【吉田豊】終わらない【南相馬市】悪徳ブローカー問題

【吉田豊】終わらない【南相馬市】悪徳ブローカー問題

 本誌5~8月号で、南相馬市で医療・介護コンサル、ブローカーとして暗躍する吉田豊氏について取り上げた。ずさんな見通しの事業計画を地元企業に持ち込み、損失を被った企業は多数。市内のクリニック、介護施設の実質的オーナーだが、ブラックな労働環境に数知れない職員が退職した。その後も被害は拡大し続けており、本誌には周辺から情報が寄せられている。(志賀)

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「元職員が金を渡して記事書かせた」と吹聴

 吉田豊氏は青森県上北町(現・東北町)出身。今年4月現在、64歳。公表している最終学歴は、同県八戸市の光星学院高校(現・八戸学院光星高校)卒。過去に医療法人の実質的オーナーを務めていたが、本人は医師免許を持っていない。

 若いころに古賀誠衆院議員の事務所に出入りしていた過去がある。上北町議2期を経て、青森県議選に2度立候補したが落選し、どちらも選挙後に公選法違反で逮捕された。有権者に現金を手渡しして投票と票の取りまとめを依頼する手口だった。

 復興需要にありつこうと浜通りに流れてきて、南相馬市の老舗企業の経営者に取り入り、全面的支援を受けて同市内に南相馬ホームクリニックを開設した。だが、当初からトラブル続きで給料遅配・未払いが横行するブラックな環境となったため、スタッフらは相次いで退職。クリニックの大家である老舗企業への賃貸料支払いも滞り、医師とも対立したため、同クリニックは閉院した。

 現在、地元企業が未払い分の賃貸料の支払いを求め、吉田氏などを相手取って訴訟を提起している。

 当の吉田氏はそのことを気にも留めず、昨年7月、同市内に桜並木クリニックを開院。すぐ近くに、吉田氏の親戚筋に当たる榎本雄一氏が運営する薬局「オレンジファーマシー」がつくられ、少し離れた場所に高齢者向け賃貸住宅が併設された訪問介護事業所「憩いの森」を立ち上げた。

 これらの施設は、吉田氏が準備を進めていた「医療・福祉タウン」構想実現に向けた準備と思われる。

 高齢者の住まいの近くにクリニック、介護施設、給食事業者などを設け、事業を一手に引き受けることで、大きな収益を上げる。この計画が吉田氏にとって悲願だった。公益性が高いので復興補助金の対象にもなりやすいとみられていた。

 実際に土地も購入しており、その土地を担保に、地元企業経営者から5500万円、東京都の男性から1650万円を借りている。それらの資金は事業費に充てられるものと思われたが、同地はいまも空き地のままで、10月に入ってから看板が外された。結局、計画は補助事業に採択されなかったため、収支計画が破綻し、そのままなし崩しになったようだ。抵当権が設定されているため、売るにも売れない状況だ。

 〝準備〟として開設された前出の施設も、南相馬ホームクリニック同様、ブラックな労働環境となり、再びスタッフが次々と退職した。これ以外にもバイオマス発電構想を進めるとして、巻き込まれた地元企業が倒産に追い込まれたほか、医師や医療・介護スタッフにも100万円単位で借金をしており、未だに返済されていない人もいる。

 本誌調べではコンサルタントや設計士、出入り業者、医師のために建てた住宅の造園業者などへの支払いも滞っており、吉田氏が宿泊していたホテルの料金さえ未払いが続いていたという。本誌8月号発売後、慌てて出入り業者などに金額の一部が支払われたそうだが、懐事情は末期状態にあると見るべきだろう。

 ここまでが8月までの情報だが、その後、動きがあった。

 1つは南相馬クリニック・憩いの森などで勤めていたAさんが、吉田氏関連の運営会社ライフサポート(浜野ひろみ社長)を相手取って、未払い賃金約48万円と遅延損害金の支払いを求める少額訴訟を相馬簡易裁判所に提起したこと(本誌10月号情報ファインダーで既報)。

