天栄村にある愛犬家に人気の宿泊施設「エンゼルフォレスト白河高原」内のレストランを利用した64人が食中毒になった。同施設では昨年10月にコテージ火災が発生し、宿泊者1人が死亡。隣の宿泊客からは施設の安全管理体制の不備を指摘する声があった(本誌1月号「天栄村 犬同伴コテージ『死亡火災』の一部始終」より)。火災を目撃した男性が、今回食中毒が起こったレストランの過去の様子を振り返った。
神奈川県在住のペットショップ経営者、大和田兼次さん(仮名・50代)は、エンゼルフォレスト白河高原を愛犬たちと共に頻繁に利用していたが、もう来ることはない。宿泊した昨年10月30日未明、隣のコテージが全焼し、宿泊者1人が死亡した上、施設側から避難誘導がなく命の危険を感じたからだという。この火災では若い夫婦と犬が被害に遭い、妻の20代女性が急性一酸化炭素中毒で死亡した。夫の30代男性は左手甲と額にやけどを負った。大和田さんは、避難する中で夫が泣き叫ぶ姿を目にしたが、その周囲には一緒にいた小型犬の姿はなく、吠え声も聞こえなかった。
それから半年後の5月、施設のレストラン「ラピーナ」で食中毒が発生した。施設は同5日にバイキングを利用した客から体調不良の申し出を受けて食事提供を休止し、保健所と共に原因を調査していると同7日に発表した。ネット上には「向かっている途中に『宿泊できない』と伝えられ逆ドタキャンされた」との声があった。
県中保健所が調査を進め、料理を食べた64人が食中毒になったと断定した。食品衛生法に基づきレストランは11~13日の3日間、営業停止となった。地元紙記事によると、7歳から70代の男性計27人と10代から70代の女性計37人が食中毒に遭い、5日の夕食でバイキング形式で提供されたローストビーフやちらし寿司、あら汁などを食べ、同日午後9時以降に下痢や腹痛、嘔吐などの症状を訴えたという。5日の夕食でレストランを利用したのは305人だった。
大和田さんは今回食中毒が起こったレストランを利用したことがあった。間取りは、両端に約50人ずつ収容できるホールがあり、中央の細長い空間に食事が並べられている。上から見るとちょうどダンベルのような形をしているという。
「食堂自体は、清潔感がありました。犬同伴宿泊施設の食堂の衛生状況は酷いところはもっと酷いが、客が退席した後もテーブルを掃除するなど当たり前のことはしていました」(大和田さん)
一般の食堂よりも食中毒が起こりやすい原因として挙げるのが、客が犬を同伴している点だ。
「宿泊者の9割は愛犬を連れています。テーブルの高さも犬と同じ目線になって食べられるように調整されている。100人近くの会場に同じ数だけ犬がいれば、中には吠え合って唾液を飛ばしたり、犬の毛が舞ったりするのは避けられません。もっともこれはエンゼルフォレストに限らず、どこの犬同伴型施設でも一緒。犬同伴が可能な食堂にはこのような問題が付きまとう中、保健所が施設にどのような指導をしたのかが気になります」
施設は全国で犬同伴型宿泊施設を展開する㈱エンゼルホテルズ(東京都千代田区)が運営。同社は㈱エンゼルグループ(新潟県湯川町)の連結子会社だ。同グループはリゾート専業の不動産業としてバブル期の1988年に創業した。エンゼルフォレスト白河高原は、バブル期に東京建物㈱(東京都中央区)が「レジーナの森」の名称で開業し、2016年にエンゼルグループに売却。首都圏に近いハイクラスの犬同伴型宿泊施設を売りにして人気を集めている。さらなる来客を見込む中、安全性の向上は待ったなしだ。


























