【原町商工会議所】遠藤充洋 会頭インタビュー【2025年】

【原町商工会議所】遠藤充洋 会頭インタビュー【2025年】

経歴

えんどう・みつひろ 1967年生まれ。原町高校、国学院大学法律学部卒。原町青年会議所理事長や原町ロータリークラブ会長などの要職を歴任。2016年から副会頭を務める。

 原町商工会議所の新しい会頭に遠藤充洋氏(原町港湾運送㈱代表取締役社長)が選任された。地方経済が厳しさを増す中、同会議所の管内は震災・原発事故からの復興という難しい課題も抱える。遠藤会頭には地元経済界のトップとして、会員事業所への支援やまちづくりの推進、行政に必要な要望や提言をしていくことが求められる。

 ――新会頭に就任しました。

 「会頭としての責務の大きさに身が引き締まる思いです。歴史と伝統ある原町商工会議所の会頭として、会員事業所の皆様、役員、議員、事務局の皆様の力をお借りしながら地域が直面する諸課題を解決するため努力して参る所存です。

 今期は新たに鎌田淳一副会頭(㈱鎌田商店社長)をお迎えしました。3人の副会頭と力を合わせ、議員の皆様の英知もお借りしながら取り組んで参ります。当会議所が掲げる主な方針は①震災・原発事故からの復旧・復興の推進、②産業のバランスを踏まえた魅力あるまちづくりを行い、住民の移住・帰還を促進し人口増加と定着の向上を図る、③地区内商工業者に寄り添った支援体制の充実、④組織力の強化および活性化、⑤日本商工会議所を筆頭として全国515の商工会議所、東北6県商工会議所連合会、福島県商工会議所連合会をはじめ、行政や各団体との連携強化です。

 会議所の目的は地区内商工業の総合的な改善発達を図るとともに、社会一般の福祉の増進に資することにあります。そのために私たちは『ともに考える会議所』として、経営改善普及事業を通じた伴走型支援を充実させていきます。各種相談窓口の運営や専門家の活用により、地域の商工業が安心して事業を継続できる環境づくりを進めていきます」

 ――管内の経済情勢について。

 「日本全体で見れば株価は上昇しているものの、原材料費や物価の高騰、人件費の上昇が大きな問題となっています。さらに少子高齢化と人口減少は、この地域に非常に厳しい状況をもたらしています。国際情勢に目を向けても、ロシア・ウクライナ戦争や中東の紛争など不安定な状況が続いており、世界経済の先行きには不透明感が漂っています。

 当地域は震災以降、復興が着実に進んでいるとはいえ、人口や商圏は震災前の状況には戻っておらず、特に若者の流出が深刻です。もともと進行していた高齢化も一層進み、多くの企業が労働者の確保に頭を悩ませています。黒字であっても後継者が定まらない企業も少なくありません。また、この地域は原発の廃炉や処理水の海洋放出など、地域外の要因とも共生しなければならない課題があります」

事業所の安定経営を支援

 ――政府は企業に賃上げを要求していますが、大手は実現できても中小零細企業は難しい現実があります。

 「円安の進行に加え、原材料の価格高騰、そして最低賃金の上昇に伴う人件費の増加は会員事業所にとって大きな負担となっています。県内企業へのアンケートでも、最低賃金の上昇が経営に『影響する』『直ちに影響する』と答えた企業が6割を占めていました。

 賃上げ圧力は最低賃金だけにとどまらず、全体的な人件費の上昇という形で表れています 。私たちは最低賃金の新たな適用時期である1月を前に、会員事業所の実態を集約し、会議所の中小企業相談所による支援や行政との意思疎通を密にするなどして管内事業所の安定経営に努めていきます」

 ――来年度からは第3期復興・創生期間がはじまります。4月には福島国際研究教育機構(F-REI=エフレイ)と福島ロボットテストフィールドが統合されました。

 「復興は多くの皆様のご努力により一歩ずつ前に進んでいますが、未だに震災前の状況には戻っていません。特に人口減少、労働者確保、後継者不足は深刻です。そうした中、政府が決定した第3期復興・創生期間では、地域の実情に応じた課題への対応や新たな取り組みの推進が掲げられ、大いに期待しています。

 F-REIと福島ロボットテストフィールドの統合は、さらなるイノベーションの核が生まれたことを意味します。この地域はロボットだけでなく宇宙など新しい産業が育成されようとしており、市役所にも担当課が新設されています。会議所としてはこれら新しい産業との関係・協力、そして地元企業との連携推進を図っていきたいと考えています。新しい企業の誘致も進められており、行政と連携しながらまちの魅力を高め、多くの方に選んでもらえるまちを目指していきます」

 ――高市内閣が新たに発足しましたが、地方の立場から国に求めたい経済対策についてうかがいます。

 「高市早苗氏は日本憲政史上初の女性首相であり、報道機関の調査でも非常に高い支持率が示され、大きな期待が寄せられていると感じています。経済情勢は一刻の猶予も許されず、力強いリーダーシップを発揮して諸問題に取り組んでいただきたいと願っています。

 高市首相の『福島の復興なくして日本の復興なし』という言葉には私たちも期待しています。地域経済は厳しい状況が続いており、国民が景気の良さを実感できるような経済政策の推進と、特に中小零細企業への手厚い支援をお願いしたい。何より国民生活の安定と安全・安心を実感できる政策を求めたいです」

 ――来年は「ふくしまデスティネーションキャンペーン(DC)」が行われますが、相馬野馬追が2023年から5月開催となったことでDCの開催時期と重なります。

 「相馬野馬追は5月開催となってから来年で3回目を迎えますが、気候が穏やかで涼しい時期の開催は騎馬武者からも観客からも評価する声が多く聞かれています。

 相馬野馬追は南相馬市だけでなく相馬市、双葉郡、飯舘村なども含めた非常に大きな祭りであり、地域の誇りとも言える伝統行事です。来年のふくしまDCがこの時期と重なることで、かなりプロモーションしていただけると期待しています。会議所としては県や市と協議しながら、具体的な取り組みを進めていきます。ふくしまDC期間中には、たくさんの方に野馬追を見ていただくとともに、鉄道の車窓から見える常磐線沿線の風景なども楽しんでいただき、相双地区を巡っていただけるとありがたいです」

 ――最後に一言。

 「会員事業所の皆様や、役員、議員、事務局の皆様の力を結集し、先程申し上げた五つの方針の実現を目指していきます。会員事業所の皆様に対しては経営改善普及事業を通じた伴走型支援をしっかりと行い、地域経済の安定と将来にわたる持続的な発展、そして魅力あるまちの実現に全力を尽くす所存です」

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