大切ですが、最終目標が現状維持では打つ手は限られます。数字を掲げることで、『どうすれば4000人に増やせるのか』と打てる手をゼロベースで考える姿勢が生まれます。

 職員たちには実績があります。ふるさと納税が良い例です。私が就任した2019年には寄付額が9000万円でした。翌年に『2億円にする』と目標を掲げたら職員からは『無理だ』と声が上がりました。結果はどうでしょう。6億円です。具体的な数値設定が不可能と思えることを可能にするエピソードです」

 ──町のポテンシャルは何だと思いますか。

 「昼間人口が多いことでしょうか。日中に町内に滞在する人口は約4000人であり、夜の人口、つまり居住人口より約1000人多い。事業所が多く立地し、日中働く場があることを意味しています。例えば、町内の主な企業3社には2000人を超える人が昼間に滞在します。このような場所は全国約1700の自治体でも稀有です。

 磐梯町に通勤している人たちがそれだけいるならば、住み良い環境を整え、町に住んでもらう仕組みを作れば、人口増につながります。

 問題は、生活する上での魅力に乏しい点や住宅不足です。そこで、2030年までに200戸の住宅を供給するという目標を掲げました。800~1000人程度の人口増を目指します。

 2030年までに50の企業を誘致する目標も掲げました。大小さまざまな企業を呼び込んで雇用を創出します。ふるさと納税で得られる寄付金を現在の7億円から20億円に増やすことも目標です。町独自の事業を進める財源になります。住宅整備、産業誘致、ふるさと納税増収の三つの数値目標に向けて動き出しています。6月の定例議会では、人口4000人を目指すためとして磐梯町人口・産業等ビジョン骨子案を提出しました」

 ──移住定住事業に積極的に取り組んでいます。成果とこれからの取り組みについてお聞きします。

 「これまで空き家対策を進めてきました。磐梯町駅前にある町所有の土地を民間に20年間無償で貸し出し、その後譲渡する形でアパートを建設していただきました。そのほか民間アパートなど含め20戸ほど建設してもらったところ、すぐに満室になりました。

 地域商社のばんだい振興公社に不動産部門を新設しました。町とばんだい振興公社が連携し、空き家をリニューアルして貸し出したり、売買したり、宅地を開発したりする事業を進めます。町と民間が連携して具体的な土地の活用を進めていきます。

 住宅メーカーからも町で事業を始めたいと申し出がありました。具体的な進め方を決めていく予定です。これらの取り組みを組み合わせながら、2030年までに住宅200戸という目標達成を目指します」

旅する公務員事業

 ──町長と職員は5月に沖縄県読谷村を訪問し、自治体間交流を目的に意見交換を行いました。今後の関係構築の狙いをお聞きします。

 「磐梯町は副町長を2人体制にしています。菅原直敏副町長が『旅する副町長』として全国の自治体を訪ね、DXなどの取り組みを共有しながら意見交換しています。互いに学ぶべき点がある自治体とは副町長の訪問を足掛かりに連携を深めています。今回の読谷村との交流は、DXの勉強会がきっかけでした。読谷村からDXについて教えてほしいと依頼があり、交流が始まりました。

 読谷村は焼き物や織物など古くから文化芸術を育む土壌に富み、村ゆかりの人間国宝の方が3人います。リゾート地であることに加え、文化芸術を柱に観光客を誘致している非常に魅力的な村です。村とはいえ、人口は磐梯町を遥かに上回る4万2000人。日本最大の村です。子どもも増え、教育も進んでいて学ぶべきことは多いです。読谷村がある沖縄はリゾート地であり、そのせいか外部企業や新たな取り組みに対してオープンな姿勢を感じました。私たちも思考を外に広げて、挑戦していくべきと思いました。

 旅する副町長事業は、自治体職員が互いの職場に移動し学び合う『旅する公務員事業』に発展します。手始めに毎年10月に開催される読谷まつりに磐梯町が誇る米と日本酒を持って参加し、食文化を通して交流を図ります。その後は、町職員を読谷村の役場に派遣したり、読谷村の職員を磐梯町で受け入れたりして、相互の交流を行う中で課題を共有し、次のステップに進めていきます」

 ──今年度の重点事業について。

 「認定こども園の整備を進めています。現在、実施設計中で、今年度中の着工を目指しています。また、既存の幼稚園を改修して放課後児童クラブも併設します。

 小学校では来年4月から学校選択制の導入を予定しております。町内には小学校が二つあります。人口減少に伴い小学校は統合される傾向にありますが、磐梯町ではそれぞれの小学校の魅力を生かし、子どもたちや親が特色ある教育環境を選択できるようにします。

 多様な教育の選択肢が、移住を考える子育て世帯にとって魅力になります。子育て世帯が移住先を選ぶ決め手になるのは教育環境です。磐梯町では、豊かな自然の中で多様な学びを提供し、デジタルなども活用することで、地方にしかできない魅力的な教育環境を提供できるはずです。

 昨年、町教育委員会内に『教育再デザインセンター』を立ち上げました。これは町の教育方針を県採用で学校に配属される教職員にも理解してもらい、共につくっていくための仕組みのひとつです。町教育委員会が昨年9月に策定した『磐梯の教育』0-15教育基本構想『多様性と包摂性があたりまえにある世界を子どもと大人でつくる』を基本理念とし、同センターを軸に質の高い教育を提供できるよう努めてまいります」

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