COMPANY(WHDC)㈱」のグループ傘下に入った。同社は企業支援などを手掛け、「人助けM&A」を社是に掲げる。福島丸公の経営難を支援する形でWHDCが買収した。上場企業ではあるが、一般消費者相手ではなく主に企業支援を手掛けているため福島県民には耳なじみがない。公開資料から、そのさまざまなM&A実績を追った。
「人助けM&A」社是のWHDCとは

福島市の老舗水産卸売㈱福島丸公は4月1日、株式のほぼ100%を東証スタンダード上場の「THE WHY HOW DO COMPANY(WHDC)」(東京都)のグループ会社に売却し、同グループ傘下に入った。これに伴い、創業家出身の石本朗代表取締役会長(75)が退任し相談役になり、長女の理恵氏(46)が新たな代表取締役に就いた。取締役社長には昨年3月に水産物卸売の仙都魚類(仙台市)社長を辞任し、同9月から福島丸公の執行役員社長代理を務めていた吉田浩之氏(63)が就いた。WHDCから支援を受け、創業家と同業他社出身の社長の下で再建に臨む。
福島丸公は1941(昭和16)年創業。長年にわたり福島市公設地方卸売市場の水産部を担ってきた。同社によると、東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故の影響で不振が続いていたという。業績は次ページの通り(売上高と純損益の目盛りが異なることに注意)。
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石本朗相談役は震災が決定的な打撃だったと振り返った。
「もともといわき産の取り扱いが多く、震災・原発事故前は仕入れの6割を占めていた。活ガツオなど独自の品もあり強みだった。それが一旦ゼロとなり、震災前の30%の水準に留まるため、福島市の消費市場まで回ってくる分が少ない。燃料高騰で運送費が上回ってしまう」
黒字化のためには、単純計算で売上高80億円を確保する必要があるという。
大規模スーパーが独自の流通ルートを確保する中、卸売の業態は厳しい。地方では人口減少が進み、市場は縮小する。今年2月、福島丸公に手を差し伸べたのが、「人助けM&A」を掲げるWHDCだった。同社は、弁護士法人カイロス総合法律事務所(東京都・大阪府)の代表弁護士を務める田邊勝己氏(65)が筆頭株主権代表取締役会長に就いている。代表取締役社長は亀田信吾氏。
弁護士出身の田邊氏はWHDCの経営に携わるきっかけについて、「東京商工リサーチ TSRデータインサイト」(2024年7月15日配信)のインタビュー記事でこう話している。
《私が色々な実業をやっていたこともあり、資金の相談を会社側から受けたことがきっかけだ。経済的にも支援しないといけない雰囲気となり、携わることになった。携わってから7年が経ち、苦労しているが、なんとか再建をやり遂げたいと思っている》
業績は、売上高拡大の方針の一方で純損益は赤字が続く。
同社ホームページに真っ先に掲げているのは次の言葉だ。
《我々が提供するのは「第三の道」人助けM&A
それは、売却を前提とするファンド型でもなく、親会社の色を強く反映させる事業会社型でもない、もう一つの選択肢です》
要するに、社員、関係者、地域社会にとって最善の形で事業承継を実現することだという。
X(旧ツイッター)では次のように力を込める。
《M&Aは、決して数字だけの取引ではありません。経営者の⼈⽣、従業員の誇り、お客様との絆。そのすべてを守り抜く“⼈助け”であるべきです》
市場食堂の運営譲渡
これまでM&Aで取得した子会社には、東京・渋谷センター街の飲食施設や、教育人材会社、純金製品などを扱う貴金属関連の会社などがあった。福島県中島村ゆかりの音楽家、小室哲哉氏の知的財産権を管理する会社も持っている。福島丸公のような地方の企業は長野県飯山市の建設会社がある。WHDCは、グループ会社㈱エバーオンワード(東京都)を通じて福島丸公の株式を取得した。
WHDCの活動を通じて、全国各地、そして海外とのパイプも多方面に渡り太いようだ。『中央公論』2022年2月号のインタビュー記事では、次のように述べる。
《――過去のご経歴も凄いですが、現在は在境港カンボジア王国名誉領事のお仕事まで引き受けておられます。こちらはどんな経緯で就任されたのですか?
WHY HOW DOとしてカンボジアの政府機関とDX化の話を詰めてきたのですが、調印直前にコロナ禍に襲われて、そのまま中止になってしまったのがきっかけです。ビジネスとしては流れてしまったのですが、この時に深い信頼関係を築けたことから何度か名誉領事就任の打診をいただいて、最終的にお引き受けすることになりました。鳥取県内に長年の顧問先がありましたので、中国地方の管轄区域を選ぶことになったのです》
カンボジアをはじめ海外諸国は本国出身の大使以外にも日本人を名誉領事に任命し、各地に名誉領事館を置いている。田邊氏が任命されているカンボジアについては、鳥取県境港市以外にも、大阪市、福岡市に名誉領事館がある。東北では仙台市に最近まであったが閉鎖された。
福島丸公はグループ企業として、仲卸・水産物加工販売の福島水産㈱、不動産管理の㈱ラヴィバレなどを持つ。再建に当たり、人員整理を行った。市場内で運営していた「市場食堂」は、今年2月に惜しまれつつ一時閉店閉店。別の事業者が引継ぎ、今年5月18日からリニューアルオープンした閉店。
最後に、WHDC会長の田邊氏になぜ一地方都市の水産物卸売のスポンサーを買って出たのか聞いた。
「私の先祖は仙台出身で東北には縁を感じます。3・11ではいてもたってもいられず岩手県釜石市にボランティアに行きました。福島市と県北地方の食卓を支えてきた企業は今後も存続させねばと思います。38年間弁護士業をする中でM&Aのノウハウを磨きました。支援するかどうかの決め手になるのは、最終的にはお会いした時の直感です。福島丸公さんは経験豊富な新社長から経理の方にいたるまで仕事ぶりに今後の成長を感じました」

























