【森雅子】参議院議員インタビュー(2025)

【森雅子】参議院議員インタビュー(2025)

経歴

もり・まさこ 1964年8月生まれ。いわき市出身。東北大法学部卒。弁護士、金融庁課長補佐・検査官などを経て、2007年参院選福島県選挙区で初当選。女性活力・子育て支援内閣府特命担当大臣、法務大臣のほか、参議院や自民党で要職を務める。今年7月の参院選で4選を果たした。

 7月20日に投票が行われた参議院選挙・福島県選挙区で現職の森雅子氏(61、自民党)が4度目の当選を果たした。自民党派閥内での「裏金問題」で逆風が吹く中、復興や女性活躍社会への取り組みなどを訴え、議席を守った。森氏に復興への思いや公約への取り組みについて話を聞いた。 

 ――参院選で4度目の当選を果たしました。

 「本当に厳しい選挙戦でした。自民党への厳しい批判に加え、連日のように対立候補が有利・先行との報道がされました。そのような中で、皆様のご支援をいただいて当選でき、感謝の気持ちでいっぱいです。自民党福島県連の県議および各支部の支部長、役員、党員党友、選対本部、友好団体、後援会の皆様が全力で戦ってくれました。公明党に大変心強いご支援をいただいたことも大きかったです。そして何より私の公約や訴えをお聞きいただき、私を信じて大切な一票を投じてくださった有権者の皆様に深く感謝申し上げます。県民の皆様の負託を重く受け止め、お気持ちを無にせぬよう、しっかり働きます」

 ――あらためて4期目への抱負を。

 「東北地方の自民党からただ一人の当選となりました。本県と東北の復興・再生の重い責任を背負い、身の引き締まる思いです。国会内で女性の視点や母親の思いも届けます。混沌とした国内外情勢の中で我が国と本県を守っていく覚悟です」

 ――選挙公約である「森まさこ6つの約束」について。

 「①物価高対策・関税対策については、暮らしや企業経営を圧迫している物価高対策に対応すべく、所得税減税と給付を組み合わせた効果的な物価高対策を迅速に施します。ガソリン暫定税率廃止に向けては実務者協議が始まっており、今後賃金を上げていくための取り組みも進めます。この間、企業の四半期報告書制度を改正し、日本人の利益が海外に流れないような制度改正も施してきました。しかし、中小企業は賃金を上げるのも苦しい実態があるので、すべての企業が価格転嫁できるように、各種補助金で支援していきます。私の事務所では定期的に補助金勉強会を開催し、自治体や企業の皆様に国の情報を提供しています。

 ②福島の復興の前進については、震災・原発事故当時から国会議員を務めているのは、本県の自民党国会議員で、私一人になりました。世界でも類をみない大規模な複合災害に対応すべく国会では新しい法律・予算や制度を作り、追加・改正を繰り返してきましたが、私はそのほぼすべてに携わりチェックしてきました。地元議員として本県の皆様がこれまでどれだけ過酷な避難生活を送ってきたか、産業がどれだけ打撃を受けたか、風評被害に今なお苦しんでいるかを、実際に見て、聞いて、一緒に涙してきました。これらの経験を生かして復興に臨みます。

 復興には財源が必要です。3月5日の参議院予算委員会で石破茂首相に復興財源について質問し、『第3期復興・創生期間はこれまでを上回る1兆6000億円の財源を手当てする』との答弁をいただきました。まだ帰還できない地域の皆様や避難中の皆様に寄り添った復興、心のケアや教育の在り方、廃炉や中間貯蔵施設、エフレイや福島ロボットテストフィールドなどを活用した福島イノベーション・コースト構想の推進、会津縦貫道路をはじめとしたふくしま復興再生道路の完成など、山積する課題を着実に進展させていきます。

 ③観光・交通・農林畜水産業を守るについては、原発事故による風評被害は徐々に解消されてはいるものの根強く残っており、特にこの3業界が苦しんでいます。これまで設備改修に使える補助金を紹介するなどの支援を行ってきました。大阪・関西万博や、ふくしまデスティネーションキャンペーンの機会を通してPRし、国内外の誘客につなげ、観光や地域交通を再生していきます。

 自然災害のときに被害を受けやすい農林畜水産業を守ることも重要です。会津地方では62年ぶりに災害救助法が適用されるほどの豪雪となり、農業ハウスが約3200棟倒壊して約30億円の被害が出ましたが、政府に交渉して、支援のめどが立ちつつあります。後継者が安心して営める持続可能な産業にするため全力を尽くします。

 ④経済発展・ふくしまブランド産業創出については、本県発のすばらしいブランド・産業を国外に売り出していきたいと考えています。我が国は10年前に打ち出したGDP600兆円の目標を達成し、現在は800兆円を目指しています。今後も本県と我が国の経済発展に尽力していきます。法務大臣時代、会社法改正に携わり、どうすれば働く人や関係者、立地地域にも利益が回るようになるか、審議を尽くしました。本県では復興財源を活用してイノベーションを起こし、産業を発展させ、新しい製品を生み出す仕掛けを作りたいです。教育機関とも連携して、地方の企業に産業が芽生えるような新たな好循環を創出していきます。

 ⑤人口減少、医療介護、女性活躍、教育については、震災・原発事故後、多くの医師が県外に流出しました。当時、少子化担当大臣を務めており、各方面のご協力で延べ200人以上の産婦人科医の派遣を実現しました。さらに育児休業給付金の引き上げも実施しました。これからは、女性が学んだことを生かし、結婚・出産後も生き生きと働ける社会を作っていくべきで、本県でもそうした環境を実現していきたいです。

 併せて非認知教育を充実させ、本県から国内外で活躍する人材を送り出したいです。そこにかかる教育費や仕送り費用を軽減する仕組み作りにも取り組んでいきたいと思います。

 ⑥一極集中の解消、防災・国土強靭化については、デジタルやDXを利活用し、地方のどこにいても国のサービスを受けられ、豊かな生活を送れるようにしていきたいです。

 世界に類を見ない複合災害から復興してきた県民の皆様のレジリエンス(回復力)やスキルは、国内外の災害対策に生かせるのではないかと考えています。20兆円市場の防災ビジネスの世界で本県が存在感を発揮できるよう全力を尽くします」

 ――自民党内では参院選などの敗北の責任を問う〝石破おろし〟の動きが顕在化しています。

 「政治家の出処進退はご本人が決めることです。参議院選挙については逆風の中、支援してくださった皆様に感謝の気持ちでいっぱいですし、同志の落選は本当に辛い気持ちです。敗因となった自民党の不人気については、自分にも責任の一端があり、大変申し訳なく感じています。政治資金の透明性について、自分自身が気が付かなかったことを含めて反省し、制度改革を断行していきます。党内で一致団結し、若手と女性が活躍する姿を見せ国民の皆様に改革姿勢を訴えていきます」

 ――県民へのメッセージを。

 「ご支援いただいた皆様への感謝の気持ちを忘れず、ご批判やご意見も胸にしっかりとどめながら、県民のため、国のため、ふるさとの未来のために全力で働いていきます。どうぞよろしくお願いします」

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