政経東北|多様化時代の福島を読み解く

【桑折・福島蚕糸跡地から】廃棄物出土処理費用は契約者のいちいが負担

【桑折・福島蚕糸跡地から】廃棄物出土処理費用は契約者のいちいが負担

 桑折町中心部の町有地で、食品スーパーとアウトドア施設、認定こども園の整備が進められている。ところが、工事途中で、地中から廃棄物が発見されたという。

 食品スーパーなどの進出が計画されているのは、桑折町の中心部に位置する福島蚕糸販売農協連合会の製糸工場(以下、福島蚕糸と表記)跡地。2001(平成13)年に同工場が操業終了し、約6㌶の土地を町が所有してきた。

 その活用法をめぐり商業施設の進出がウワサされたが、震災・原発事故後に災害公営住宅や公園を整備。残りの約2・2㌶を活用すべく、公募型プロポーザルを実施し、町は一昨年5月末、㈱いちいと社会福祉法人松葉福祉会を最優秀者に決定した。

 昨年3月に町といちいの間で定期借地権設定契約を結び、同年8月にいちいが契約している建設会社が造成工事をスタートした。だが、そこから間もなくして、地中から産業廃棄物が出土、現在は工事がストップしているという。実際に複数の建設業関係者が、敷地内に積まれた廃棄物を目撃している。

 町産業振興課に確認したところ、「出土したのはコンクリートがらや鉄パイプなど。町が同地を取得した時点ではそういうものはないと聞いていたし、写真も残っている。福島蚕糸の前に操業していた郡是製糸(現・グンゼ)桑折工場のものである可能性が高い。取得時にはそこまでさかのぼって調査をしていませんでした」と語った。

 古い建物となればアスベストなどの有害物質を含んでいた可能性も考えられるが、出土量も含め、その詳細は明らかにされていない。契約では処分費用をいちいがすべて負担することになっているようだが、「数千万円はかかるだろう。町有地から出てきた廃棄物処分費用をすべて負担させるのはいかがなものか」(県北地方のある経済人)と見る向きもある。

 いちいに問い合わせたところ、「同計画の担当者がいないので詳細については答えられない」としながらも、「予想外の事態なので、工期の遅れなどが発生する恐れもあるが、町と連携しながら法律に則って対応していく」と述べた。松葉福祉会の担当者は「いちいから報告は受けており、開業に向けての支障はないと聞いている」と回答した。

 いちいのスーパーとアウトドア施設は2023(令和5)年秋、松葉福祉会の認定こども園は2024(令和6)年4月に開園予定となっている。

 福島蚕糸跡地の開発計画に関しては、公募型プロポーザルの決定過程や賃料設定、認定こども園整備の是非などについて、一部で疑問の声が上がっている。9月の町長選でも争点になり、議会の一般質問で関連の質問が出るなど燻り続ける。そうした中で新たなトラブルが発生し、関係者は頭を悩ませている状況だ。

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