定数減で激戦必至の二本松市議選

定数減で激戦必至の二本松市議選

 任期満了に伴う二本松市議会議員選挙は、5月24日告示、31日投開票の日程で行われている。今回は定数が22から20に削減される。それに伴い、激戦が予想されるが、選挙の構図を追うと当時に、本誌が注目する3人の動向に迫る。

本誌が注目した3人の動向

 今回の二本松市議選で、大きなトピックとなるのは議員定数が22から20に削減されること。その議論の詳細については、本誌昨年10月号でリポートした。

 同市議会は2024年9月に「議員定数等調査特別委員会」を設置し、議員定数や議員のなり手不足対策等について調査を行った。同委員会では最初に、議員定数、議員のなり手不足対策に関する市民アンケートを実施した。アンケートは18歳以上の市民から無作為に抽出された1000人に郵送した。市内各種団体に協力を依頼したほか、市議会ウェブサイト、市議会だよりで周知したところ、678件の回答を得た。

 その中で、議員定数については、「減らすほうがよい」が76%、「現状維持」が7%、「増やすほうがよい」が6%、「わからない」が11%だった。

 同委員会はこのアンケート結果を踏まえ、県内の状況や、全国自治体の議員定数に関する調査結果などを参考にしながら、昨年8月までに10回の委員会を開催し、調査・検討を進めた。同委員会で「議員定数を減らすべき」との意見では、定数18(現行から4減)、あるいは20(同2減)が多かった。その理由は「市民アンケートで約76%が減らすほうがよいと答えていることを重く受け止めるべき」、「人口5万人未満の市の全国平均が16・8人で、議員定数は削減すべき」、「定数を削減しないということは、アンケート結果を軽視することとなり、説明責任を果たせない」、「市の財政状況を考えると、議員自ら定数削減すべき」というものだった。

 一方、「現状維持」の意見では、「現在の議員数であれば、過疎地域にも目が届き、多くの民意を市政に反映できる」、「議員定数を削減してしまうと、委員会審査が手薄になり、二元代表制が崩れてしまう」、「議会は地方公共団体の意思決定機関であり、議員定数を減らす議論よりも、むしろ議員の質を高めるべき」、「1年間という短い期間の中で結論を出すのは危険」などが挙げられた。

 こうして、「議員定数を減らすべき」との意見と、「現状維持」との意見で割れ、同委員会として定数を削減する・しないの結論には至らなかった。

 昨年9月議会で行われた委員長報告によると、「当委員会の進め方として、委員会の意思決定については全会一致を基本としていたことから、委員会としての合意形成を図るべく、幾度もの協議・検討を重ねてきたが、『定数削減』、『現状維持』の双方の考え方に変化はなく、結果として議員定数に関する意見を一本化するには至らなかった」とのことだった。

 そのほか、アンケートでは、「議員の活動内容」について、知っているが14%、知らないが36%、「議員の仕事に魅力を感じるか」は、感じないが56%、「市議会議員として活動したいか」はやりたくないが75%だった。議員の活動内容の周知不足や、議員という仕事に魅力を感じられない実態が浮き彫りになった。

 そのため、「議員の仕事をより多くの方々に知ってもらうための取り組みも必要」との結論に至ったが、肝心の定数については意見集約できなかった。ただ、同委員会では結論に至らなかったが、昨年9月議会最終日の本会議に議員提出議案として定数削減の条例改正案が提出された。提出者は小林均議員で、定数を2減の20とする条例改正案だった。これに対し、菅野明議員が反対討論を行った後、採決が行われた。結果は賛成10、反対10の同数となり、議長採決で可決された。

 こうして、議員定数が22から20に削減されることが決まり、今回の改選から適用される。

 当初は「定数削減により、新人候補参入の障壁になるのでは」との見方もあったが、4月中旬時点で本誌に伝わっている情報では、新人4人が立候補の意向を示しており、ほかに1人が出馬を模索しているという。前回は新人候補が4人だったから、それと同数か、1人多い新人候補者数になりそう。その点では、当初の懸念は杞憂に終わり、むしろ活性化したということができる。

 一方、現職は22人のうち、佐藤有議員、小林均議員、佐藤源市議員の3人が今期限りで退任する考え。

 つまり、定数20に対し、現職19、新人4〜5人の計23〜24人が立候補する選挙戦になる模様。なお、立候補予定者説明会は4月24日に開催される予定で、本誌は締め切りの関係で、そこに何陣営が出席したかなどは把握できていない。ただ、それを経て、より正確な構図が見えてくるだろう。

