山場を迎えた亀岡元衆院議員「公選法違反公判」

山場を迎えた亀岡元衆院議員「公選法違反公判」

2024年の衆院選直前に選挙区内の祭りに参加した27団体に現金計25万円を配ったとして、元衆院議員の亀岡偉民氏(70)=自民党を離党=が公選法違反(寄付行為)に問われている。亀岡氏は一貫して無罪を主張。寄付主体は「福島メセナ協議会」であり、「活動を手伝っただけ」と反論する。4月22日に福島地裁で開かれた第7回公判には、元公設第二秘書の男性が証人として出廷。検察は同協議会と亀岡氏の政治活動や選挙活動が一体であったことを証明しようと、大手製薬会社の名前を出すなどしてあらゆる角度から質問を重ねた。

「政治活動」と「文化振興への寄付」の曖昧な境界

亀岡偉民氏
亀岡偉民氏

亀岡氏は、2024年10月の衆院選公示直前に福島1区内で行われた六つの祭りに参加した27団体に計25万円を寄付したことが公選法違反に問われている。公選法は、選挙が近いかどうかにかかわらず、選挙区内での寄付をいかなる名義でも禁じている。だが、政治家が実際に立件されるかどうかは警察・検察の胸三寸。捜査機関が亀岡氏の立件に動いたのは、落選し議員バッジを失ったからだと言われている。

亀岡氏側は、「他の議員は自らの名義で寄付している。にもかかわらず会計も運営も別である福島メセナ協議会の活動寄付を手伝ったに過ぎない自分は狙い撃ちされた」と捜査の不当性を訴えている。4月22日の公判で、弁護人は福島市を選挙区に含む国会議員や地方議員を匿名で挙げ、公選法違反に当たる寄付行為を指摘した。県北地域では公職者が祭り参加団体に寄付することが慣習化していることを示す目的だ。

活動次ページ表に福島市東部の中山間地、大波地区で昨年開かれた夏祭りに寄付した議員を匿名で一覧にした。県議6人はいずれも福島市選挙区選出。福島市議は3人だが、それとは別に1人が妻の名義で寄付していた。県議Cは福島市選挙区ではないため表にはない。二本松市内の複数の神社にそれぞれ3000~5000円を寄付していたことから、同市選挙区選出の県議と思われる。

福島市の「大波夏祭り2025」に寄付した議員

種別寄付額言動や特徴
A県 議3000円福島稲荷神社例大祭への現金寄付を示唆
B県 議5000円
D国会議員5000円主催者が呼んでいないのに来た
E県 議5000円
F県 議5000円
G県 議5000円主催者が呼んでいないのに来た
H県 議3000円
I市 議3000円
J市 議5000円
K市 議3000円
他に、ある市議が妻の名義で寄付した 2025年8月時点

元秘書の男性への証人尋問で、弁護側は、福島メセナ協議会が亀岡氏や亀岡事務所とは会計を別にしており、同協議会から祭り参加団体への寄付も文化振興目的で選挙や政治活動とは関係ないことを確認した。

検察側の尋問はあらゆる角度から疑惑に迫った。要点を抜粋する。

【亀岡氏の政治活動について】

――被告人は文部科学副大臣や国民の安全保障を守る議員連盟の会長をしていたが知っていたか。

「はい」

――議員連盟に関して2023、24年ごろの活動は。

「日本の薬不足について活動した」

――新型コロナが蔓延した時期のmRNAワクチンなどの国産化についての活動も政治活動に入るか。

「入ると思う」

【相馬地区の祭礼への寄付】

――2024年より前に相馬地区の祭礼に寄付したことはあったか。

「記憶にない」

――それ以前は寄付していたようだ。なぜ寄付しなくなったのか。

ここで弁護人が「証人は記憶にないと言っている。誤導だ」と異議を唱えた。島田環裁判長は検察官に質問を続けるよう促した。

――なぜ相馬地区には寄付しなくなったのか。選挙区割りの変更が関係しているのでは。

「私はそのようには思いません」

【飯坂温泉での二つの会合】

――2023年12月27日に亀岡偉民後援会主催のセミナーに製薬会社を招待している。メールを出した会社を覚えているか。

「××(大手やベンチャーなど製薬会社3社の実名)と記憶している」

――どのような関係か。医薬安全保障に関する政治活動についてやり取りしていた会社ということか。

「政治活動だけではないがサポートをいただいた」

――案内状はあなたが送った。名義は覚えているか。

「名義については覚えていない」

――「福島メセナ協議会代表亀岡偉民」で送っている。

「間違いだと思う」

ここで同協議会の総会・懇親会を製薬会社に案内した書面が法廷のモニターに映し出された。元秘書は、間違いと思う理由について、「学生インターンに頼んで作成し送ってもらった記憶がある」と述べた。

案内には、福島市の飯坂温泉にある老舗旅館で福島メセナ協議会の懇親会を開く予定が書いてあった。

――亀岡氏の政治活動に関わる製薬会社がなぜ協議会の懇親会に参加したのか。

「協議会の趣旨に賛同いただいた」

――旅館は「亀岡事務所忘年会」で予約している。協議会の懇親会は事務所の忘年会と一緒ではないのか。

「福島メセナ協議会の懇親会に混ぜてもらったということだ」

【福島メセナ協議会】

――2024年に福島市内で開かれたドッジボール大会に協賛申込書を送っている。協賛の名義は。

「覚えていない」

――福島メセナ協議会では。

「そうかもしれない」

――代表者は誰の名を書いたか。

「覚えていない」

――亀岡偉民と記載したのでは。

「覚えていない」

ここで検察官は「福島メセナ協議会 亀岡偉民」と書いてある申込書を示し、元秘書が記入後に運営団体にメールで送ったことを確認した。

――メールには、「亀岡代議士は公選法の関係で協賛はできない」とあり、個人名は出さずに福島メセナ協議会の名義で出すように求めている。このメールを送ったか。

「そうだったかもしれない」

元秘書はメール自体は認めたものの、検察が見立てるような亀岡氏からの寄付を同協議会名義にする意図は否定。公選法への言及は「言葉のあや」とし、あらためて同協議会が亀岡氏の政治活動や選挙活動とは関わりがない別団体であることを主張した。弁護側が再度尋問し、「当初から福島メセナ協議会の名義で出す予定だった。受け手の勘違いを防ぐために、わざわざ公選法に言及した」との証言を引き出した。

【島田裁判長の質問】

――協議会のメンバーは死亡するなどして減り、最後は被告人1人となったということでよいか。

「はい、そうです」

――協議会の総会・懇親会を製薬会社に案内し、同じ日時に同じ旅館で亀岡事務所の忘年会も併せて行った。事務所スタッフもメンバーなのか。

「スタッフはメンバーではない」

――協議会メンバーとして被告人1人が製薬会社の担当者と懇親したという理解でよいか。

「はい」

――そこに事務所スタッフも参加したという理解でよいか。

「はい」

――旅館の予約を亀岡事務所の忘年会として取った理由は。

「予約した者ではないので分からない」

次回は5月20日午後1時半から。秘書の女性への証人尋問と被告人質問が行われる。

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