おおほり・たけし 1951年生まれ。東北学院大学卒。陸上自衛隊で勤務後、新地町役場に入庁し、総務課長などを歴任。2018年の町長選で初当選。現在2期目。
町民の安全・安心に直結する事業を優先していく。
――8月24日から福島第一原発に溜まるALPS処理水の海洋放出が始まりました。
「海洋放出についてはまだまだ課題も多く、我々は政府や専門家のような知見を持ち合わせていないので、互いに納得のいく形で進めていくことは困難を伴うと見ています。
8月21日、岸田文雄首相が全国漁業協同組合連合会の坂本雅信会長らと面会した際、『今後数十年の長期に渡ろうとも、全責任を持って対応することをお約束する』と話していました。国としても重い判断のもと海洋放出を実施したと思うので、本町としては県や関係自治体と連携しながら、安全かつ確実に実施されることを願い、推移を見守っていく所存です。放出によって生じる風評被害対策の実施と情報発信を行っていただき、国民だけでなく海外の方への理解醸成を図っていただきたいと考えています」
――町第6次振興計画の進捗状況は。
「策定後の令和3年2月、翌4年3月に発生した福島県沖地震の対応もあって当初の予定より遅れているのは否めません。3年間の行動計画で、できるだけ軌道修正を図りながら実施していこうと考えています」
――地域の魅力向上への取り組みとして「アートの町『新地』創造・アートの魅力発信事業」が展開されています。
「画家・志賀一男さんをはじめ、本町出身のアーティストが目覚ましい活躍を見せています。本町出身の画家・坂元郁夫さんからご提案いただいたこともあり、JR新地駅前に整備された町文化交流センターにおいて、絵画に焦点を当てたアートイベントを実施していく考えです。できるだけ多くの皆さまに見ていただき、心を豊かにしていただければと考えています。来年の町村合併70周年に合わせたプレイベントの意味合いもあり、反響次第では来年、より規模を大きくして実施する考えです」
――今後の重点事業について。
「頻発する自然災害への対応は非常に重要な課題です。町民の安全・安心に直結する事業を優先していきます。今年度は高齢者の見守り事業を開始し、各地区に予算を出して、地域の団体の方々と協力して取り組んでいます。県には砂子田川と谷地田川の水害対策、駒ケ嶺地区の浸水対策を要望しており、老朽化が進む海抜0㍍地区の湛水防除施設に関しても、調整しながら年次計画で更新を進めています。
商業用地への食品スーパー誘致も課題であり、買い物環境の整備も進めていきます。併せて県立相馬総合高校新地校舎の利活用の協議も進めていきます」