昨年7月に開かれた会津坂下町議会の第2回定例会に、五十嵐一夫議員と酒井育子議員から古川庄平町長に対する問責決議案と小畑博司議員に対する監査委員辞職勧告決議案が提出された。
これより1カ月前の6月1日、任期満了に伴う町長選が行われ、古川町長が再選されたが、議会選出の監査委員である小畑議員は古川陣営の選対本部長を務めていた。こうした関係性を、五十嵐一夫議員は「町長が議会選出の監査委員を選対本部長に起用するのは二元代表制を蔑ろにするものだ」「監査委員は選対本部長に就くべきではない」と問題視。両氏に対する決議案を提出したのだ。
「監査委員は常に公正不偏の態度を保持し、監査をしなければならないが、選挙で町長と一体になったのでは、その後の監査が適正に遂行できるのか疑問。私から言わせれば地方自治の二元代表制を蔑ろにするものだ」(五十嵐一夫議員)

しかし、地方自治法や公選法は監査委員が選対本部長に就くことを禁じていない。地方自治法第198条の2で「市町村長の親族は監査委員になることができない」と規定されているのみだ。
会津坂下町議会は定数14だが、採決の結果、両案とも賛成したのは提出者の2議員のみで否決された。
すると、9月に開かれた第3回定例議会では、小畑議員と横山智代議員から五十嵐一夫議員と酒井議員に対する問責決議案が提出された。提案理由には概ね「小畑議員に対する監査委員辞職勧告決議案は①法的根拠のない勝手な解釈、②監査の信頼に疑問を持たれた、③町民の間に不信が増長された、④代表監査にも多大な影響が生じたと危惧され、悪意に満ちた発議」と書かれていた。
五十嵐一夫議員は、これを「報復であり暴挙だ」と反発する。
「小畑議員への監査委員辞職勧告決議案は反対多数で否決された。議会の意思は小畑議員を信任したのです。にもかかわらず、私たち2議員への問責決議案を出すのは報復以外の何ものでもない」(同)
しかし、小畑議員は「報復」を明確に否定する。
「議員が公正な立場で活動するのは当然のこと。同じく監査委員も、予算執行者である町長のため、あるいは町民のため、公正な立場から監査をします。五十嵐議員は公正という言葉を用いてこの問題を論じていますが、だったら『公正ではない監査』とはどういうものなのか教えていただきたいくらいだ。選挙の絡みを持ち出せば、いろいろな見方が出るのはやむを得ないが、どっちの候補者寄りだから公正な監査ができる・できないという見方はナンセンスだと思います」(小畑議員)

その上で問責決議案を提出した理由を「疑惑があれば何でも問責決議案を出すのか。そんなやり方は議会にも町民にも無用な混乱をもたらすだけ。提出者に反省を促す必要があると考えた」(同)としている。
議長と問責決議案の当事者を除いた採決は賛成8、反対4(反対には白票も含まれる)で可決された。
地方自治が専門の公益財団法人地方自治総合研究所の今井照特任研究員はこう話す。
「監査委員が選対本部長を務めるのは疑惑を持たれる可能性があるというなら、議会議員政治倫理条例を定めて監査委員の行動を制約するのは可能だと思います。この問題はどちらか一方に瑕疵があるわけではありません。お互いに妥協するところは妥協し、町の政策実現に努めていただきたい」
しこりが無くなることはないかもしれないが、両議員には引き続き町政の進展に尽力していただきたい。
























