【本宮市】高松義行市長インタビュー

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【本宮市】高松義行市長インタビュー

 たかまつ・ぎぎょう 1954年生まれ。大正大仏教学部卒。1995年から旧本宮町議。2007年から本宮市議、2011年1月の市長選で初当選。現在4期目。

 ――無投票で4選されました。

 「3期目に続いて4期目も無投票になり、これをどう捉えるかは有権者の皆さんがそれぞれ考えることだと思いますが、大きく分けて2つ言えると思います。1つは本宮市政に対して無関心な方の増加、もう1つは信任していただいたということです。どちらにしても、無投票で信任をいただいたことについては責任を重く感じています。また、政治や市政に全く関心がない市民がいることにも大きな責任を感じなければならないと思っています。いずれにしましても、無投票で4選を果たし、4年間の市政執行の機会をいただいたことについて、謙虚にその思いを受け止めながら一生懸命やっていきたいと考えています」

 ――選挙後は人口減少対策を最優先課題に挙げていました。

 「一言で『人口減少対策』と言っても難しい課題で、特効薬はありません。まずは市民サービスをバランスよく提供していくことによって住みよさや安心度、快適度、幸福度が生まれてくると思っています。子育てや教育面、学力向上などはもちろん、高齢福祉やインフラ整備など、一つひとつ丁寧に市民の方々の思いに寄り添った中で、バランスがとれた市民サービスをつくり上げていく必要があると思っています。

 もう1つ、大切なのが発信力です。本宮市は住みやすくたくさんの方に住んでいただいています。そのことをしっかり発信していくことに加え、それをどこに発信するかも重要です。おかげ様でここ2年間は転出より転入が多く、社会動態は増加に転じていますが、県内の近隣自治体での人口移動では意味がありません。やはり首都圏や他県の方々にこの福島県、本宮市に住んでいただきたいと思っており、そのための施策を講じていきたいと思います。しっかりとした発信力を持ちつつどこに向けて発信していくかを重要視しながら、人口の減らない本宮市をつくっていきたいと思います」

 ――以前から白沢地区の人口減少対策に取り組んでいます。

 「様々な施策を展開してきましたが、なかなか実績として上がっていません。まずは焦らず白沢地区の良さを知ってもらう取り組みが必要と思い、交流人口や関係人口拡大に取り組んできました。白沢地区には岩角山や震災後にはプリンス・ウイリアムズ・パークが整備され、そういった白沢地区にある名所を生かしながらいい部分を発信してきました。

 いま検討しているのがゲストハウスのような宿泊体験施設です。1週間ほどお試しで白沢地区に住んでいただき、白沢地区の住みよさを味わってほしいと思います。その宿泊体験で気に入っていただいた方に住居をどう提供していくかも大事ですが、せっかく農村に住むのだから、それぞれ古民家のような空き家に住みたい方、新居を建てるための土地が欲しい方、加えて農地も欲しい方など、好みがあると思います。その辺の思いを汲みながら、どう紹介していくかといったきめ細かいサービスを行うことが大切だと思います」

新たな公共交通を模索


 ――子育て世代の転入を増やすうえでは教育面も重要です。

 「教育環境は子育て世代にとって非常に大切です。家族で住むことになれば、高校進学のための学力を心配する方も多く、子育て世代へどう対応していくかというのは大事ですし、学力ばかりではなく体力向上も重要です。教育委員会でも、それぞれの学校において、課題を明確にしながらプログラムに沿って学力向上を目指す取り組みを行っています。

 また、妊婦の方や出産後6カ月以内の産婦の方に向けて、市では『出産ママヘルプ事業』と銘打ち、家事や育児の支援が必要なご家庭に、ワンコインでヘルパーを派遣する事業を行っています。市内には子どもが遊べる場所が多く、いまは恵向公園の整備を行っており、子どもばかりでなく高齢者も楽しめる公園を提供できたらと思います。おかげさまで子育て世代の転入も増えていますが、今後も様々な施策を続けていきたいと思っています」

 ――昨年からは定額タクシーの実証運行を行ってきました。

 「市民の皆さんの様々な声を聞きながら、本宮市の新公共交通システムをつくりあげるべく取り組んでいますが、その1つが会員になれば定額料金で一般の小型タクシーを利用できる『まちタク』です。市内の一部の地域では、以前よりデマンドタクシーを行っていますが、行き先が限定されるなどサービスが行き届いていませんでした。そこで『まちタク』は、乗降できる施設を大幅に増やしました。また、いままでの巡回バスをコミュニティバスに変更するなど、市内の公共交通システムを大幅に変更する取り組みを行っています。これは福島大学の吉田樹准教授をアドバイザーに迎え、様々な年代の市民と一緒になってつくりあげています。実証運行を行っている『まちタク』は利用者の反応も良く、改善を加えながら10月1日を目標に新たな公共交通システムの一つとして導入を図りたいと思っています。

 移動手段のない高齢者はもちろん、移住してきた方々には自家用車や免許を持たない方もいますから、そういった方々への一定の交通手段は確保できると思います。また、鉄道が運休した際の代替交通としてバスが活用されており、移動手段の選択肢の1つにこういった公共交通システムは必要と実感しています。当然、それを維持できる財政状況を守っていくことも必要です」

 ――JR五百川駅周辺整備を進めています。

 「駐停車場の整備工事が着工しました。駅前が狭く危険だったため、まずは安全な駐停車場の確保を目指しています。今後はJRとの協議でトイレやバリアフリー化の整備を随時進めていくことになります」

 ――本宮インターチェンジ周辺の開発も進められています。

 「五百川駅周辺整備や交通の利便性に加え、人を呼び込めるような施設を考えたとき、商業施設がいいのではと思い、様々な商業施設と交渉しています。ほかにも様々な企業と交渉を進めていますので、いい形にしていきたいと思います。完成すれば多くの人々が集まる場所になり、渋滞も予想されますので、そういった対策も合わせて進めていきたいと思います」

 ――今後の抱負を。

 「市民の皆様から4年間の舵取りを任されましたので、市民の方々と一緒になって元気な本宮市をつくる先頭に立っていきたいと思います。これまでの12年間は震災・原発事故や水害、地震、そして新型コロナウイルスなど市民の皆さんにも多くの苦労があったと思います。これからの4年間は市民の皆様が穏やかに過ごせて活気あるまちになるよう努力していきたいと思います」

本宮市のホームページ

掲載号:政経東北【2023年3月号】

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