【いわき商工会議所】正木好男 会頭インタビュー

【いわき商工会議所】正木好男 会頭インタビュー

経歴

まさき・よしお 1947年生まれ。県立小名浜水産高校(現小名浜海星高校)卒。小名浜製錬㈱取締役小名浜製錬所副所長兼事務部長、非常勤顧問などを歴任。トレードアーチ㈱顧問。いわき商工会議所副会頭を経て、10月末の役員改選で会頭に就く。

 いわき商工会議所は10月31日に臨時議員総会を開き、同商議所相談役の正木好男氏(貿易コンサルタント業・トレードアーチ㈱顧問)を新会頭として選任した。物価高や人手不足などで中小・小規模企業を取り巻く環境が一段と厳しさを増す中、どのように市経済をかじ取りしていくのか。新会頭の正木氏に抱負や重要課題を聞いた。

中小・小規模企業の活力強化のために全力で支援していく

 ――役員改選でいわき商工会議所会頭に就任されました。

 「会議所内に設けられている平、常磐、小名浜、勿来の4地区委員会をはじめ、多くの皆様方からご推薦をいただき、熟慮の末、お引き受けしました。抱負は、商工会議所のミッションである『地元中小・小規模企業をいかに活性化し、事業を持続させていくか』という点に尽きます。昨年度は経営指導員による企業訪問を通じた伴走型支援に注力し、経営革新、情報化、金融、税務など1077件の相談に対応しました。窓口でも1096件の相談に対応しましたが、まだまだ多くの課題への対応が必要です。よりきめ細かな支援体制の構築を進めます」

 ――運営の基本方針について教えてください。

 「今期(第22期)の基本方針として、『~進化、新化、伸化、深化~』の〝4つのシンカ〟というキーワードを掲げています。『最も強いものや最も賢いものが生き残るのではなく、時代の変化に対応したものだけが生き残っていく』という19世紀の科学者・ダーウィンの進化論に着想を得た考え方です。

 『進化』は変化する時代の要請に応え続ける力、『新化』は常に新しい価値観を持って自らを刷新する姿勢、『伸化』は地域、企業、人がともに成長し可能性を広げていく歩み、『深化』は理念や製品、サービス、技術、人と人との信頼などをより深く根づかせる育み――という意味が込められています。中小・小規模企業の活力強化という『1丁目1番地』の達成に向けて、尽力していきます」

政府に企業支援を要望


 ――いわき市管内の景況感はいかがでしょうか。

 「物価高や円安で厳しい状況に追いやられている企業が多く、コロナ禍以降の行動変容も重なり、外食産業など多くの業界が打撃を受けています。先行き不透明な状況のなかで、当会議所では中小・小規模企業の活性化のために何が必要か真剣に議論し、企業に寄り添って相談に対応していくことが重要とあらためて認識しています。

 人手不足も全国のあらゆる業種で深刻化しています。特に2024年問題に直面する運送業、トラックやタクシーのドライバー、さらに介護分野や製造業など外国人材を雇用しないと稼働がままならない状況も生まれています。この問題の解決には、DX推進をはじめとする自動化、ロボット化などを進め、労働力をカバーする取り組みが必要ですが、中小・小規模企業単独での環境整備は難しい現状があります。

 こうした課題への積極的な投資に対する補助金拡充や税制優遇を商工会議所として政府に要望していく必要があると考えています。経営指導員が中小・小規模企業の相談に乗り、資金確保や税制の問題の解決策を提示して、乗り越えてもらうことが、われわれの役割だと考えます」

 ――政府が賃上げを要請している中、中小・小規模企業では対応が難しい現実があります。会議所としてどう支援していく考えですか。

 「大企業に勤務した経験もあって、大企業と中小・小規模企業の労働環境の違いは十分に理解しています。日本経済は、頂点の数%が大企業で、ほとんどが中小・小規模企業というピラミッド型の構成です。この台形を支えている部分が崩れると、全体が崩れる〝砂上の楼閣〟となりかねません。賃上げを実現するためには、大企業と関係する中小・小規模企業が共に前進できる関係を作り、適正な対価を払うことができる環境が必要不可欠であり、賃上げには、適正な関係性の構築が大切です。企業現場の実態を把握しながら、大企業と中小・小規模企業が共存共栄できる環境づくりを働きかけていきます。

 物価高によるコスト増加分についても、価格転嫁はあまり進んでいないのが実情です。中小・小規模企業は価格を上げると取引に影響するリスクがあり、また消費者も価格に敏感でシビアなため、コストを価格に転嫁することが非常に難しい環境です。取引先の会社に価格引き上げの相談がしにくい現場の実情もあります。今後は、企業取引間でのコスト対応を真剣に検討し、お互いに理解を得ながら企業が互いに発展する時代になっていくべきだと思います」

 ――経営発達支援計画に基づき小規模事業者の経営基盤強化に資する事業に取り組んでいます。事業内容と手ごたえはいかがですか。

 「経営指導員が各事業所を訪問し、国、県、市の経営支援策や補助金を最大限活用する支援活動を展開しています。また、『創業スクール』や講演会を開催して、新規事業を始めたい方の事業計画の具現化をはじめ、後継者不足による事業承継の支援も重要な課題として、支援センターや金融機関と連携し、親族や第三者への承継などさまざまなケースに対応しています。特に力を入れているのが、若者の地元離れを防ぐための『いわきアカデミア』の取り組みです。本市の工業製品出荷額は東北有数であり、卓越した技術と魅力ある企業が多いにもかかわらず、地元の学生や若者に認知されていないという課題があります。そこで、いわきアカデミア推進協議会では、小学生から大学生までのキャリア教育の中で地元企業を知ってもらう機会を創出しています。特に、高校生を対象とする『いわき発見ゼミ』での企業訪問を通じ、地元企業の魅力を発信しています。これらの施策を通じて、若者の地元定着と地域企業への理解促進に尽力しています」

 ――高市早苗政権が発足し、期待が寄せられていますが、政府に求める経済財政対策は。

 「高市政権が示している成長戦略や経済政策に期待しています。中小・小規模企業が、新たな事業展開や人手不足解消のために取り組むプロジェクトに対して、補助制度拡充や税制優遇などの支援策を求めます。政府の総合経済対策では、AI、航空、宇宙、フードテック、資源エネルギー、防災、国土強靱化など17分野の重点施策を示しています。国の戦略分野に地元中小・小規模企業がどのように参画できるのか、商工会議所としても経営指導員や職員のレベルを上げ、会員企業に正確かつ役立つ情報を提供、支援していくことが重要です。

 当会議所としても国の積極的な経済政策、施策を最大限に活用して会員企業を支援し、地域経済の活性化に貢献していきたいと考えます」

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