【福島市】木幡浩市長インタビュー

【福島市】木幡浩市長インタビュー

 こはた・ひろし 1960年生まれ。東大経済学部卒。自治省(現総務省)に入省し岡山県副知事、消防大学校長、復興庁福島復興局長などを歴任。現在市長2期目。

 ――2022年度の除雪関連の予算を過去最大の8303万円に拡大しました。1月の大寒波の影響をお聞きします。

 「昨季の大雪では、除雪に対し市民の皆様から厳しいご意見をいただきましたが、今季は教訓を生かした対応ができたと思います。必要な予算の確保はもちろん、除雪を体系的に行うためのマニュアルを作りました。市民の皆様にもメールで降雪・凍結情報を即時に知らせています。

 隅々まで除雪するには市民の皆様の協力が必要です。小型除雪機の貸し出しはこれまでも行っていましたが、今季は台数を増やし、周知を図りました。その結果、貸出実績は以前に比べるとかなり増えました。

 岡部など東部地区の関係者とは、除雪アダプト制度という決めた範囲を責任を持って除雪する協定を締結しました。ありがたいことに丁寧な作業のおかげで生活道路の除雪体制は改善が図れたと思います」

 ――政府は5月8日から新型コロナウイルス感染症の位置付けを5類に引き下げると発表しました。3月13日からはマスクの着用が緩和されます。「出口」が見えてきた中で市の経済や観光振興についての施策をお聞きします。

 「『出口』に至るためには何よりも感染防止を徹底していくことが必須です。世代別で死者数が最も多い高齢者の感染は何としても防がなければなりません。高齢者と面会する場合のマスク着用などは、これまでと変わらず続けなくてはならないと考えています。

 経済活性化に関して言えば、心強いのは『道の駅ふくしま』という地域活性化の核ができたことです。年間の目標来場者数は133万人でしたが、オープンから約9カ月で150万人に達し、売り上げも11億円を超えました。冬季の来場者が減る傾向にあるので、引き続きイベントやツアーなどを仕掛けていきますが、今春には『周遊スポット魅力アップ支援事業』を活用したスポットが続々オープンします。例えば、温泉旅館であれば魅力ある露天風呂を、観光農園であればインスタスポットを作り、点ではなく面で福島市を巡る楽しみを創出する仕組みを整え、それを物販にもつなげていきます。 

 福島市は新商品が生まれる傾向が弱い印象があるので、道の駅をベースに事業者同士の連携を深めて商品を作り出し、併せて発信もするというアンテナショップの役目をより強めていきます。

 ふるさと納税の返礼品はその一環であり、私としては福島市のPRにとどまらず、マーケティングという地域経済活性化に即効性のあるものとして考えています」

 ――福島駅東口で行われている市街地再開発事業について、当初計画より事業費や市が負担する補助金が増え、今後の精査によってはさらに増える可能性が指摘されています。

 「資材が高騰しており、事業費増は避けられません。ただ精査をすることで、増えるだけではなく減らせる部分も見つかります。事業費圧縮に努めることを肝に銘じて精査を続けています。

 国などからの補助金は通常であれば定率なので、資材が高騰しても増えるわけではありません。市としてはその状況を考慮し、さらに補助金を要請していきます。ただ国も、再開発事業が止まれば都市としての魅力が低下すると強く懸念しているので、負担軽減に向けた制度を作っている途中です。

 また、完成後の運営を効率的に行うことも非常に大事です。今のうちから運営母体を決めて、その上で大規模・国際的な会議の誘致活動をしていきます。かかる経費はできるだけ収益で賄っていける基盤を作りたいと思っています」

 ――市が昨年9月に発表した中期財政収支の見通しも非常に厳しい状況です。市債残高は膨らみ、2026年度には財政調整基金と減債基金の残高がなくなり、財源不足を埋められず必要な予算が立てられなくなると試算されています。

 「財政は厳しいですが、やるべき事業はやっておかないと、後々の負担は逆に増えてしまうと考えます。いま手を打たなかったことで、都市の魅力が下がり、人口減少がますます進んでしまうことも危惧されます。そうなれば活力が失われ、街としてもっと苦しい状態に追い込まれてしまう。必要な事業を先送りすることなく実施していくことが大事だし、私はその精神でこれまでも取り組んできました。

 人も富も集中する東京は民間が都市の魅力向上を果たしてくれる面が強い。しかし地方は、行政が主導的な役割を果たしていかないと都市としての存在感が低下していきます。私はそういう意識で、これからも市政運営に努めていきたいと思います。そのためにも行財政改革や事業の取捨選択、デジタル化などを進めていきます。

 一方、『稼ぐ』という点では福島市が開発した全国的にも珍しい『議会答弁検討システム』を売り出していきます。本来は民間が稼げるようにするのが一番なのですが、行政自らが『稼ぐ』ことを意識し、財政の持続可能性を達成したいです」

 ――老朽化する消防本部、市立図書館など、市内には建て替えが必要な公共施設が多数あります。どのように対応していきますか。

 「すべての施設を建て替えるのは財政状況を考えると困難です。再編統合や規模縮小など多少痛みを伴うこともあるかもしれません。

 とりわけ消防本部は災害対策の要ですから、耐震面に大きな問題がある状況は1日でも早く解消しなければなりません。

 これから本庁舎西側で市民センターの建設が本格化します。同センターには市民会館や中央学習センターを再編統合した機能が備わります。一方、消防本部は市民会館の跡地に建設する計画です。市立図書館も老朽化が著しいですが、新たな建設場所などは決まっていません。財政状況にもよりますが、まずは消防本部の建て替えを優先し、その後、市立図書館の建設に着手できるよう検討を進めたいと思います」

 ――念願だった古関裕而さんの野球殿堂入りが実現しました。

 「祝賀ムードを維持しながら古関裕而記念館での発信に努めていきます。野球殿堂入りの証しとなるレリーフを展示し、多くの方に見に来てもらえるようにしたいと思います。

 野球の試合を県営あづま球場で開き、古関さん作曲の歌で応援合戦をするのも一つのアイデアだと思います。今回の野球殿堂入りを機に、福島市を野球の聖地の一つにできないかと密かに考えています。

 古関さんの曲は親しみがあって心地よい、古びないメロディーです。世代を超えて古関さんへの愛着を継承できる仕掛けを街なかに作っていきたいと思います」

福島市のホームページ

掲載号:政経東北【2023年3月号】

 

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