昨年10月の衆院選直前に選挙区内の祭りに参加した団体に現金を寄付したとして、元衆院議員の亀岡偉民氏(70)=自民党を離党=が公職選挙法違反(寄付行為)の罪に問われている。選挙で落選後、同12月に書類送検されてからは沈黙していたが、今年4月以降、「違法性はない」との認識を示し無実を訴えている。10月3日に福島地裁(島田環裁判長)で開かれた初公判では無罪を主張した。11月5日の第2回公判でも徹底抗戦の構えを崩さない。初公判をリポートする。
福島・二本松の祭りに25万円寄付で公選法違反疑惑
亀岡氏は昨年10月15日に公示された衆院選直前の同3~13日の間に、自身が立候補した選挙区(福島1区)内の福島市や二本松市で行われた六つの祭りに参加した27団体に計25万円を寄付したとして公選法違反に問われている。自民党の旧派閥で行われていた政治資金収支報告書の不記載問題、いわゆる裏金問題で逆風が吹き、選挙では立憲民主党の金子恵美氏に敗れた。亀岡氏自身も2018年からの5年間で計348万円の不記載があった。亀岡氏が公選法違反で立件されたのは、裏金問題に関わり、落選したからだと言われている。検察が二の足を踏む現職の国会議員ではなく「狙いやすいところから狙った」ということ。
落選から間もない昨年11月に家宅捜索を受け、同12月に書類送検。今年3月に在宅起訴された。家宅捜索以降、沈黙を続けていたが、今年4月にマスコミの取材に無実を訴えた。事務所は維持し、秘書も雇い続けている。会費制のゴルフコンペを主催したり、熱烈な支持者が集まる会合で挨拶したりするなど関係者には健在ぶりをアピールしている。
福島地裁で開かれた初公判に、亀岡氏は弁護団を引き連れてきた。検察側は亀岡氏が「福島メセナ協議会」の名義で会費を装って寄付していたとするが、亀岡氏は「公訴事実は違う。私は無実です」と主張した。「福島メセナ協議会の会長は私ではない」というのが、自身が寄付したわけではないと主張する理由の一つ。協議会の設立と活動は前回衆院選前のことであり、「選挙とは全く関係ない」とも述べた。
検察側の証拠によると、亀岡氏は同年10月3日と5日、祭りに参加する計4団体に「衆議院議員亀岡偉民」と書かれたのし袋に現金を入れて渡した。衆院解散後の同月11~13日には計23団体に現金を入れたのし袋を渡した。袋には「福島メセナ協議会」と書いてあった。
亀岡氏が昨年10月の衆院選間近に現金を渡した祭り参加団体は次の通り。日付は訪問日。
3日 飯坂けんか祭り(八幡神社例大祭・福島市飯坂町)の2団体
5日 二本松の提灯祭り(二本松神社例大祭)の2団体
11日 針道のあばれ山車(諏訪神社例大祭・二本松市東和地区)の6団体
12日 湯野稲荷神社例大祭(福島市飯坂町)の6団体
13日 松川提灯祭り(福島市松川町)の祭り本部
13日 福島稲荷神社例大祭(福島市)の10団体
1団体に付き1万円が相場で、福島稲荷神社の場合は5000円の時もあった。亀岡氏はのし袋を手渡す時に衆議院議員の肩書きが書かれた名刺や祝い状も一緒に渡していたという。金銭を渡しても「会費」として納め、金銭に見合う対価をもらっていれば言い訳が立つが、会費を受け取った祭り団体側は「会費としては受け取っていない」と検察の取り調べに軒並み陳述。選挙区内への寄付行為が衆院選直前だったことで、より疑いの目が向けられた。
検察が祭り団体の台帳を確認したところ、福島メセナ協議会は2001年ごろから福島市内の祭り参加団体に5000円を寄付していたと記録されていたという。2022年に衆院選の区割りが変更され、二本松市が新たに福島1区に組み込まれると、同市の祭り団体には23年から5000円を寄付するようになった。24年になると、福島市と二本松市の祭り団体への寄付は1万円に増額された。
亀岡氏は、自分と福島メセナ協議会は全く関係がないので、仮に協議会が寄付しても違法性はないと主張している。これに対し、検察側は衆院議員としての亀岡氏と福島メセナ協議会が一体であることを示そうとしている。
例えば検察によると、亀岡氏の事務所は昨年10月16日に「福島メセナ協議会」の名義で福島市の青少年会館会議室を予約。「亀岡偉民時局講演会」という行事名で申し込んでいた。さらに、市内のまちなか広場の利用を市に申請。申請書の使用団体は「福島メセナ協議会」、目的は「街頭演説」、「選挙の第一声」と書かれていた。検察は、協議会が亀岡氏の選挙活動を最前線で担い、亀岡氏と一体であることを示す何よりの証拠と言いたいようだ。
閉廷後、亀岡氏は秘書や弁護団と共に報道陣の取材に応じた。
記者たちからメセナ協議会の活動と自身の政治活動が一体化していたのではないかと問われると、
「全く別物だから役員も何もやっていません」
と関係性を否定した。協議会の会長は秘書の名前になっている。
亀岡氏からは「圧力をかけられた」との物騒な発言もあった。疑惑が報じられて以降、沈黙を続けた理由を記者から尋ねられた時のことだ。
「最初の段階で圧力をかけられて脅かされたことがありました。人に迷惑をかけるわけにはいかないので(沈黙は)仕方がありませんでした。ただ、しっかりと説明責任は果たしていきます」
ある記者が「圧力というと?」と聞いたが、亀岡氏は「それは申し上げられません」と含みを持たせた。
傍らの秘書が「圧力といっても本人の捉え方の問題ですので」とフォローした。
亀岡氏の初公判は55席の一般傍聴席に115人が並んだ。抽選の倍率は約2・1倍だったが、本誌は6人で臨んでようやく1席確保できた。確率は当てにならない。だが、実際は傍聴席は少なくとも3席空いていた。マスコミが必要以上に確保して結局来ないのが原因。マスコミは常に記者席が割り当てられているので必要以上に取る必要はない。余分に当たったら外れた傍聴者に譲ってあげてほしい。
県中地方からわざわざ来た自民党員は抽選に外れて帰っていった。党員こそ見るべき裁判だった。次回は関係者が傍聴できない事態が起こらないことを願う。

