 もっとも、ある関係者によると「新人4人(あるいは5人)のうち、2人は入れ替わりの候補です。というのは、(現職で退任する)小林議員は公明党で、同党から後継の新人候補が出ますし、佐藤源市議員も息子が代わって立候補するから、そこは実質プラスマイナスゼロになる」とのこと。

 なお、別掲に前回の選挙結果を示したが、現在の議員構成はこのときの当選者とは異なる。野地久夫議員が2022年12月に亡くなり、欠員1となっていた。昨年11月の市長選に合わせて補欠選挙が行われ、鈴木雅之氏が無投票で当選した。鈴木氏は残任期が7カ月ほどしかない中での初当選となった。

前回の選挙結果  2022年6月5日投開票、投票率60・68%

1893三木 剛43無所属無職
1720本多 勝実57無所属会社員
1642小林 均66公明市議会議員
1470本多 俊昭62無所属農業
1427鈴木 一弘59無所属会社員
1366平 敏子68共産市議会議員
1261佐藤 運喜57無所属農業
1249佐藤 源市72無所属農業
1225武藤 清志65無所属農業
1191斎藤 広二72共産農業
1150野地 久夫71無所属会社員
1134佐久間 好夫71無所属農業
1119堀籠 新一72無所属自営業
1108安斎 政保69無所属農業
1043小野 利美68無所属自営業
999坂本 和広50無所属市議会議員
997菅野 明65共産農業
945斎藤 徹51無所属会社役員
937熊田 義春64無所属造園業
891加藤 建也65無所属美容師
853高宮 正彦55無所属会社員
791佐藤 有74無所属農業
413三浦 義伊65無所属農業

注目の3人に迫る

 ここからは本誌が注目した3人の動向に迫っていく。

 1人目は佐藤源市議員(76)。実は佐藤源市議員については、本誌投稿フォームに真偽不明の投稿が複数件寄せられていた。一方で、投稿内容からすると選挙を意識したものであった可能性もあるため、佐藤源市議員を直撃するべきか迷ったが、今期限りで引退するとの情報が入ったため見合わせた。そういう意味では、もし次も出るとしたら注目候補だったというだけで、すでに「終わった話」になる。

 2人目は新人の後藤由紀氏(53)。市内でドライフラワーショップと、フラワーアレンジ教室を経営している女性候補だ。

 市内で「市議選の注目候補は?」と聞くと、後藤氏の名前を挙げる人が多かった。

 ある市民はこう話す。

 「いま、二本松市は女性議員が共産党の1人しかいないからね。そんな事情もあってか、後藤さんが立候補するということになったら、応援してくれる女性が結構多いみたい。新人でそれなりに票を取りそうだから、(現職候補で)誰がその影響を受けるのか、ということも含めて注目だと思います」

 後藤氏に立候補のきっかけなどを聞くと、次のように話した。

 「立候補のきっかけと言われると、いろいろな要素があるので、一言では難しいですね。ただ、高校卒業後に若い人が出ていってしまったり、そもそも子どもが減っていたり、産院がなかったり、あるいは高齢者が免許返納後の日常生活に困っていたりと、いろいろな課題がある中で、二本松市の活性化、未来のために何かできることはないか、という思いは持っています」

 3人目は現職の坂本和広議員(54)。坂本議員については「参政党の勉強会に参加しているようだ」とか、「神谷宗幣代表が県内で演説を行った際、見に行ったら、坂本議員も来ていた」との情報があり、「次は参政党から出るのではないか」といった見方が広がっていた。

 坂本議員に確認すると「参政党に公認申請をしています」と認めた。本誌が坂本議員に聞いたのは4月23日だが、その時点で「公認申請中」とのこと。

 「近く、県支部、東北支部の面談があり、その後で代表面談があります。時間的な問題(市議選の告示に間に合うかどうか)もあって、どうなるかは分かりませんが、参政党に公認申請していることは間違いありません」(坂本議員)

 ここ3回ほどの同市議選は、いずれも定数プラス1の選挙戦だったが、今回は定数を3〜4人超える選挙戦になり、近年の選挙戦以上の激戦になることが確実視される。

 定数削減により、「安泰」でなくなる現職が続出する可能性や、旧二本松、安達、岩代、東和の4地区の地域代表的な性質が強い中で、各地区の議員数がどう変動するか、さらには複数の新人候補がどんな風を吹き込むのか、注目点が多い選挙戦と言えよう。

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