ネット馬券浸透で閉鎖に追い込まれた【オープス磐梯】

ネット馬券浸透で閉鎖に追い込まれた【オープス磐梯】

 磐梯町にある東京シティ競馬の場外馬券売場「オープス磐梯」が閉鎖されることになった。10月25日付福島民報によると、12月末で馬券販売を終了し、3月3日までの払戻期間終了後に施設を閉じるという。

 本誌8月号「情報ファインダー」では、オープス磐梯の名前は出さずに「某場外ギャンブル施設が閉鎖する」と報じていた。

 《関係者によると、年々売り上げが落ち込んでいた中、インターネット投票の急速な拡大で施設に足を運ぶ人が減り、そこに新型コロナが追い打ちをかけた。新型コロナが収束後も客足は戻っていないという。

 「一つの公営競技だけでは売り上げを確保できないと、他の公営競技も扱おうと模索したが、話がまとまらなかったそうです。来年3月末に閉鎖する方向で主催者と協議中と聞いています」(関係者)》

 ただ東京シティ競馬では、4月16日にホームページ上でオープス磐梯の閉鎖を発表。マスコミが知るのが遅かっただけのようだ。

 オープス磐梯はもともと、新潟県競馬組合の場外馬券売場として2000年にオープンしたが、02年に新潟県競馬が廃止され、その後は南関東公営競馬の馬券を販売していた。

 施設を所有するのはマルト不動産㈱(会津若松市)、同社から施設管理を委託されているのは㈱オープス磐梯(磐梯町)で、運営は特別区競馬組合(大井競馬を主催する特別地方公共団体)が100%出資する㈱ティーシーケーサービス(東京都品川区)が行っていた。

 一般的に場外施設の売り上げは公表されないが、立地する自治体に毎年度納める協力費から推測できる。協力費は「年間売上の1%」が相場なので、100倍すれば場外施設の売り上げが見えてくる。

 オープス磐梯(施行者の特別区競馬組合など)が磐梯町に納めている協力費(同町では「販売交付金」と呼ぶ)をもとに推測した、2013~22年度の売り上げは別表の通り。年々落ち込み、新型コロナが発生した20年度に大きく減っている。

2013年度7.9億円
2014年度6.9億円
2015年度6.9億円
2016年度5.8億円
2017年度5.2億円
2018年度5.9億円
2019年度4.4億円
2020年度2.8億円
2021年度3.4億円
2022年度3.6億円


 オープス磐梯に限らず場外施設はどこも苦戦しているが、実は地方競馬は今、過去最高の経営にある。2022年度は地方競馬にとって初の売り上げ1兆円超えを記録した。

 興味深いのは、1991年度に1500万人だった場外施設の入場者が年々減り、新型コロナが発生した2020年度には74万人まで落ち込んだにもかかわらず、売り上げは11年度以降伸びていることだ。

 背景にはネット投票の急拡大がある。2022年度の売り上げ1兆0704億円のうち、ネット投票は9割に当たる9621億円を占めた。これに対し、場外施設は1割にも満たない817億円。オープス磐梯が閉鎖されるのは必然と言える。

 今後の課題は跡地利用だが、土地建物を所有するマルト不動産に尋ねると「3月までは払戻業務があるので今後どうするかは何も決まっていない」(担当者)という。担当者によると、施設の継続に向けて東京シティ競馬と協議してきたが打開策が見つからず、閉鎖発表後も他の公営競技と連携できないか模索したものの「どの公営競技もネット投票が主になっており、場外施設の維持は難しいとのことだった」(同)。

 オープス磐梯は▽JR磐梯町駅から車で10分の場所、▽建物の解体費が多額、▽他の用途で使うのは簡単でない――等々の理由から跡地利用は難航するとみられる。

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