福島県議会は来年秋の改選を前に「議員定数等検討委員会」(渡辺義信委員長=白河市西白河郡)を立ち上げ、定数見直しを進めているが、その議論が佳境を迎えている。
同委員会はこれまでの議論で、急速な人口減少などを背景に、全県の定数を現行の58から1減として57とする方針を固めた。県議会の定数は2003年以来、20年以上にわたって58が維持されてきたが、久々に見直しに踏み出す格好だ。
議論の土台となったのは、今年5月に公表された国勢調査結果(速報値)だ。前回(2020年)調査では、県人口は約183万3000人だったが、2025年調査では約171万2000人で、約12万1000人減(約6・6%減)となった。7月7日に開かれた同委員会では人口減少を踏まえた削減論が多数を占め、全県での1減が既定路線となった。
だが、最大の課題はこの後にある。削減される「1枠」の配分をどの選挙区にするかという問題だ。この間の報道等を見ると、人口激減が続く双葉郡選挙区(現行定数2)が削減対象になるのではないかとの見方が強い。
双葉郡選挙区(8町村)は、震災前の2010年国勢調査では、人口が約7万3000人だったが、原発事故による全町・全村避難などを経て激減。2025年調査では約1万8000人と、約4分の1に減少した。一時期はもっと少なかったが、「被災地の声と復興課題を県政に届ける代表が必要」として、定数2を死守してきた経緯がある。
しかし、全県的な1減が決まり、その有力候補地とされたことで「1票の格差論争」と「被災地特有の事情を考慮してほしい」といった住民の思いが衝突するのは避けられない状況となっている。
1票の格差で見ると、双葉郡は県内他地区(他選挙区)に比べて、議員1人当たりの人口が極めて少なく、全国的な格差是正の裁判基準に照らしても1減の対象に挙げられるのはやむを得ない。しかし、原発事故の被害を受けた双葉郡に、そうした制度上の基準を単純に適用していいのか、という問題もあるのだ。
地元住民の胸中は複雑だ。長引く避難生活や帰還率の低迷を背景に、ある地元住民は「いまの状況では仕方がない。多くの人が戻らない中で、どうでもいいという人も少なくない」と、半ばあきらめに似た冷めた本音も漏れる。
その一方で、地域に留まり復興に向けて注力する関係者からは、強い危機感も上がる。
「確かに人口(実住人)は大幅に減っているが、いまの双葉郡の事情も考慮してほしい」
実人口だけでなく、廃炉作業に従事する膨大な作業員、インフラ整備や企業誘致によって一時的(中長期的)に双葉郡で生活する人、新しく加わった移住者など、実生活や産業空間としての双葉郡は数字(国勢調査結果)だけでは測れない部分があるのも事実。
加えて、まだまだ復興途上にあり、今後は帰還困難区域(特定帰還居住区域)の避難指示解除も控える。そんな中で、「県政とのパイプが細くなるのは心配」といった声もある。
同委員会は今後、8月28日(※本誌は締め切りの都合上、当日の決定内容を把握できていない)に会議を開くほか、9月上旬に1回、9月定例県議会の会期中に1回の計3回開催される。最後の会議で最終報告をまとめ、9月定例県議会に条例改正案として提出される見通しとなっている。
全県1減の対象は本当に双葉郡になるのか。「被災地特有の事情」と「議会のあり方」を問う決断になるだけに、その行方に注目が集まる。
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に向けて掲げられたプラカード。過激な言葉が並んだ=2025年10月19日、仙台市青葉区河北新報提供-002_eyecatch-520x305.jpg)



