いわき市議会「保守系最大会派」で分裂劇

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いわき市議会「保守系最大会派」で分裂劇

 2022年10月に入って、いわき市議会で大きな動きがあった。保守系の最大会派・志帥会幹事長の小野潤三氏(3期)、顧問の佐藤和美氏(6期)と小野邦弘氏(5期)がそれぞれ「一身上の都合」を理由に退会したのだ。小野潤三氏は1人会派・正論の会を結成。佐藤和美・小野邦弘両氏は保守系の第2会派・一誠会(旧名称=自民党一誠会)に合流した。

 これに伴い、志帥会の所属議員数は12人から9人に減少。逆に一誠会の所属議員数は8人から10人に増え、最大会派となった。

 小野潤三氏は「内田広之市長の右腕」を自称し、次期志帥会会長が有力視される存在だった。ただ、複数の経済人によると、以前から旧統一教会の信者であることを公言しており、安倍晋三元首相銃撃事件以降は出処進退の行方が注視されてきた。

 8月末、岸田文雄首相が自民党議員に対し「旧統一教会とは今後一切の関わりを持たないようにする」との通達を出し、地方議員も対応を迫られる中、保守系会派を離脱して1人会派を立ち上げる道を選んだ。

 話はこれで終わらなかった。いわき市内で配布されているローカルタブロイド紙・いわき経済報(10月6日付)速報によると、この問題をめぐり、毅然とした対応をしなかった志帥会会長の永山宏恵氏(4期)に対し、会派議員が不満を募らせていた。そうした中で、特に不満が強かった佐藤和美氏と小野邦弘氏が退会を表明したという。

 志帥会には以前から分裂の兆候があった。2年前の副議長選では、志帥会として支持していた市議がいたのに、2議員が造反し白票を投じた。その結果、自民党一誠会(当時)などが支持していた佐藤和良氏(5期、創世会=第3会派)が選出された経緯がある。

いわき市議会
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 当時から佐藤和美・小野邦弘両氏は志帥会内の不満分子として知られていた。本誌2020年11月号では《誰が白票を投じたのかは分かっていないが、「目星は付いている」(同)とのこと。いまのところ会派を離脱する動きはないが、当面は〝爆弾〟を抱えた状態が続く》と書いた。その爆弾が2年後に爆発した格好だ。

 いわき民報によると、一誠会は10月17日、市議会の代表者会議において、旧統一教会や関連団体とのかかわりについて、市民の不安を払拭する目的から、全議員を対象に調査し、市民に公表する案を提案した。だが、同19日の代表者会議で話し合いがまとまらず、調査・公表は先送りされることになった。

 前出・佐藤和良氏は「『正副議長は任期2年』という慣例を作りたい」として10月25日付で副議長を辞職。同24日の市議会10月臨時会で、佐藤和良氏と同じ創世会の坂本稔氏(4期)が新副議長に選出された。有効投票数は37で、坂本氏は20票を獲得。無効票が17票だった。

 一方、議長の大峯英之氏(4期、志帥会)が4年間の任期を全うする意思を示したことに反発の声が出て、不信任案提出を模索する動きもあったという。

 一誠会が最大会派となり、一気に潮目が変わった様子がうかがえる。

 同市では毎回のように〝保守分裂選挙〟となっている市長選の名残で、保守系会派が複数存在している。志帥会は内田広之市長(1期)に近い会派、一誠会は内田市長と距離を置き、清水敏男前市長や岩城光英前参院議員と近かった会派だ。保守系とはいえ、距離を置く会派が最大会派となったことで、内田氏の市政運営に多少なりとも影響が出るかもしれない。

 今後別の理由で保守系会派が離合集散する可能性もあるが、当面は緊張状態が続きそうだ。

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