原発事故による被災者から東電への反感は「服装」にも及んだ。ALPS処理水の差し止め訴訟に先行して、被災者らが国と東電に損害賠償を求める生業訴訟の第2陣が福島地裁で継続中だ。生業訴訟に関し、裁判官が原告の自宅跡地を視察し被害状況を把握する現地進行協議が5月31日に行われた。小川理佳裁判長ら3人の裁判官が現地を回り、原告の住民、被告の国、東電の意見を聞いた。
放射線の影響は小さいとアピール
大熊町の帰還困難区域では服装の違いが際立った。原告の自宅跡に寄った後は区域を出る際に足裏の放射線を測定するスクリーニングがある。裁判官たちと原告、視察の様子を取材した記者たちは入域前に靴の上から足を布で覆い、白い防護服に身を包んだ。一方、東電職員たちは黒いスーツ姿だった。
大熊町の原告男性は「そういうところがおかしいと思う。足を覆う布も付けていなかった」。放射線の影響は「大きい」とする原告と「小さい」とする東電の違いが服装に表れた。