毎年6月は株主総会の時期。東証プライム上場企業である幸楽苑(郡山市)の株主総会リポートのほか、県内上場企業一覧や経済界で話題になったトピックスを紹介したい。
【幸楽苑】総会リポート
再生から進化へ――6月18日、郡山市の郡山ビューホテルアネックス4階で開かれた幸楽苑の株主総会は、いまの同社の勢いを象徴するような盛り上がりだった。
令和元年東日本台風の被害や、コロナ禍などの影響で業績が落ち込んだ同社。経営を立て直すため、相談役に退いていた創業者・新井田傳氏(82)が、2023年6月に会長兼社長として現場復帰した。
新井田氏は「原点回帰」をキーワードに、不採算店舗の整理、店舗改装、エリアマネージャー制度復活、「中華ダイニング」メニュー導入や期間限定商品の開発、販促チラシ見直しなどに着手。それらの経営再建策が功を奏して業績が上向き、2026年3月期は2期連続の増収増益を達成した(詳細は次頁の表を参照)。
今年の株主総会では、2027年3月期から新規出店を再開し、駅前立地への出店を積極化する方針が示された。また、経営が軌道に乗ったこのタイミングで、新井田氏が社長を退き、代表取締役会長に就任。経営再建のリーダー役を担ってきた、専務取締役営業本部長の芳賀正彦氏が、代表取締役社長営業本部長に就任することが発表された。
質疑応答では「今後の海外展開の可能性」、「環境問題やフードロスへの対応」、「他業態の出店計画の可能性」、「今後の価格戦略」など、多岐にわたる質問が出た。過去には質問ゼロで終わることもあったが、それだけ同社の今後に関心を持つ株主が増えているということだろう。
興味深かったのは、「株価が低いのが不満」という質問が複数あったこと。新井田氏は「4年間続いた赤字のマイナスイメージが払しょくされていないのが要因の一つ。業績は上向きなのでいましばらく猶予をいただきたい」と述べた。ちなみに2026年6月期は株主優待券に加え、2年ぶりに配当金を出した。
新社長の芳賀氏は「駅前店舗の成功や新マーケットの開拓を通じて企業価値の向上に全力を尽くし、株主への適切な利益還元を目指す」と抱負を述べた。専務時代からXで積極的に情報発信しており、プロスケーター・羽生結弦さんのファンなどからも信頼されている芳賀氏。
カリスマ的な創業者と、SNSで人気の新社長のもとで「再生から進化」を実現することができるのか。なお、本誌9月号では芳賀新社長のインタビューを掲載する予定だ。
上場企業株価・業績一覧
全国の上場企業の2026年3月期決算が出そろい、純利益の総額は5年連続で過去最高を更新した。全体を牽引しているのは、AI需要を追い風に業績を伸ばしている半導体、データセンター関連の業界。さらに日銀の政策金利引き上げで運用利回りが改善して、業績好調の銀行業界もこの動きを後押しする。
日経平均株価は6月に7万円代となったが、その後は利益確定売りや米国発の関税政策への警戒感などから調整局面に入り、7月24日の終値は6万4611円となっている。
その一方で、中東情勢悪化による原材料価格の高騰、トランプ関税などが逆風となって、業績を落としている企業もあり、明暗が分かれている状況だ。県内に本店・主力工場を置く上場企業(プライム、スタンダード)の業績からも同様の傾向が見て取れる(表参照)。

県内に本店を置くプライム企業の中で、最も売上高が多いゼビオホールディングスは、本業の儲けを示す営業利益が前期比66・2%減となった。ECシステム関連費用や人件費、店舗費の増加などが響いた。加えて、ゼビオアリーナ仙台へのアイスリンク設置(本誌6月号参照)の改修費用や建物寄付に伴う固定資産処分損など、多額の特別損失を計上したことも響き、21億6400万円の当期純損失となった。
同じく小売のハニーズホールディングスも「節約志向が強く、客数が伸び悩んだ」として、売上高2・6%減、営業利益21・8%減、当期純利益23・8%減と業績を落とした。
一方で、日東紡はAIや半導体などに使われるガラス材料を手がけているほか、円安や固定資産売却益もあって業績を伸ばし、株価も前期比で3倍超に上昇した。前期の時点で金相場上昇を追い風とするアサカ理研、めっき需要が堅調な山王の株価が上がり、航空・宇宙・防衛分野が主力事業のIHIなども業績、株価ともに伸長した。
地銀3行も業績を伸ばしており、特に東邦銀行は過去最高の経常収益となった。利上げに加え貸出残高も増加し、貸出金は過去最高の4兆2506億円となった。3行の株価が上がっているのは、こうした業績を反映したものだろう。
なお、昨年まで上場企業に名を連ねていた冠婚葬祭業こころネット(福島市)は燦ホールディングス(大阪市)との経営統合に伴い、1月29日に上場廃止となった。ダイユーエイトなどを展開するアレンザホールディングス(福島市)もコーナン商事によるTOB成立などに伴い、6月26日に上場廃止となった。
少子高齢化、人口減少、原料・燃料高、後継者不足など企業を取り巻く環境は厳しさを増す一方であり、経営統合やM&Aの動きが活発になっている。県内上場企業でもさらなる動きがあるかもしれない。
ゼビオHD大株主が話題
株主総会関連のトピックスの中でも、触れておきたいのが、ゼビオホールディングスの大株主一覧だ。
ゼビオホールディングスの大株主
| 1 | 有限会社サンビック | 825万2000 | 19.94% |
| 2 | 公益財団法人諸橋近代美術館 | 450万0000 | 10.87% |
| 3 | 有限会社ティー・ティー・シー | 412万1000 | 9.96% |
| 4 | 日本マスタートラスト信託銀行(信託口) | 263万4000 | 6.37% |
| 5 | 諸橋輝子氏 | 139万2000 | 3.36% |
| 6 | 諸橋友良氏 | 117万4000 | 2.84% |
| 7 | ステート・ストリート・バンク・アンド・トラスト・カンパニー505001 | 110万1000 | 2.66% |
| 8 | RHB合同会社 | 90万0000 | 2.18% |
| 9 | 四家千佳史氏 | 50万0000 | 1.21% |
| 10 | ゼビオグループ従業員持株会 | 45万2000 | 1.09% |
創業家やその関連会社、ゼビオグループが運営する美術館の運営法人、従業員持ち株会、投資・信託会社などが並ぶ中、目を引くのが9位に名を連ねた四家千佳史氏だ。
1968年生まれ、福島県出身。日本大学卒。1997年に建設機械レンタル業BIGRENTAL(ビッグレンタル)を創業。2007年に建機大手コマツ(小松製作所、東京都)子会社のコマツレンタルと経営統合し、同社の代表取締役社長に就任。現在はコマツ常務執行役員ソリューション本部長を務める。
保有株数は50万株。個人株主として異例の保有規模だ。過去10年間の有価証券報告書では大株主として確認されておらず、ゼビオグループとの資本・業務提携につながるような関係も表立って確認されていない。そのため、県内財界関係者の間でも「なぜこれほどゼビオ株を保有しているのか」と関心を集めている。
早速、同社に四家氏へのインタビュー取材を申し込んだが、今回は日程が合わないとのことで、コメントを取ることが叶わなかった。今後、その保有目的や投資方針が明らかになるのか注目される。

























