会津若松市は今年4月から「家庭ごみ有料化」を実施した。それからまだ間もないが、6月議会(6月4〜19日)では関連の一般質問が複数あった。その中で見えてきた有料化後の状況と、今後の課題について考えていきたい。
5%の「不適正排出」にどう対応するか

最初に、なぜ会津若松市が「ごみ有料化」に踏み切ったのかを説明しておこう。
最大の理由は、「新ごみ焼却施設の処理能力オーバーの危機」だった。
ごみ処理を担う会津若松地方広域市町村圏整備組合は、同市を含む10市町村で構成され、同組合では2020年度から新ごみ焼却施設の整備を進めてきた。それに当たり、人口減少でごみ減量が進むことを想定し、既存施設より焼却能力が低い設計とした。「人口減少が進み、ごみ排出量減少が予想される中、従前通りの焼却施設は必要ない。コストを抑え、従前より規模の小さいもので十分」ということだ。
新焼却施設は今年3月に稼働開始したが、その設計・建設期間中に、各構成市町村でごみ減量目標を設定していた。会津若松市は燃やせるごみの排出量を1日当たり82・1㌧まで減らす目標だった。これに対し、2023年度の実績値は98・2㌧で、目標まで16㌧ほどの開きがあった。
そうした中、2024年5月に「ごみ緊急事態宣言」を発令し、同年6月から半年間を「緊急減量期間」と位置付け、ごみ減量の目標値達成を目指した。緊急減量期間の目標は前年比12%以上削減とした。その間、街頭での呼びかけや、ごみステーションでの立ち会い・排出説明、タウンミーティングや地域座談会の開催、事業者団体会合での講演、ガイドブックの全戸配布、テレビ・新聞報道などでの周知啓発を行ってきた。その結果、一定程度の削減にはつながったが、目標達成には至らなかった。
こうした結果を受け、同市は2026年4月から有料化する方針を決めたのである。
有料化の基本的な考え方は、市民が家庭ごみを集積所に出す際、指定のごみ袋で出すようになる。金額は1㍑当たり2円。これまではスーパー、ホームセンター、ドラッグストアなどで、市販のごみ袋を購入し、そこにごみを詰めて出していた。ごみ袋の価格は30枚入りとか、50枚入りで数百円。一方、指定ごみ袋は、従来通り市内のスーパー、ホームセンター、ドラッグストアなどで購入できるが、価格は1㍑当たり2円だから、20㍑で1枚40円、それが10枚入りで400円になる。従来のごみ袋の数倍の価格だ。
この負担がどれほどのものかは判断が分かれるところだが、市民からしたらごみ袋が変わり、これまでより割高のごみ袋を使うことによって、手数料を負担する形になる。要するに、袋代が高くなった分が手数料になるということ。それをもって「ごみ有料化」ということになる。これに対し、プラスチックや古紙などの「資源物」は指定ごみ袋がない。これによって、「しっかり分別して資源に回せば、袋代を浮かせることができる」というわけ。この動機付けで、家庭系可燃ごみの削減につながることが期待されている。
こうしてスタートしたごみ有料化。現状、3カ月ほどが経過したが、議会でもその後の動向を質すシーンがあった。6月議会では関連の一般質問が複数あった。
想定を大きく超える駆け込み排出
別表は、議会での質問・答弁を基に、有料化前後のごみ排出量の推移をまとめたもの。導入直前の2月、3月には、相当な「駆け込み排出」が発生したことがうかがえる。
有料化前後のごみ排出量の推移
| ごみの種類 | 2月 | 3月 | 4月(有料化後) | 4月の前年同月比 |
| 燃やせるごみ | 1646㌧ | 3,052㌧ | 1,143㌧ | 58%(42%減) |
| 燃やせないごみ | 291㌧ | 942㌧ | 113㌧ | 53%(47%減) |
| 粗大ごみ受付件数 | 811件 | 3,156件 | 87件 | 10%(90%減) |
燃やせるごみは、3月は3052㌧で前年同月比180%。燃やせないごみは、2月が291㌧で前年同月比588%、3月が942㌧で前年同月比620%、粗大ごみ受付は3月だけで3156件で前年同月比550%に上った。最大で、前年同月比で6倍以上になったのである。
市は他自治体の事例から駆け込み排出を「2・3倍程度」と想定していた。ただ、前述したように、実際には最大で約6倍に達し、燃やせないごみの仮置きが必要になるなど、想定を大きく超えた。
その要因について、市は「有料化を契機に整理しておこうという気持ちが働いた」としたうえで、「会津地方特有の大きな小屋や蔵がある家庭で、一気に片付け(断捨離)が行われたためではないか」との見解を示した。
一方、有料化が始まった4月に入ると状況は一変。燃やせるごみは1143㌧(前年同月比58%)、燃やせないごみは113㌧(前年同月比53%)と劇的に減少したのだ。
室井市長は「想定通りのごみ減少と資源化の効果が見られている」と答弁し、手応えを口にしている。
