医療機器出荷額全国1位の陰で燻る【医療機器センター】

医療機器出荷額全国1位の陰で燻る【医療機器センター】

 福島県の医療機器産業が好調だ。経済産業省の調査によると、医療用機械器具に取り付ける部品の2021年の出荷額は255億円で前年比25億円減少したが、都道府県別では12年連続で全国1位となった。

 2位は長野県で136億円、3位は愛知県で124億円。全国の出荷額は1399億円で、福島県はこのうちの18%を占める。

 それだけにとどまらない。医療用機械器具・装置の製品でも、福島県は2021年の出荷額が918億円となり、前年比3億円減少したものの2年ぶりに全国1位となった。

 2位は埼玉県で622億円、3位は静岡県で606億円。全国の出荷額は7790億円で、福島県はこのうちの12%を占める。

 部品と製品合わせて1000億円を超える巨大産業が県内に集まる背景には、県が2005年度から取り組んでいる産学官連携の「次世代医療産業集積プロジェクト」がある。医療機器の研究開発や異業種企業に対する医療品医療機器等法の許認可支援などを進めてきた結果、医療機器の部品・製品を製造する企業が増加。11年の東日本大震災後は医療機器産業を産業復興の柱に据え「医療関連産業集積プロジェクト」を展開し、その勢いを加速させた。

 国内唯一の医療設計・製造の展示会「メディカルクリエーションふくしま」はそれらプロジェクトの一環として始まり、19回目を迎えた今年も11月1、2日に郡山市のビッグパレットふくしまで盛大に開かれた。会場では全国220の企業・団体が最先端の医療技術を紹介し、2日間で3500人超が来場した。

多くの来場者で賑わった「メディカルクリエーションふくしま」
多くの来場者で賑わった「メディカルクリエーションふくしま」

 地道な取り組みが実を結び「12年連続1位」「1000億円超」という成果になって表れていることは素直に評価したいが、一方で苦戦が続く施設もある。

 郡山市にある「ふくしま医療機器開発支援センター」は医療機器の開発から事業化までをワンストップで支援する国内初の施設として、2016年11月に国の補助金134億円を投じて開設された。しかし、数年間は成果が上がらず、20年11月には地元紙が「これまで収益が目標に届いた年度はなく、生じた赤字は指定管理者のふくしま医療機器産業推進機構に支払っている委託料から穴埋めされている」などと報じた。

 同機構は2018年3月に改善計画を策定したが、県議会の一般質問や決算審査特別委員会などのやりとりを見ると、共産党議員が「補助金等がなければ運営できない状況」と問題提起し続けてきた。ただ、新型コロナの落ち着きと共に大型案件の依頼が舞い込むようになり、リピート率の高まりもあって22年度は2200万円の「黒字」を計上。3年前の赤字報道から一転、運営は好転の兆しを見せている。

 とはいえ同センターの高度な設備と機能を踏まえると、その程度の黒字では物足りない。郡山市内の行政マンは「広報・営業が下手で、その良さが広く伝わっていない」「医療機器とは無縁の地元企業が異業種参入したいと思っても、そのチャンスが得られずにいるのでマッチング機能を強化すべきだ」と同センターの問題点を指摘している。

 事実、同センターの2022年度事業計画を見ると「これまで全く注力されてこなかったセンターの知名度・認知度の向上を目指す」「マッチング機会を増加させるためデータベースを新たに構築し、県内企業が有する技術情報を集約し、医療機器関連の新たな仕事を得る機会を創出する」と書かれ、二つの問題点を強く自覚していることが分かる。

 福島県の医療機器産業をさらに盤石にするためには、同センターが期待された役割をしっかり果たすことがカギになる。

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