宴会・会議場に生まれ変わった鹿島ガーデンヴィラ

宴会・会議場に生まれ変わった鹿島ガーデン

 本誌でこの間報じてきた、白河市の老舗結婚式場「鹿島ガーデンヴィラ」(以下鹿島ガーデンと略)をめぐる奇妙なM&A。運営会社の㈱ピーアンドケーカンパニーは〝事件屋〟に乗っ取られたあともトラブルが続いている。現在、役員らに接触するなど取材を進めており、稿を改めて詳報したい。

 この稿で取り上げるのは、法人ではなく施設についてだ。

 鹿島ガーデンの土地建物は2022年に福島銀行と白河信用金庫に差し押さえられたあと、競売にかけられ、今年1月に㈱アクティブワン(白河市)に売却された。同社は白河商工会議所の鈴木俊雄会頭が社長を務めるデベロッパーだ。

 「1回目の競売では買い手がつかず、金額を下げた2回目の競売でも買い手が現れなかった。さらに金額を下げた3回目の競売で鈴木会頭が競落した」(市内の事情通)

 2月中旬、鹿島ガーデンで作業をしていたアクティブワンの社員に話を聞いた時は「そのまま使えるか修繕が必要か、業者と一緒に建物内を確認している。建物が今後どうなるかは社長(鈴木会頭)に聞いてほしい」とのことだったが、鈴木会頭には取材に応じてもらえなかった。

 「鈴木会頭は、大きな会合を開ける会場が市内に少ないという理由から鹿島ガーデンを復活させたいようです。『和知繁蔵さん(元白河商議所会頭で鹿島ガーデン創設者)には世話になった』と個人的な思いもあるようです」(前出・事情通)

 それから7カ月余りが経った9月中旬、鹿島ガーデンを訪ねると「シン鹿島は10月1日より営業いたします」という看板が立っていた。入口の自動ドアにプリントされているロゴも「shin-KASHIMA」に変わっていた。

変更されたロゴ
変更されたロゴ

 施設を見渡していると、一人の女性が何やら作業をしていた。声をかけると、支配人を名乗った。差し出された名刺には「シン鹿島」という社名が書かれていた。

 法人登記簿によると、㈱シン鹿島は今年6月設立。資本金1450万円。事業目的は宴会場事業、飲食事業、貸席事業など。役員は代表取締役・青木大、取締役・鈴木俊雄、青木かおる、監査役・鈴木雅文の各氏。鈴木会頭のほか、県南地方で葬儀業を営む㈱あおき(白河市)の青木大社長や青木かおる会長(白河商議所副会頭)が役員に就いている。

 「当面は小さい部屋を使った宴会と会議を承ります。既に数件の予約をいただいています。大きい会場や厨房は修繕中です。結婚式はやりません」(支配人の小林恵子さん)

 詳細は青木社長に聞いてほしいと言うのであおきに問い合わせると、青木社長が経緯を教えてくれた。

 「鈴木会頭から鹿島ガーデンの今後について相談があり『私でお役に立てることがあれば』と伝えていました。その後、鈴木会頭が施設を取得され、宴会場や会議場として稼働させることになりました」

 そのための運営会社として会頭、副会頭、市内の経済人が出資し、シン鹿島を設立。社長に就いた青木氏は、施設運営は鈴木会頭に全面協力を仰ぎ、自身は料理などの面をバックアップしていくという。

 「正直、収益は未知数ですが、鈴木会頭からは『経営的には難しいかもしれないが、地域のために頑張っていこう』と言われているので、まずは宴会や会議をする場所がなくて困っていた皆さんに喜んでいただけるよう運営していきます」(青木社長)

 大きい会場は来年1月の賀詞交歓会までにリニューアルを終える予定で、痛みが激しい厨房やエアコン施設などは現在、急ピッチで修繕を進めている。厨房が使えない間はケータリングで対応し、来年4月のグランドオープンを目指している。

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