もっとも、これだけを見ると、2月、3月は有料化前の駆け込み排出で大幅増となり、4月はその反動で減少した可能性もある。議会では4月分までしか数字が明かされなかったが、その後、本誌が市環境共生課に問い合わせたところ、本稿締め切りの6月24日時点で、5月分のデータは公表されていないとのこと。
ただ、同課担当者によると「詳しい数字はこれから公表になりますが、おおむね4月と同程度の水準になっていると考えてもらって構わない」との説明だった。
こうして聞くと、今後さらに長いスパンで見ていく必要があるものの、出足としては順調と言えそう。
実際、同市在住の女性(60代)は有料化の効果を実感する。
「集積所の可燃ごみが以前の半分になりました。剪定した木の枝や草のごみ出しはめっきりなくなりましたね。私は今まで草むしりをしたらそのままごみ袋に入れて出していたのですが、土を落として乾燥させ、かさを減らしてから捨てるようになりました。以前は指定外の45㍑の袋に入れている人が多かったのですが、指定ごみ袋の容量上限は40㍑で、上限が決められた分、みんな減らすようになったのではないでしょうか。最近では40㍑すらあまり見かけず20㍑が多い。分別を考えながら捨てなくてはならないのは面倒ですが、当然のことだと思います」
不適正排出者の存在
一方で、課題もある。それが不適正排出者の存在だ。
以下は、有料化後の状況について問われた際の室井市長の答弁より。
「委託業者からの報告や町内会からの相談により、指定ごみ袋を使わないなどの理由により、残された不適正排出ごみへの対応に困っているとの状況を把握しています。この対応については、町内会等からの連絡を受け、職員が現地を確認し、町内会と連携しながら適正排出を促しており、市民の皆様の協力により排出状況の改善が進んでいるものと認識しています」
市の答弁によると、「不適正排出のないゴミステーションが95%超」とのこと。大部分は適正に排出されているということだが、裏を返せば約5%のごみステーションでは、指定ごみ袋が使われていないなどの不適正排出(違反ごみ)があるということになる。市の要綱では、ごみステーションの設置や維持管理は「町内会等の責任においてなされるもの」と規定されている。そこに違反ごみが取り残されたとなると、町内会が対応しなければならない。
こうした実態に対し、議員から市のサポート体制の遅れを追及する場面があった。
市は町内会の負担軽減策として、違反ごみの処理に使う「町内会用指定ごみ袋(引換券)」や「交付金」の準備をしていたが、4月の有料化スタートに配布が間に合わず、発送が6月以降にずれ込んだ。
議員からは「一番混乱している4〜5月のスタート時に、町内会用指定ごみ袋や交付金が手元にないのはおかしい」と、現場の不満を代弁する指摘があった。
市は「(関連予算を盛り込んだ)当初予算の議決後、準備に時間を要した」と弁明し、準備ができ次第早急に発送すると答弁した。
そのほか、見守りカメラの貸し出しを実施するなど、ごみステーションへの不法投棄対策を進める考えを示した。
前段で、ごみステーションは町内会が設置していることを説明した。このことについて、議会では「ほかのエリアからわざわざ捨てに来る人がいる」「町内会費を払っていない未加入者の対応はどうすればいいのか」といった声が現場から出ていることを指摘。そのうえで「市民と市の関係に新たな亀裂を生じさせかねない。市当局の判断で始まった制度なのだから、行政の責任において解決すべきだ」と、町内会任せの管理体制の見直しを迫った。
これに対し、市は「ごみステーションは町内会が費用を負担して管理しているため、基本的には所属する町内会の場所へ出すもの」としつつ、未加入者に対しては「ごみステーション利用にかかる協力金の支払い」や「ごみ当番への協力」など、町内会と話し合って解決している事例を挙げ、「地域性に合わせた仲介や助言、相談対応を引き続き行う」と答弁した。
議会後、本誌が市環境共生課に問い合わせたところ、やはり課題として「不適正排出の改善」を上げた。
「町内会と連携して改善に取り組むほか、6月からは市職員がごみステーションで朝の立ち会いをするなど、改善や周知徹底に努めています」(市環境共生課の担当者)
ごみ有料化から数カ月が経ち、「制度の周知」という第一段階から、「不適正排出の改善」、「個別トラブルの解決」といった第二段階に移行していることがうかがえる。
市は、「今後は制度周知などの広報活動より、ごみの出し方に困っている市民一人ひとりへの対応や、不適正排出に悩む町内会に寄り添った対応に注力する」との考えを示した。
ごみ有料化は、財政負担軽減や環境意識向上という点では一定の成果が見え始めているが、そのシワ寄せが町内会に及んでいるようでは成功とは言えない。不公平感が生じたり、一部住民(町内会)だけに負担がかかることがないよう、行政による踏み込んだ支援が求められている。

























