さくま・のぶゆき 1958年生まれ。㈱日進堂印刷所代表取締役社長。福島県印刷工業組合理事長。福島県中小企業団体中央会常任理事、同副会長を経て昨年6月に会長就任。
現場主義による伴走型支援を継続
――昨年6月に福島県中小企業団体中央会長に就任されました。この間の経緯と就任の抱負についてお聞かせください。
「本中央会の役員としては、2012年6月に福島県印刷工業組合理事長として理事、2018年6月に常任理事、2022年6月に副会長を経て、昨年6月6日に第12代会長に就任と相成りました。役員歴は12年になります。会長就任後、福島県をはじめ全国中央会の役職、関係機関の委員等に就任し、各会議に出席しながら、中小企業組合及び傘下組合員の現状について発言するとともに情報収集に努めてきました。
現在、中小企業・小規模事業者の多くは人手不足や物価高の問題、価格転嫁の課題を抱えるなど大変厳しい経営状況です。1社では対応が難しい時こそ、中小企業が連携して対応していくことがより重要になっています。
まずは会員である県内500余りの中小企業組合の声を真摯に聞きながら、業界の発展・推進のため国・県等関係機関と連携し、会員組合の皆さまの伴走支援に全力を尽くしてまいりたいと考えます」
提言・要望活動に注力
――円安・原油高・物価高騰の影響で県内の中小企業は苦境にあえいでいるのが実態ですが、現状についてどう認識されていますか。
「会員組合の現場の声を丁寧に聞き取るため職員による巡回指導をはじめ、相談業務を実施しています。円安による仕入れ価格上昇、原油高の収益圧迫、物価高騰に対応する価格転嫁の難しさなどにより、県内中小企業は非常に厳しい状況にあると認識しています。このような状況下にあることを踏まえ、国・県に対し支援策の拡充、対策の強化など政策提言・要望活動に注力しています。これまでの主な活動として①9月6日の福島県の予算編成に対する要望、②10月24日の全国大会要望(福井県)、③12月9日の政府予算の要望を行ってまいりました」
――非常に厳しい経済環境の中、中小企業の経営力強化に向けて中央会ではどのような役割を果たしていく考えでしょうか。
「昨年6月から中小企業等の人手不足解消のためスタートした『中小企業省力化投資補助事業』の事務局として、事業の活用につなげるためセミナー等を開催し、事業の周知、相談業務に取り組みました。また、喫緊の課題となっている適切な価格転嫁を推進するため、県や関係機関とも協力しながらパートナーシップ構築宣言の普及・推進等に努めてまいりました。これらの活動が奏功し取引先との価格交渉の環境は徐々に改善していると感じています。
本中央会としては、引き続き危機感・スピード感を持って、県内中小企業組合及び傘下組合員が抱える問題や課題の解決を図るためさまざまな支援事業をタイムリーに活用するとともに、国・県等関係機関との連携を深めながら、県内経済が着実に回復・成長できるよう役職員一丸となって全力で取り組む所存です」
――今後の重点事業についてうかがいます。
「これからの重点事業については、6月の通常総会にて決定いたしますが、現場主義による伴走支援を継続しながら会員組合の声を国や県に要望として届けていくことが本中央会の大きな役割と認識しています。 中小企業が慢性的に抱える労働力不足、原材料・エネルギー価格の高騰、最低賃金の急激な上昇、事業承継などの問題をはじめ、DXの推進や生産性向上、カーボンニュートラルへの取り組み、頻発する自然災害に備えた事業継続力の強化等の課題に対する支援事業が必須となります。これらの点を踏まえ、『現場主義による迅速かつ的確な伴走支援』、『組合・中小企業の活性化や事業承継への対応支援』、『人材確保等への対応支援』、『生産性・付加価値向上の実現や地域資源活用による地域経済・地場産業の活性化支援』等の基本方針を掲げ鋭意取り組んでまいります。
また、国の経済対策として2024年度補正予算で編成された『中小企業生産性革命推進事業』における中小企業の競争力強化を目指す5つの補助金(ものづくり補助金、IT導入補助金、持続化補助金、事業承継・M&A補助金、成長加速化補助金)や2025年度当初予算における物価高、人手不足等厳しい経営環境への対応ならびに中小企業・小規模事業者の活性化、地域課題解決に向けた取り組み支援の推進等のための措置を有効に活用しながら、各種支援事業を積極的に進めていく考えです」