政経東北|多様化時代の福島を読み解く

元社長も贈賄で逮捕されたマルト建設

政治

 県会津農林事務所発注の公共工事の入札で、設計金額を教えた見返りに賄賂を受け取ったとして、県警本部捜査2課、郡山・会津坂下両署は1月23日、収賄の疑いで県職員の寺木領容疑者、贈賄の疑いで会津坂下町の土木建築会社・マルト建設の社長上野清範容疑者、同社営業部長棚木光弘容疑者を逮捕した。

 地元紙などの報道によると、寺木容疑者は2019年4月から22年3月まで同事務所に勤務し農業土木工事の設計・積算を行っていたが、そこで知り得た情報を上野・棚木両容疑者に教え、謝礼として飲食、宿泊、ゴルフ代など26万円相当の賄賂を受け取ったとされる。一方、マルト建設が同じ期間に同事務所発注の公共工事を落札したのは17件だが、寺木容疑者が設計・積算を直接担当したのはその中の1件だけだった。県警は、寺木容疑者が自分の担当以外の入札情報を何らかの方法で入手し、同社側に教えていたとみて調べを進めている。

 地元ジャーナリストによると「マルト建設は、農業土木分野では地元で後発だったが、農林事務所とパイプをつくるなどして、今ではトップを争う位置にいる」。逮捕された棚木容疑者は社内で官公庁発注工事を担当し、以前は別の農業土木会社に勤務していた。

 「私は会津農林事務所幹部と業者連中のつながりを疑ったことがあるが、今回の事件が別の展開を見せるのか注目している」(同)

 同社と言えば、上野容疑者の父で元社長の清隆氏(2008年死去)も1999年に当時の会津農地事務所が発注した農業土木工事に絡む贈賄事件で逮捕され、懲役1年執行猶予3年の有罪判決を受けたが、農林事務所とのパイプづくりは昔も今も行われていたことになる。

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