わたなべ・ふみひろ 1981年生まれ。会津若松市出身、若松商業高校卒。昭和村役場、奥会津昭和村振興公社などを経て民間電気工事会社に勤務。今年4月の昭和村長選で初当選を果たす。
――先日行われた村長選で初当選を飾られました。
「初めての選挙だったので分からないことも多く、村の選挙に詳しい方々に教えていただきながら戦いました。多くの皆様に応援していただいたことへの感謝の気持ちは、選挙が終わった瞬間に強くこみ上げてきました。人生でこのような経験はなかなかできるものではなく、初めての貴重な体験でした。一方で、信任をいただいた方もいれば、ご批判の声があったこともしっかり受け止めています。さまざまなご意見を、村民の皆様の声として受け止め、これからの村政運営にしっかり生かしていきたいと考えています。
一番大事にしているのは『村民の皆様の声を聞く』という姿勢です。その点で言うと役場職員も村民の一人ですから、まず内部の声を聞き、それをどう形にしていくか等々を含めて今準備を進めているところです。役場が『行きづらい』という声も村民の方々から届いていますので、職員と村民の間に立ってより良いサービスを提供できる組織にしていきたい。村民と役場、両方の声を聞いて改善につなげていく、この姿勢を1年目から大切に貫いていきます」
――昭和村役場や民間企業勤務の経験をどう生かしていきますか。
「役場では総務課税務係に在籍していた時期に、当時の上司に書類の読み込みなどを徹底的に鍛えていただきました。行政の仕事の進め方が大まかに分かることは、まったく経験のない方より強みになると考えています。観光協会と協議しながら道の駅運営や観光関連業務に携わった経験もあり、本村が持つ観光資源についても一定の知見があります。離れていた時期もあるためギャップを埋めつつ、本村だけでなく近隣首長とも横断的に協力しながら観光動線をつくっていきたいと考えています。
民間の電気工事会社時代は、年齢を重ねてから入ったので現場仕事は厳しいことも多かったのですが、配線工事から最終の照明取り付けまで、ゼロからつくり上げる過程で、設計事務所、設備業者、建築会社、現場の職人さんなど、多様な相手と調整しながら現場代理人として責任を負ってきました。電気の知識を持って各業者と『電気はこうする』『じゃあそこはこう変えよう』と細かく調整しながら一つの建物を完成させていく仕事です。多方面の声を聞き、調整し、1つの形にする力は、村民の皆様、役場職員、外部関係者の話を聞いて施策をまとめていく作業に必ず役立つはずです」
――豪雪地帯である昭和村にとって、高齢者の雪かきや冬期の通院などを支援する仕組みづくりは重要になると思います。
「保健福祉課では、すでに住民に対する雪関連の支援事業を実施しており、例えば屋根の雪を落としやすくするための熱線設置への補助を行っています。本村の家屋は基本的に板金屋根で雪が落ちる構造になっていますが、屋根の一番高い部分の雪は落ちにくく、暖房を焚いていても落ちきらない屋根の傾斜の家もあります。熱線を入れることで雪下ろしの負担が軽減されますので、住居以外の大きな小屋への導入も補助の対象としています。
既存制度をベースに、村民の皆様の声を聞きながら、足りない部分や改善すべき点を精査し、制度設計を進めていきます。財源面では厚生労働省の中山間地域向け支援事業の活用も視野に入れており、北海道や高知県では同種の事業を県単位で活用し、買い物支援や電球の取り換えなど『民間では目が届きにくい細かな福祉サービス』が展開されています。本村でもこうしたきめ細やかな支援を事業化する意義は十分にあると感じており、当初予算はすでに決まっているため、補助制度等の調査・活用を進めるほか、国・県への要望を行い財源確保に努めていきます。高齢者の方々が買い物や通院に困らず、豪雪地帯で安心して暮らせる仕組みを着実につくっていきます」
――選挙公約に掲げた小水力発電や、外貨を稼ぐ取り組みについて。
「中東情勢の影響で原油や灯油の価格が上昇するなど、エネルギーは死活問題です。遠い国の話と思いがちですが、地方に住むおばあちゃんの家の灯油代が上がるという形で確実に村民生活に直結しています。電気も遠くでつくると電圧降下が生じるため、まずは小さくても村内で発電し村で使う『エネルギーの地産地消』を進めていきたい。下郷町など県内中山間地域でも小水力発電の導入事例が複数あり、こうした先進事例を住民の皆様に提示しながら理解と協力を得ていく予定です。防災面でも非常に重要な取り組みで、本村に適した規模・場所を住民の声を聞きながら絞り込み、財源面については国・県と協議しつつ事業化を目指します。エネルギーへの投資は国も後押ししている分野ですから、本村に合った形で展開していきたい。
外貨を稼ぐ取り組みは、ふるさと納税にまだ伸びしろがあると考えています。本村は他町村と比べて寄付額が少額であると感じており、簡単に伸ばせるものではないものの、アイデアを集めて重点的に検討していきます。村財政は厳しい状況で、外部からの収入確保が今後の村政運営の安定につながると考えています」
――道路インフラなど国・県への要望について。
「道路では国道401号の新鳥居峠や国道400号の未改良区間について、近隣の町村と足並みを揃えて重点的に要望を続けていきます。さらに中山間地域の小さな村に合った制度の提案や要望についても国・県に上げていきたい。財政的に厳しい山間部の村に合った制度づくりを訴え続けることが、今後の村政運営の鍵になると考えています」
――来年は合併100周年に当たります。
「来年は、昭和2(1927)年11月23日に、旧野尻村と旧大芦村が合併して昭和村が誕生してから100周年を迎えます。村民の皆様、外部の方も巻き込んだワクワクするような取り組みを観光振興と結びつけながら準備していきます。100周年は単なる節目ではなく、これからの新しい昭和村を皆様と一緒に描く出発点にしたいと考えています」
――今後の抱負。
「新総合計画では『平らな心で心地よく暮らせる村』という考え方が大切にされています。安全・安心で年を重ねても暮らせる村をどうつくるか。今までのやり方では草刈りも難しい場所が出てきている中、これまでと違うやり方も取り入れながら、住民の皆様と価値観を共有して築いていく必要があります。声を聞く姿勢を軸に、ご批判も受け止めながら着実に前へ進んでいきます。100周年を一つの節目に、皆様と一緒に新たな昭和村を歩んでまいります」

























