さくま・のぶゆき 1958年生まれ。㈱日進堂印刷所代表取締役社長。福島県印刷工業組合理事長。福島県中小企業団体中央会常任理事、同副会長を経て2024年6月に会長就任。
県経済の持続的成長を支援していく
――会長就任から1年半が経過しました。
「2024年6月の会長就任以来、一貫して『現場主義による伴走型支援』を掲げてきました。私自身が積極的に県内各地区のセミナーや組合総会へ足を運び、直接お話をうかがうことで会員組合の皆様との距離感を縮めることに注力してきました。
この間、当会に対する認識に変化が生まれていると実感しています。従来の受動的な情報伝達ではなく、『こういうことで困っている』、『この補助金を自社で使えないか』といった、現場のニーズに基づいた個別相談が増加しました。具体例としては、郡山トラックセンター事業協同組合での合同企業説明会の開催による人材確保、若手経営者を対象とした『あとつぎ塾』の実施、郡山市中央商店街振興組合の駐車場老朽化問題に対する専門家チームの派遣などが挙げられます。
『中央会は身近で相談しやすい存在』という認識が広がりつつあることは、大きな手応えです」
――人手不足、物価高騰など深刻な経営課題への対応について。
「現在、中小企業は深刻な人手不足、物価高騰、そして最低賃金の大幅な上昇という〝三重苦〟の状況にあります。その対応策の一環である『中小企業省力化投資補助金』については、製品カタログから選ぶ『カタログ型』に加え、オーダーメイドの設備導入が可能な『一般型』が創設され、使い勝手が向上しました。
当会としては、制度の周知徹底を図るとともに、補助金ありきではなく、企業の『やりたいこと』に最適な制度を紹介しマッチングさせていきます。喫緊の課題である『価格転嫁』については、サプライチェーンの下位にある事業者ほど厳しい状況にあります。当会が直接交渉に介入するのは制度上難しい面もありますが、他県の成功事例や『団体協約』という有効な手段を広く紹介し、粘り強い価格交渉を後押しします。私も経営経験に基づき、請求書に値上げ依頼文を同封するといった地道な実務事例を共有するなど、企業を支援していきたいと考えています」
――DX推進、カーボンニュートラル(CN)に向けた取り組みは。
「DXやCNへの対応は、今や避けて通れない課題です。特にCNは、取引先からの排出量算定要求などで、中小企業への負担が増していくことが予想されます。福島県は脱炭素に積極的であり、当会も『福島県地域脱炭素推進コンソーシアム』に参画しました。省エネ効果の高い設備更新への補助金活用などを通じ、県と一体となって企業の環境整備を推進します」
今年も現場主義を徹底
――事業承継対策について。
「現在、県事業承継・引継ぎ支援センターなどの関係機関と密に連携し、診断から専門家派遣、後継者育成までを一貫して支援しています。先ほどお話しした『あとつぎ塾』は経営、会計、法務などを体系的に学べるとして好評を得ています。次世代を担うリーダーの育成に一層注力していく考えです」
――2026年度の基本方針について。
「2026年度においても、基本方針は『現場主義の徹底』です。特に1月から適用された新たな最低賃金の影響については、巡回訪問やアンケート調査を通じて早期に実態を把握し、必要な対策を講じていきます。
また、本年度は中央会にとって創立70周年という大きな節目でもあります。記念事業や式典の準備を進めるとともに、職員一人ひとりの専門知識をさらに高め、会員にとって真に『頼りになる中央会』を目指していきます」
――新年の抱負を。
「あらためて思うのは『手遅れになる前の早期相談』の重要性です。経営不安が深刻化し、自社だけで悩み抜いてからでは、解決の選択肢が限られてしまいます。『ちょっと中央会に聞いてみよう』という気軽な感覚で相談をいただけるよう、私たちも県内全域を走り回り、伴走支援のハードルを下げていきます。
結びに、会員組合の皆様の声を背負い、福島の地域経済が持続的に回復し、成長を遂げられるよう、職員一丸となって邁進する所存です」

























