【磐城国道事務所】藤澤元所長インタビュー【2024.12】

【磐城国道事務所】藤澤元所長インタビュー

経歴

ふじさわ・はじめ 1975年宮城県仙台市生まれ。東京理科大理工学部卒。2000年に日本道路公団採用。東日本高速道路㈱関東支社東京外環工事事務所工務・計画統括グループリーダー兼建設事業部東京外環建設チームリーダーを経て、今年7月8日に着任。

 国土交通省東北地方整備局の磐城国道事務所長に、東日本高速道路㈱に所属していた藤澤元氏が就任した。同事務所の管轄は国道6号、国道49号。両国道の道路整備・維持管理を通して、東日本大震災・原発事故からの復興を目指す浜通りを支え続けている。現在取り組んでいる重点事業などについて、藤澤所長に話を聞いた。

地域と連携を図りながら道路の安全・安心確保に注力。

 ――7月8日付で磐城国道事務所長に就任されました。

 「私は宮城県仙台市生まれで、東北地方に強い思い入れがあります。今般、東日本高速道路から所長就任と相成りました。東北地方では2回目の勤務となります。国交省の事務所における勤務は初めてですが、道路整備という観点で言えば共通する部分が多々あると考えます。これまでの経験や蓄積を生かしながら業務推進に尽力する考えです。

 当事務所は、一般国道6号、同49号計延長約170㌔の道路整備・維持管理を担っています。特に震災・原発事故からの復興が大きな課題とされる浜通りを南北に貫く国道6号は延長約130㌔に及び、浜通り地域の皆さま方にとって重要な社会インフラだと強く認識しています。

 この点を意識しつつ常に緊張感をもって道路整備・維持管理に注力するとともに、地域との連携を図りながら道路の安全・安心の確保に向け職員一丸となって鋭意取り組む所存です」

 ――管内の隅々まで足を運んだそうですが、特に感じたことは。

 「同所長に着任後、双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館をはじめ、浪江町の震災遺構である請戸小学校などを視察し、震災・原発事故発災当時の過酷な状況を再確認しました。震災・原発事故から13年が経過した中、未だに避難を余儀なくされている住民の方々が存在しているのも事実です。管内自治体の現状や課題に対し、真摯に向き合いながら当事務所としての役割を見極め、地域社会に貢献しなければならないとあらためて痛感しています。

 管内の印象としては、面積が広大な一方で、それぞれの地域性があると感じています。総じて天候に恵まれる日が多く、過ごしやすい環境だと実感しています」

 ――一般国道6号勿来バイパス事業の概要と進捗状況について。

 「この事業は茨城県北茨城市関本町といわき市勿来町を結ぶ国道6号のバイパス道路整備です。勿来地区を走る現道は、津波発生時に浸水する危険性が高く、片側1車線ということもあって慢性的な渋滞が発生している区間です。当事務所としては、災害時における浸水エリアの回避ならびに交通渋滞の緩和を重要なミッションに位置付けており、現在、それら問題の解消に向け山側にバイパス道路を整備しています。

 当事務所では、茨城県北茨城市関本町関本~いわき市勿来町四沢鎌田中間延長約4・4㌔のうち、福島県側約2・5㌔区間を担当しています。2015年度に事業着手し、19年度に工事着手の運びとなりました。今年度は、勿来跨線橋と蛭田川橋・拡幅橋の下部工工事や四沢交差点地盤改良工事を鋭意進めています。約800㍍の勿来トンネルについては、北側坑口から約520㍍までの掘削が完了しています」

改良事業で渋滞緩和図る

 ――一般国道49号北好間改良の事業概要と進捗状況について。

 「国道49号は、いわき市から郡山市、会津若松市を経由し新潟県新潟市を結ぶ延長約250㌔の主要幹線道路です。このうち当事務所の管轄区間は約37㌔で、事業実施地は常磐自動車道いわき中央インターチェンジ(IC)から郡山方面延長2・2㌔区間です。現道は物流や通勤交通が集中するため、いわき中央IC入口交差点付近で著しい渋滞が発生しているうえ、同地区には急な下り坂や急カーブがあり、スピードを抑えきれずに正面衝突や路外逸脱など線形不良区間に起因する事故が多数発生していることから、交通安全と渋滞緩和を目的としてバイパス道路の整備を進めております。

 いわき中央IC入口交差点の改良による渋滞緩和、急勾配や急カーブ箇所の解消による交通事故の削減が実現できるなど走行性・安全性の向上が期待されます。この間、2011年度に事業着手、13年度に用地着手、18年度に工事着手の運びとなりました。現在、工事用道路の完成をはじめ、仮称・新好間橋の下部工橋台・橋脚の一部完成、本線を施工するための馬喰沢の付け替え水路工事に着手しています。引き続き道路設計、用地取得、改良工事等について鋭意取り組んでいきます」

 ――国道49号好間三和防災の事業概要と進捗状況について。

 「国道49号のいわき市好間町から同三和町の区間は、大雨時に法面や沢部での土砂災害や落石などの災害が発生するなど異常気象時の事前通行規制区間に指定されています。加えて三和地区終点側の線形不良区間では、急ハンドルや急ブレーキの多発による対向車線へのはみ出しなどによる正面衝突など、危険性の高い事故が多く発生しています。

 この事業は、土砂災害などのリスクならびに線形不良箇所の解消を目的とする防災事業に位置付けられるとともに、平時・常時を問わない安定的な地域活動を支援することを大きな狙いとし、同市好間町北好間から同三和町合戸までの延長約3・9㌔の道路を整備します。今年度より事業着手を迎えた中、現在は路線測量を実施しています」

 ――その他の重点事業について。

 「1点目は、国道6号『常磐バイパス』における小名浜地区の調査推進です。同バイパスの開通以降、同地区の林城・飯田の両交差点を含む区間では深刻な渋滞に悩まされる状況となっています。これを受け、事前調査の一環で立体交差化を含む道路改良の計画段階評価に向け地域住民向けのアンケートを実施したほか、構造等の概略検討を踏まえた調査を進めているところです。

 2点目は、安全な暮らしと命を守る道づくりを実施するため、交通事故の減少や交通渋滞の緩和、歩行者の安全確保を目的とした整備を進めていることです。6号草野交差点改良、6号四倉入口交差点改良では右折レーンの設置、6号双葉地区事故対策では事故発生を防止することを目的に付加車線の設置を行っています。また、6号新地町歩道整備、49号好間地区歩道整備では、通学児童等歩行者の安全確保のために、新たな歩道の設置を実施しています。

 結びに、道路の保全と防災・減災、国土強靱化対策です。管内の老朽化した橋梁やトンネルなど道路構造物の定期的な点検・メンテナンス業務をはじめ、災害時の影響を防ぐ予防措置に努め、道路構造物の長寿命化を図っていきます」

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