【郡山市】103公共施設 廃止の波紋

【郡山市】103公共施設 廃止の波紋

公共施設の老朽化が課題になっている郡山市。市管理施設をあらためて総合的に評価したところ、103施設が「サービス廃止」、建物解体を伴う「廃止」という結果になった。対象施設の中には、地域の拠点となる公民館分館・分室なども含まれていたため、波紋が広がっている。

公民館分館維持を訴える富久山地区住民

市は925施設を稼働率や建物の使用年数、受益者の範囲などから総合的に評価し、5つの区分に分類した(グラフ参照)。結果として39施設がサービス廃止(建物評価は高いがサービスは廃止すべき)、64施設が廃止(サービスは廃止し建物も解体すべき)と評価された。

主な対象施設は別表の通り。925施設の延床面積117万6135平方㍍のうち、サービス廃止・廃止対象施設の延床面積は合計5万3169平方㍍(4・5%)。

主なサービス廃止・廃止対象施設

分類具体的な施設名など
サービスを廃止検討し、建物を転用・譲渡等を検討するもの(47施設)公民館分館・分室、地域交流センター、少年湖畔の村、農産加工センターなど
児童・生徒数の減少から廃止を検討する学校関連施設(11施設)河内小学校(2025年度閉校予定)、多田野小学校堀口分校(2025年度閉校予定)、熱海小学校石筵分校(2024年4月休校)、海老根小学校、宮城小学校、御館小学校、宮城中学校、御館中学校、河内小児童クラブ、宮城小児童クラブ、御館小児童クラブ
サービスを廃止検討し、民間施設の借用終了を検討するもの(19施設)公民館分館(民間施設の借用)
サービスを廃止検討し、老朽化から建物解体を検討するもの(17施設)桃見台保育所、針生保育所、鶴見坦保育所、御代田保育所(いずれも2029年度末廃止)
喜久田公民館喜久田体育館、日和田公民館文化体育館
旧熱海行政センター、旧熱海公民館
木造等の市営住宅など
既に廃止済みの施設(9施設)勤労青少年ホーム、老人福祉センター寿楽荘、中央老人福祉センター(入浴施設)、母子生活支援施設ひまわり荘、歴史資料館 など


対象施設には廃止済みの施設や統合検討中の学校の名前に加え、公民館分館なども含まれていた。そのため、昨年10月に公式発表前に地元紙で報じられると、市民の間で騒ぎになった。同月中に市内で16回にわたり住民説明会が実施され、オンラインを含め504人が参加した。

市では2016年3月、今後30年間の公共施設のマネジメント方針を定める「市公共施設等総合管理計画」を策定した。その中で、今後30年間で市内の公共施設の更新費用は5193億円となる見込みで、投資可能額が1071億円不足するため、公共施設の延べ床面積を4・5%縮減する方向性が示されている。

2018年3月には、より具体的な計画である「市公共施設等総合管理計画個別施設計画」を策定した(計画期間2018~2025年度)。今年3月には総合管理計画の改訂、第二期個別施設計画を策定する予定となっている。それに合わせて、あらためて評価が行われたのだ。

市としても施設の長寿命化を図るほか、施設の集約・複合化、廃止を行い総量縮減に努めたが、麓山地区立体駐車場など新施設を整備してきたこともあり、目標は達成できていない。余剰スペースの売却・貸付、ネーミングライツなどで新たに約39億円の財源収入を得たが、更新費用を賄うまでには至っていない。

市の資料によると、市域面積が大きい分だけ公共施設も多く、築30年以上の建物が約75%を占める。会議室の稼働率は市全体平均29%と低い。財源的にすべての施設を建て替え・維持することは困難となっている。物価高騰などで更新費用は8266億円、不足額は4291億円にまで膨らむ見通しだ。

要するにすべての公共施設をいまのまま維持して更新していくのは不可能だ、というわけ。

「分館なくなると困る」

富久山公民館小泉分館
富久山公民館小泉分館

説明会では質問などが相次いだものの、参加者の多くは「仕方ない」と納得し、紛糾するようなことはなかったという。ただ、説明会後、「老人会や各種総会、選挙の投票所などで利用していた場所が廃止評価となった。何とかならないか」と訴える声が年配者を中心に聞かれる。

市議会12月定例会の一般質問では、名木敬一市議(2期)がこうした不安の声を受けて、当局の見解をただしたところ、遠藤一芳財務部長は次のように答弁した。

「残すべき施設を選択し、投資を集中させていく。集約複合化により縮減を進めながら、バリアフリー化など機能を充実させる『縮充』の考え方で見直していきます」

名木市議の地元・富久山町は面積が広く、富久山公民館の分館が3館(久保田、福原、小泉)設置されている。周辺の住民に話を聞くと「廃止案が出ていることを知らなかった」、「無くなると困る」という声が聞かれた。特に小泉分館は災害時避難場所に指定されており、近くを流れる阿武隈川は台風などの際にたびたび氾濫している。

「大雨の際、阿武隈川にかかる逢隈橋を渡って避難するのは現実的でない。老人会や選挙の投票所、習い事などで頻繁に使用しています。高齢化が進む中で貴重な交流の場所となっている施設です」(小泉分館近くに住む年配女性)

名木市議によると、久保田分館の年間維持費は約110万円で、住民は使用料減免を受け使用している。名木市議は「ただ住民からは『使用料を負担しても残してほしい』という意見が出ている。一度は『廃止』と評価されたが、こうした意見が出ていることも踏まえて検討してほしい。また、そこまでして公共施設の再編を進めたいというのなら、各種スポーツ大会での使用料徴収なども同時に議論すべきだと思います」。

富久山町のみならず、「地元の公共施設を残してほしい」という声は出ているだろうから、今後の調整は容易ではないだろう。

担当部署である市公有資産マネジメント課によると、住民説明会で出た意見を計画案に反映させて、パブリックコメントを実施し、1月22日現在、2人から4件の意見が寄せられた。それを踏まえ3月に計画を改訂する。同課の担当者は「計画が改訂されたから、『廃止』などの評価が確定したわけではない。この評価をたたき台に、各地区であらためて事情を聞き検討する」と説明する。

ちなみに、公共施設の話とは少し異なるが、取材中、市内在住の男性から「集会所の運営も岐路に立たされている」という話が聞かれた。

「住民で整備した集会所の整備・改修費用などを市が補助する『地域集会所補助事業』もコロナ禍対応終了に伴い、補助率が3分の2から2分の1になった。町内会の加入率は低下傾向にあり、会員世帯の負担が増える一方となる中での負担増。『市にもっとサポートしてほしい』と考える人も多いです」

持続可能な公共施設マネジメントを考えるのは必要不可欠だが、住民の交流・生涯学習・地域自治の拠点となる施設が存続できなくなれば不満の種となる。こうした不満をどう受け止め、市民への説明を尽くしていくか。椎根健雄市長の腕の見せどころとなりそうだ。


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