 9月12日に同簡裁で行われた裁判には、吉田氏や浜野氏は姿を現さず、被告不在のまま、裁判官が同社に全額支払いを命じる判決を言い渡した。もっとも、Aさんによると、判決から2カ月経っても支払われておらず、今後は強制執行を申し立てる必要がある。

 2つは桜並木クリニックが8月15日付で廃止され、診療所の名称と建物はそのままで新たなクリニックとなったこと。それに伴い、院長が由富元氏から星野廣樹氏に交代した。星野氏は東邦大学医学部卒。山梨大学大学院総合研究部医学行薬理学講座などに所属し、小児科を専門としている。

 現在の診療科は皮膚科、泌尿器科、内科(同クリニックのホームページより)。非常勤の医師を採用しているようだ。過去に勤めていた医師の中には、当初約束した賃金を支払ってもらえなかったり、個人名義で融資を申し込んで金を融通するよう依頼された人もいた。そうした事実をいま同クリニックで働く医師らは知っているのだろうか。

県内外から寄せられる情報

 3つは桜並木クリニック、憩いの森で退職者が相次ぎ、新しいスタッフが入ったこと。人の出入りが激しくなったことに加え、本誌に掲載された吉田氏関連の過去記事がホームページに転載されたこともあってか、県内外からコアな関連情報が編集部に寄せられ続けている。

 吉田氏は内部で「市内に物件を購入し、新施設を開設する計画だ」と語っているようだが、少額訴訟や賃金未払い分の請求にすら応じていないことを考えると眉唾物。青森県にある吉田氏の自宅は差し押さえられている。

 驚くのは、新しく入った職員に対し、「『政経東北』の記事は元職員Bが300万円で書かせている」と吹聴していたこと。5月号記事で触れた通り、本誌は市内の経済人から吉田氏のウワサを聞き、取材活動を始めたのであって、カネをもらって書いたというのは全くのデタラメだ。

 元職員Bさんは吉田氏関連の会社の社長に据えられていた人物で、前出「医療・福祉タウン」構想の主体となる協同組合を設立するため理事となり、500万円を出資。土地購入時には金融業者から金を借りる際の連帯保証人にもなった(ほかの連帯保証人は吉田氏、浜野氏、前出Aさん、理事1人)。

 ところが、今年に入り「元本のみ返済され、利息分の返済が滞っていた」として、利息分と遅延損害金2600万円の支払いを請求されるトラブルが発生。Bさんは吉田氏と決別して退職していたのに、自宅を差し押さえられ、競売で不動産業者への売却が決まった。いわば吉田氏に人生をめちゃくちゃにされた一番の被害者だが、吉田氏は「自分こそが被害者だ」と言わんばかりに平然とデマを流しているわけ。

 「吉田氏は平気でうそをつく。われわれも事実と異なることを言われて振り回された経験がある。新たに入ったスタッフの信頼を得ようとしているのでしょう」(吉田氏のもとで働いていた元職員)

 吉田氏関連のクリニックや施設に勤め、損失を被った医師・スタッフは、現在、労働基準監督署や警察署に相談しているが、その悪質性がなかなか伝わらず、表面的な調査・相談対応に留まっている。

 ただ、吉田氏やその関連会社を相手取った訴訟準備がそれぞれ進められており、その外堀は埋められつつある。新たな被害者を出さないようにするためには、関係者が〝実態〟を伝え、近づかないように呼びかけていくことが必要になる。

 本誌では引き続き吉田氏とその周辺をウオッチしていく方針だ。

※吉田豊氏が実質的オーナーを務める介護施設「憩いの森」を南相馬市長寿福祉課が訪問した、との情報が入ってきた。同施設に関してはさまざまなウワサがある。詳細が分かり次第、記事を掲載したい。


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志賀 哲也

しが・てつや

1980(昭和55)年生まれ。福島市出身。
大手食品スーパーで勤務後、東邦出版に入社。

【最近担当した主な記事】
南相馬市ブローカー問題「借金踏み倒し」被害者の嘆き(2023年7月号)
相馬市の醤油醸造業者が殊勲(2023年5月号)

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