おおうち・ひろゆき 1956年8月生まれ。高崎経済大卒。第一温調工業(株)代表取締役を経て、2024年12月1日より取締役会長。(一社)福島県空調衛生工事業協会副会長を経て、2020年5月から現職。
安心して働ける業界を目指す
――建設業界でもいわゆる働き方改革がスタートしました。会員企業の現状とこれからの課題についてうかがいます。
「昨年4月から建設業においても働き方改革がスタートしており、主な内容は時間外労働時間の上限制限規制です。
時間外労働時間に関しては調査していないため不明ですが、建築設備工事の工程は、建築工事、電気設備工事と共に工事を進めるため自社のみで働き方改革を実現できないのが実態であり、施主、他工種のご協力を得ながら4週8休での適正な工期の発注をお願いしていく必要があります。
また、2019年の労働基準法改正により義務付けられた年5日の有給休暇取得については、昨年12月に実施した有給休暇実取得日数のアンケート結果では97%が5日以上取得しており、3%は今後取得予定となっています」
――人手不足による影響が業種を問わず深刻な中、会員企業の状況と主な対策についてうかがいます。
「これも昨年12月に実施した従業員の充足状況のアンケート結果によると『充足している』が16%、『不足気味、不足している』が計84%となっており、慢性的な人手不足の状況です。今後も学校訪問を通じた業界のアピール活動などを継続する考えです」
――2025年度の重点事業についてうかがいます。
「若手技術者の技術力向上のため、事業計画の重点目標事業の一つとして『空調衛生等設備工事の技術力向上に関する事業』があります。
2024年度は、特別技術講習会において法改正によるアスベスト事前調査の報告制度および環境負荷が少ない冷媒を使用したエアコンの安全対策について研修を行いました。また、経営体質強化を目的に実施した経営改善研修会では、これからの時代に求められる『イクボス』をテーマに外部講師による講義と参加者によるワークショップを行い、各社の課題などについて議論を深めました。
2025年度も引き続き会員の方々へ有益な研修などを実施していく考えです」
――今後の抱負を伺います。
「国や県において『2050カーボンニュートラル宣言』が発せられるなど地球温暖化防止は喫緊の課題と考えます。私どもは、空調設備、給排水衛生設備において、より効率的な機器や供給方式を提案していきたいと考えます。
また、少子高齢化に伴い、担い手の確保が難しい状況ですが、若年層の入職促進・定着、従業員の雇用の維持のためにも、安心して働き続けることができる魅力ある空調給排水衛生工事業界にすることが大切と考えます」