しらいし・たかし 1960年1月生まれ。田村市(旧船引町)出身、上武大商学部卒。同市議1期を経て2021年4月の同市長選で初当選。現在2期目。
――昨年、都路地区に公設民営の複合商業施設「コ・ラッシェ都路」が開所しました。
「おかげさまで、当初の想定を大幅に上回るにぎわいを見せています。市民の皆様はもちろん、県内外からも多数の方々にご来場いただいております。
この施設の大きな特徴は、入居する3店舗が相乗効果を生み出している点にあります。震災直後から住民の生活を支え続けてきた『どーも岩井沢店』、都路地区の復興のシンボルであり田村市を代表する人気スイーツ店となった『みやこじスイーツゆい』、そして関東にも店舗を構える人気ラーメン店『麺処さとう』の3店がそろったことで、それぞれの店舗の利用者が相互に行き来するようになり、移転した店舗の売上高も増加しているようです。
単なる商業施設にとどまらず、共用スペースに地区の郷土芸能である『三匹獅子』を展示し、会議やサロンとしても活用できるようにするなど、地域コミュニティーの中心的な場所としての役割も果たしています。地区住民の方々からは『オープンして本当に良かった』といった温かい声を多数いただいており、かつて避難指示が出された都路地区の復興に向け、確かな手応えを感じています」
――市内で唯一の入院機能を有する「たむら市民病院」は現在、新病棟の建設が進められています。当初の予定より早く、今年中に開院することが発表されました。
「本市のみならず周辺地域の皆様の健康を支える、地域に根差した医療の拠点となります。予定より前倒しで開院できることで、地域の皆様により早く医療サービスを提供できることは、非常に大きな意義があります。専門性の高い良質な医療を提供し、市民の皆様が将来にわたって安心して暮らせる地域づくりを加速させます」
――福島復興道路として整備が進められてきた国道288号「船引バイパス」が3月28日に開通しました。今後期待することは。
「単なる交通インフラの開通にとどまらない、大きな意味を持つものと捉えています。船引地区の中心市街地の交通混雑の緩和はもちろん、被災市町村の復興が着実に進んでいることを対外的に示す象徴でもあります。特に期待しているのは、いわゆる『ストック効果』です。インフラが整備・蓄積されることで、地域の安全性の向上や経済成長、生活環境の改善といった効果が中長期にわたり、持続的に発揮されることを指します。具体的には、地域間の連携強化、物流の効率化、地域産業の活性化、救急搬送時間の短縮による救命率の向上などで、多分野での波及効果を期待しています」
手厚い子育て支援を実現
――子育て支援に力を入れていますが、現在の取り組みについて。
「子どもたちが明るく元気に成長でき、親も安心して生み育てることができるという『共に育つことができるまち』の実現を最優先事項としています。子育て支援は、将来の地域の活力や社会の持続性に直結する『未来への投資』と考えています。そのため、新年度からはさらに踏み込んだ施策を展開します。
一つ目は『0~5歳児までの通常保育料の完全無償化』です。これまで国が支援してきた3~5歳児に加え、新年度からは市独自で0~2歳児の保育料も助成します。これにより、就学前の通常保育料は年齢を問わず全て無償となります。共働き世帯の負担軽減や、早期の復職を希望する保護者の強力な後押しになるはずです。
二つ目は『0~12歳までの給食費無償化』の拡充です。新年度から小・中学生の給食費を助成し、小学生は無料、中学生は年額4万円(令和7年度の半額、第2子以降は無料)とします。公立保育所から小学校までの給食費が無料になることで、子どもたちの栄養確保と家計支援、教育の機会均等を図ります。
妊産婦および0~18歳までの医療費自己負担分の助成などは継続し、さらに4月からは妊娠期から地域で支援する『子育て世帯訪問支援』、就学前の発達確認と支援連携強化を目的とした『5歳児健診』を新たに実施します。本市では2006年から全国に先駆けて4・5歳児の保育料無償化を行ってきましたが、引き続き子育て支援について積極的に取り組んでいき、『切れ目のない支援』を実現していきます」
――その他、今後進めていきたい重点事業があればお聞かせください。
「市内観光の玄関口である『あぶくま洞』のリニューアル事業に係る施設整備を進めております。館内に整備するギャラリーでは、市内の観光イベントや魅力を積極的に発信し、あぶくま洞を起点として市内各地の観光施設へ観光客を誘導する『周遊』の流れを創出したいと考えています。地元の食材や伝統を感じられる飲食・産品を提供するレストラン、土産物店も設置しています。『食』を目的に訪れるリピーターの創出はもちろん、キャッシュレス化やバリアフリー化を徹底し、訪日外国人や障害のある方、高齢者を含むすべての皆様が安心して楽しめる環境を整え、地域全体の観光消費額の増加を目指していきたいと考えています」
――国や県に要望したいことは。
「昨年6月に閣議決定された『震災復興基本方針』を踏まえ、これまでの取り組みで明らかとなった課題を着実に解決するため、国・県の制度や交付金を最大限に活用し、市民生活の再建、地域産業の振興、移住・定住の促進に資する事業を継続・強化していきます。
新年度から始まる第3期復興・創生期間では、国が掲げる『創造的復興』の一層の加速を目指し、復興段階ごとの課題と実情を丁寧に把握したうえで、きめ細かな支援を継続的に実施するよう強く要請したいと考えています。また、復興は避難地域のみに限定されるものではなく、周辺地域を含めた広域的な連携によって推進する必要があると認識しています。特に支援が必要であると感じているのが、キノコ原木林である広葉樹林の再生事業です。広葉樹林の伐採・更新には長期間を要するため、原木林再生に特化した長期的な財源確保の枠組みが必要です。加えて、キノコ原木の安全性を担保するための実証・研究の継続、広葉樹の利用拡大と高付加価値化に向けた取り組みの推進についても検討を求めていきます」
――今後の抱負を。
「1月の仕事始めの際に、毎年『田村市希望の漢字』を発表しています。今年は、本市の宝を発掘・発信し、力を発揮して、経済など全てが発展する年にしたいとの思いから、『発』としました。教育や子育て支援はもちろん、農業や商工業の高付加価値化・活性化を図りながら、次の20年のビジョンを発信していきたいと思います」

























