会津若松市の玄関口であるJR会津若松駅前の整備が検討されている。昨年12月に基本計画が策定されたが、計画は大まかな方向性を定めたものであり、「肩透かしを食らった感覚だ」という声も少なくない。
高校生は「座って待つ場所もない」

年間約260万人の観光客が訪れ、会津地方の中心都市としてビジネス客も多く訪れる会津若松市。ただ、交通の結節点であり市外から来る人にとっての〝玄関口〟でもあるJR会津若松駅には課題が山積している。
例えば、バスに乗り降りする際は車道を横断する必要がある。バス停周辺には屋根がなく、場所も分かりにくい。一般車の乗降場も設けられていない。周辺の道路は朝夕の通勤・通学時間帯に渋滞し、駅前交差点は歩行者が渡れないうえ、地下歩道はバリアフリー非対応で初見だと動線が分かりにくい。
駅の前にはタクシープールや駐車場、JR貨物の物流施設などが広がり、観光地ならではのおもてなしの雰囲気や中心市街地らしいにぎわいは乏しい。駅は2004年にリニューアルされたが、駅利用者が時間を過ごせる施設は少なく、電車や家族の迎えを待つ高校生がパンを食べながら立って過ごす姿も目立つ。駅舎内には売店やコンビニ、駅の隣接地に食品スーパーの会津若松駅食品館Pivot(ピボット)はあるが、買い物を楽しめる場所は少ない。
そのため、市は駅前広場とその周辺の都市基盤の整備を進めるべく、2019年度から官民連携で調査を実施。会津若松駅前周辺まちづくり検討委員会の意見を反映させながら検討を進め、基本計画策定に至った。
同計画の基本構想は「会津らしさを醸し出し 安全で利便性の高い駅前空間と 人と情報が交流するプラットフォームの創出」。
駅前の土地は、①市有地(駅に向かって左側の公園など)、②JR東日本所有地(駅に向かって正面の駐車場など)、③JR貨物所有地(駅に向かって右側の駐車場など)に分けられ、所有者が混在している。今後は土地区画整理事業で土地の整理を行い、駅の出入り口正面にバスロータリーと自動車の乗り降り場を整備。さらに駅前交差点の渋滞緩和や安全性確保にも取り組む。
バスロータリーの左右のスペースは「駅周辺の活性化に向けて検討する用地」と位置付け、JR東日本、JR貨物と連携・協議しながら進めていく。近いうちに同社と協定を締結し、2028年までに調査・計画を終え、2029年以降、撤去・整地を進めるスケジュールだ。概算事業費は約32億円。
こうした経緯だけ聞くと、事業がかなり前進しているように見えるが、市内の経済人は「とんでもない。遅すぎてあきれてしまいます」と嘆く。
「コンサル会社を交えて5年以上かけて話し合ったのに、結局『駅前にロータリーを整備し、残りはうまく活用する』といった方針しか決まっていないわけです。肝心の『広場にどんな施設を整備するか』はこれから決めていくので、さらに時間がかかりそうです」
同市では駅前広場について、①駐車場や駐輪場、レンタサイクルなどを備えた「市内外のアクセス拠点機能」、②会津の観光情報や飲食店情報を発信する「情報集約・発信機能」、③学習スペースやカフェ、図書館、シェアオフィスなどの「滞在コミュニティー形成機能」の3つの視点での検討を重ねている。
駅利用者に聞いた〝本音〟
実際に駅前を利用する市民はどんな設備を求めているのか。市外から足を運んだ観光客に尋ねたところ、次のような声が聞かれた。
「駅の隣に喜多方ラーメンの店舗があったけど撤退してしまったので、毎回徒歩10分ほどの距離にある『喜多方ラーメン来夢会津若松駅前店』まで足を延ばしています。駅敷地内においしいラーメン店ができてほしいです」(年配男性)
「駅を降りてから会津バスの高速バスを利用する際、道路(駅前交差点)を渡って駅前バスターミナルに移動しなければならないので、容易ではない。乗りやすく改善してほしいです」(年配女性)
一方、若い世代からは滞在できる場所を求める声が相次いだ。
「電車が来るまでの待ち時間を座って過ごせるベンチがないので設置してほしい」、「駅前公園の座る場所もなくなってしまった。カフェなど、待ち時間を過ごせる場所があるといいかもしれませんね」(女子高生)
駅前に位置する岩瀬書店会津若松駅前店には学習スペースが10席用意されており、平日の18時過ぎに訪れると電車待ちの高校生が座っていた。一定の需要があることは明らかだ。
会津若松商工会議所が実施した2021年8月のアンケートで、「駅前周辺に必要なもの」として最も多かったのは「商業施設」で、全体の4割超を占めた。具体的には大型ショッピングモールやデパート・百貨店、映画館、飲食店など。今後はJR側との連携による土地活用や民間投資の呼び込みが焦点となる。
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数年前には駅周辺にシネコンの進出構想が浮上し、市内経済5団体が市に対しシネコン建設に向けた協議に当事者として参加・支援することを求める要望書を提出したことがあったが、結局、そのまま頓挫してしまった。
市民の要望を反映しながら「安全で利便性の高い駅前空間と人と情報が交流するプラットフォーム」を実現できるか。新たな施設の整備も期待されるが、まずはベンチなどの基本的な滞在環境の整備が求められる。






















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