矢祭町山下字満王田地内の保安林で、大規模な盛り土が放置されている。県は昨年11月、盛土規制法などに基づき土地所有者らに災害防止措置を講じるよう監督処分を行ったが、改善には至っていない。
その後、今年6月には棚倉署が森林法違反(保安林における無許可の土地形質変更)と盛土規制法違反(特定盛土等規制区域における無許可工事)の疑いで、茨城県つくば市の土木工事業「秋津洲工業」代表の長嶺嗣義容疑者ら3人を逮捕した。
逮捕容疑は県が「特定盛土等規制区域」に指定する山林で、関東地方から搬入した土砂を無許可で盛り、保安林の土地の形質を変更した疑い。
この事業者は、隣接する西郷村の違法盛り土問題でも起訴された土砂処分業者。栃木県など隣県で土砂搬入を規制する条例が設けられる中、当時規制が追い付いていなかった福島県内の土地を取得し、大量の土砂を搬入したとみられている。
町によると、2023年6月ごろから大規模な盛り土が行われ、翌年5月ごろに土砂搬入は中断したが、その後は放置されてきた。現場は県道や河川に近接しており、豪雨や地震で崩落すれば、人的被害や生活道路の寸断につながる恐れがある。
町は県への意見書提出や地元国会議員らと連携した現地視察などを通じて、対応を求めてきた。しかし、履行期限の2027年9月末まで残り1年余となっても、冒頭で述べた通り、危険な状況は続いている。
監督処分が行われても、違反者が対応しなければ危険な盛り土が長期間放置される――。現行制度の課題が浮き彫りになった格好だ。
こうした状況を受け、佐川正一郎町長は7月27日、「危険な盛土の是正に係る制度強化及び財政支援に関する要望書」をまとめ、自民党の森雅子参院議員(本県選挙区)、上杉謙太郎衆院議員(本県3区)に改善を訴えた。茨城、栃木など近県選出の国会議員にも要請したという。
要望の柱は、①違反者が是正命令に従わない場合でも、確実に危険な盛り土を是正できるように法制度・運用の強化を図る、②行政代執行を迅速に実施するための仕組みの充実、③代執行に伴う自治体の負担を軽減する国の財政支援制度の創設・拡充、④不適切な盛り土の未然防止及び早期是正のための国、都道府県、市町村の連携強化――の4点。
盛土規制法によって違法盛り土を防ぐための全国一律の規制が整備された一方、今回のように違反者が是正に応じない場合に「誰が、どのような負担で盛り土を取り除くのか」という問題が残る。このままでは盛り土をされた地域の「やられ損」になってしまう。
矢祭町と前述の西郷村はいずれも県境に位置する。関東地方から比較的近いうえ、山林が多く、人目につきにくい場所も少なくない。県境を越えて土砂が持ち込まれる実態を踏まえ、国や県、周辺自治体が連携し、盛り土規制の実効性を確保していけるかが問われる。






















に向けて掲げられたプラカード。過激な言葉が並んだ=2025年10月19日、仙台市青葉区河北新報提供-002_eyecatch-520x305.jpg)



