よしだ・えいこう 1963年12月生まれ。双葉高卒。県議を5期務め、自民党県連幹事長、県議会議長などを歴任。2022年7月の浪江町長選で初当選。
――町の復興状況についてお聞きします。
「おかげさまで着実に復興は進んでいます。特に、大規模酪農施設の起工式や復興海浜緑地の造成工事が始まり、町民が復興を実感できる形になってきました」
――特定復興再生拠点区域の避難指示解除後の、住民の帰還状況と今後のまちづくりについてはいかがでしょうか。
「震災から14年が経過し、住民の皆様の生活も変化し、それぞれの思いもあります。その思いを尊重し、ただ帰還を強く促すのではなく、帰還を望む方、移住を考えている方の誰もが『浪江で暮らしたい』と思える環境をつくりたいと考えています。学園都市構想を含めたまちづくりはその一つです。
農業や漁業などの一次産業の再興はもとより、駅周辺の整備、公営住宅の建設にも力を入れています。特に駅周辺は商業施設や交流施設を設け、新たな町の中心としていきたいと考えています。また、帰還を希望される方々のために、住居の確保は重要な課題です。公営住宅は、世代間の交流を促し、地域コミュニティーの核となることを目指しています」
――浪江町は若い世代からも注目されており、移住者も増えていると伺いました。
「若い世代が浪江町の自然や文化に魅力を感じ、新しいビジネスやコミュニティーを創出しています。その活躍は、町に新たな活気をもたらし、未来への希望を感じさせてくれます。例えば、古民家を改装した店舗が人気を集めています。浪江での生活を楽しみながら、地域に新しい価値を生み出してくれました。今後は、帰還された方も、新しく移住してきた方もさらに活躍できるような環境を整え、共に浪江の未来を築いていきたいです」
――吉田町長が考える浪江町の未来像について、具体的にお聞かせいただけますでしょうか。
「2040年の人口減少社会を見据え、持続可能な町づくりを目指しています。多様な人々が集う活力ある浪江町を実現したいです。そのためには、若い世代の意見を積極的に取り入れ、彼らが活躍できる場を創出することが重要だと考えています。従来の価値観にとらわれない自由な発想力をもって、彼らが浪江町で新しいことに挑戦し、自分たちの手で未来を切り拓いていけるよう、私たちは全力でサポートしたいと考えています。
町長として3年を迎え、任期は残すところあと1年となりました。この3年間で、町民の皆様、職員の方々と復興への想いを共有できたと感じています。震災から20年という節目を見据え、町民の皆様が望む浪江町の未来を創造するために、全力を尽くします」