福島復興再生特別措置法に基づき、福島国際研究教育機構(通称F―REI=エフレイ)が発足してから1年以上経過した。
同機構の仮事務所は浪江町内のふれあいセンターなみえ内に開設された。本施設の予定地はJR浪江駅西側の同町川添地区約14㌶で、本部棟など必要な施設が2030年度までに順次整備される。
同機構では今後、50程度の研究グループを作る方針で、外国人を含む研究者が500人規模で周辺に住む見通し。町では3月、そうした変化を想定して浪江国際研究学園都市構想を策定した。
駅東側では11・6㌶の敷地に総事業費約250億円(用地買収を含む)を投じて再開発事業を進める。完成は2026年度末になる見通しで、新設される商業施設のキーテナントはイオン東北になることがすでに発表されている。大型開発を控えていることもあってか、3月に発表された浪江駅周辺の地価公示価格は最大1・15%上昇した。
相双地区の不動産業者によると、まだ目立った動きはないようだが、人の動きは少しずつ活発になっており、アパートの紹介などを依頼されることも増えているという。エフレイの仮事務所には約90人の職員が勤めているが、同機構の担当者によると、大半は浪江町、南相馬市、富岡町などに住んでおり、その他、各自治体に少数いるとのこと。意外にも浪江町に集中しているわけではないようだ。
「双葉郡内の実家から通う職員などが1、2人いるかもしれないが、例えば、『移住してきたエフレイ職員が川内村に住み始めた』なんてことはない。そう考えると、移住者増による経済効果は一部の町村に限られそうです」(不動産業者)
ある浪江町民は「町民のためになる施設でなければ町内に立地している意味がない。爆発的に人口が増加することを期待したい」と述べる。ただ、創造的復興の拠点をうたっている以上、他の町村としても恩恵に授かりたいという思いはあろう。そのあたりのバランスが同機構にとっての今後の課題になりそうだ。
