来年3月から9月まで、横浜市で開催される国際園芸博覧会(通称・花博)の会場に、福島第一原発事故に伴って生活空間から除去された除染土を使う計画が浮上した。これに対し、過去の除染土再利用のときと同様、波紋が広がっている。
住民グループが反対運動を展開
読売新聞オンライン(4月20日配信)に次のような記事が掲載された。
福島の除染土、来年横浜で開幕する「国際園芸博覧会」の花壇などで活用へ…官邸や万博でも実績あり
東京電力福島第一原子力発電所事故の処理に伴って生じた除染土について、政府は2027年3月に横浜市で開幕する国際園芸博覧会(GREEN×EXPO)で活用する調整に入った。放射能濃度が低い除染土を「復興再生土」として会場の花壇などに使う案が検討されている。大規模な国際イベントで安全性を広くアピールし、活用の促進に向けて理解醸成を図っていく考えだ。
複数の政府・与党関係者が明らかにした。除染土は福島第一原発周囲の中間貯蔵施設(福島県大熊町、双葉町)に東京ドーム11杯分に相当する約1400万立方㍍が保管され、45年3月までに福島県外で最終処分を完了させることが法で定められている。
環境省によると、保管量の4分の3を占めているのは、放射能濃度が1㌔あたり8000ベクレル以下の復興再生土。近くで作業しても被曝線量は年間1㍉シーベルト以下で、国際的な安全基準に合致している。活用のめどが立たないなか、政府は昨年から首相官邸の前庭や東京・霞が関の中央省庁敷地内の計10カ所で68立方㍍を使用しており、地方の出先機関などでも活用を進める計画だ。昨年の大阪・関西万博では復興再生土を使い、アケビなど12種類の草木を植えた鉢植えが展示された。
公益社団法人・国際園芸博覧会協会が主催する園芸博は来年3月から半年間、横浜市瀬谷、旭区にまたがる米軍施設跡地の100㌶ほどが会場となり、1000万本の花や植物で彩られる。61の国・国際機関が参加を予定するなか、自民党内からも「国家事業の園芸博で復興再生土の活用は大きな意義がある」との声が上がる。
放射能濃度が比較的高い除染土を含め、政府は最終処分場の候補地を「2030年頃に選定・調査を始める」としており、復興再生土の活用を通じて国民の理解を進め、最終処分の実現につなげる狙いだ。
来年3月から9月まで横浜市で開催される国際園芸博覧会(通称・花博)で、除染土再利用を検討しているというのだ。大規模な国際イベントで、除染土を再利用することで、安全性を広くアピールし、活用促進を図る狙いがあるとみられる。
この問題の発端は、東京電力福島第一原発事故を受け、放射性物質を取り除く除染作業が県内広範囲で実施されたこと。これによって発生した除染土壌は、双葉・大熊両町に設置された中間貯蔵施設に運び込み、30年間(2045年3月まで)、適正管理した後、県外で最終処分することが法律で定められている。
一方、国は管理しなければならない除染土壌の容量を減らすことで、県外最終処分を受け入れてもらいやすくしようと、放射性セシウム濃度が1㌔当たり8000ベクレル以下の除染土壌を公共事業などで使用する「除染土再利用計画」を進めている。最近、この計画について、環境省は「除染土壌の復興再生利用」というフレーズを使っている。
同計画に関しては、これまでに南相馬市や飯舘村で実証事業を行ってきた。ほかにも実証事業の計画はあったが、近隣住民の反対を受け、計画を断念した経緯がある。県外でも、埼玉県所沢市と東京都新宿区で実証事業計画があったが、同様の理由で進んでいない。県外での実証事業は施工予定業者との契約が破棄になり、事実上の白紙状態になっている。
一方で、首相官邸や霞が関の中央省庁敷地内での使用実績がある。もっとも、その総量は全体からしたらごくごくわずかでしかない。
環境相は「決定ではない」

それはともかく、前述の読売新聞の報道があった翌日(4月21日)、石原宏高環境大臣は閣議後の記者会見でこの件について問われ、以下のように話した。
石原大臣 霞が関周辺での復興再生土の利用について。福島県内の除去土壌等の県外最終処分に向けての鍵となる、復興再生土の利用については、昨年から首相官邸や霞が関の中央官庁で開始し、理解醸成に活用してきました。それを踏まえて、政府として、新たに防衛省と最高裁判所で復興再生利用をすることとしました。これらを通じ、一層の理解醸成が図られることを期待しているところであります。引き続き、昨年の関係閣僚会議で決定したロードマップに基づき、2045年3月までの県外最終処分の実現に向けて政府一丸となって取り組んでまいります。
記者 来年3月から半年間、横浜市で開催される国際園芸博覧会の会場の花壇等で、除染土を活用する方向で検討されているという一部報道がありました。事実関係と、事実の場合、具体的な内容と狙いについて教えてください。
石原大臣 報道については承知しております。復興再生利用を実施する上では国民の皆様への理解醸成が重要であります。昨年の大阪・関西万博においても、除去土壌を用いた鉢植の展示を行い、多くの方に必要性や安全性を御理解いただく機会となったところであります。こうした実績を踏まえて、引き続き関係省庁ともよく相談をしながら検討を進めてまいりたいと思います。
記者 狙いについて国際的な場でアピールすることは。
石原大臣 今言ったようなことは、報道は承知しておりますが、決定事項ではないです。
石原大臣は花博での除染土再利用について「検討を進めるが、決定事項ではない」との見解を示した。
以前、本誌で取材した除染土再利用に反対している市民グループ「放射能拡散に反対する会」の関係者によると、「地元では『横浜花博に汚染土を持ち込ませない会』が立ち上げられ、放射能ばらまきを止めていくための活動や勉強会などが行われている」という。
過去の除染土再利用計画と同様に波紋を広げている格好だが、本誌で再三指摘しているように、除染土再利用によって管理しなければならない除染土の容量を減らしたところで、最終処分場を受け入れてもいい、というところが出てくるとは思えない。そう考えると、「除染土再生利用は除染土を全国にばら撒くだけ」といった意見が出てくるのもやむを得ない。まずは県外最終処分の道筋を付けることに全力を注いでもらいたい。

























