いわき市が進めているJR湯本駅前の再開発事業を巡り、市が業者を恣意的に選定したなどとして、業者に対して支払った業務委託料の公金934万2300円を業者から回収するよう市に求める住民訴訟を駅前の商店主が起こしている。福島地裁で審理が進む。原告は洋菓子店を営む長岡裕子さん、代理人は広田次男弁護士ら複数人。被告いわき市の代理人は大谷好信弁護士。担当裁判官は川淵健司裁判長、彦田まり恵裁判官、薄井孝裁判官。川淵裁判長と薄井裁判官が「受命裁判官」に就き、主に審理する。
昨年10月に第1回口頭弁論が開かれ、同12月16日に2回目が開かれた。市は原告の請求却下、つまり「門前払い」を求めている。理由は、「原告は住民訴訟の前段となる住民監査請求の時期(違法行為から1年間)を逸しているため訴訟の要件を満たさない。時期を過ぎても請求が認められる正当な理由もない」とする。原告が住民監査請求をしたのは、市が公金の支出命令を出してから約1年1カ月後の2025年4月だった。
住民監査自体は違法性を判断しないことを前提に行われた。棄却されたものの、「契約書の様式が明確でなく、疑義を抱かれるのは市にも原因がある」と異例の意見が付いた。
原告側が問題にしている委託契約は、市がまちづくり会社「㈱ふらゆもり」と結んだ随意契約。再開発エリアで既存店及び新規出店する事業者らの勉強会を開いたり、地権者の移転や出店の意向を把握したりする業務を委託した。同社はまちづくりの任意団体「じょうばん街工房21」の関係者で構成されている。
争点はまず、①違法とする市の行為から1年を過ぎた時点での住民監査請求が有効かどうか。つまり、原告が時期を過ぎて請求したことに正当な理由があるのか。そして、②市が随意契約を結んだのは裁量権の範囲なのかどうか。同社に頼む必然性(緊急性や代えがたい能力や実績、金額の多寡など)が問われる。
②について、原告側は地元紙に載った関係者のインタビュー記事や法人登記簿などを根拠に次のような経緯があったとする。2023年中にいわき市が、まちづくり会社設立を任意団体じょうばん街工房21に依頼→同8月にまちづくり会社㈱ふらゆもりが設立→同9月21日に随意契約(934万2300円)→同10月20日に㈱マイロックチョコレーツに再委託(602万2500円)。
地方は民間活力が乏しく、行政が地元商工業者に調整役となる組織をつくらせる例が多い。本業の傍らのため、余裕はないし、コンサル業務のノウハウは乏しい。結果、プロの力を借りる。再委託先は「ふらシティいわき」など市のPR業務を担っており実績があった。「信頼」か「癒着」かの評価は様々だが、違法とまで言えるかは難しい。ただ、監査委員たちが指摘しているように手続きに疑念を抱かれるのも無理はない。
次回は2月19日に当事者と受命裁判官2人が参加する進行協議が非公開で行われる。公開の口頭弁論は3月24日午後1時半から。
住民訴訟の日、奇しくも福島地裁では、市水道局の入札不正を巡る刑事裁判の判決言い渡しがあった。市内の建設業大松興産(自己破産申請)が、入札担当者から非公開の設計金額を教えてもらい金銭を渡した官製談合事件だ。賄賂を受け取った元職員と賄賂を贈った元取締役2人に執行猶予付きの有罪判決が言い渡された。いわき市の契約手続きは、刑事と民事で裁判沙汰になっている。市は透明性確保に向けて改めなければならない。

























