1967年生まれ。会津坂下町出身。埼玉大学工学部卒。1990年4月に県職員となり、会津若松建設事務所長、土木部次長などを経て、2024年4月から現職。
県土木部は、県民の安全・安心な暮らしを守り、地域経済を支えるための社会資本(インフラ)の整備や維持管理などを担う。特に近年は自然災害が多く、防災・減災や有事の際の迅速な対応が求められる。そうした課題に加え、昨年発生した積算システムの不具合の再発防止策などについて、矢澤敏幸県土木部長に話を聞いた。
安全で豊かさを実感できる県土づくりを推進していく。
――昨年、積算システムの不具合により、入札中止や契約解除が発生しました。こうしたトラブルの再発防止策について。
「令和7年10月1日の土木工事標準積算基準の改訂に合わせ、県土木部が使用している土木工事設計積算システムの改修を行いましたが、一部の単価の誤りによって設計金額や最低制限価格等が誤っていることが判明したことから、入札手続きの中止等を行いました。
県と委託先であるシステム管理運営会社とのやりとりにおいて、積算システムで入れ替えるべき単価に漏れがあったことから、県と委託先におけるチェック体制を強化し、再発防止に取り組んでまいります」
――いわき石川線石川バイパスの事業進捗と開通効果について。
「いわき石川線は、いわき市を起点として石川町に至る延長約54㌔の主要地方道であり、中通りと浜通りを結ぶ重要な幹線道路です。また、南東北の物流拠点である重要港湾小名浜港と中通りをはじめとする県内の各産業集積地を結ぶ物流の支援道路として、地域経済を支える大きな役割を担っております。石川バイパスは、石川町中心市街地の交通渋滞の緩和や狭隘区間の解消を目的として平成16年度に事業着手し、令和5年2月には2工区全区間(3・36㌔)が開通しており、現在は残る1工区(1・66㌔)の整備を進めております。現在、施工現場では本線の舗装工事を進めるとともに、接続する国道118号との交差点部に右折レーンを設置する工事を実施しており、今年夏頃の全線開通に向けて着実に事業が進捗しております。
全線開通により、中通りと浜通りの連携が更に強化され、物流の効率化や広域観光の促進、救急医療ネットワークの強化など、多方面にわたる効果が期待されております。また、今年9月には、福島県内37カ所目となる『道の駅石川』が開業予定です。石川バイパスの全線開通によりアクセス性が高まることで、道の駅への多くの来訪者が期待されるほか、町内の飲食店や商店、観光施設への周遊促進など、地域全体への波及効果も期待されております。石川バイパスの全線開通後は、中通りと浜通りを結ぶ移動の利便性が大きく向上し、沿線地域の交流も一層活発になることが期待されます。是非、石川バイパスを利用しながら、石川町や近隣地域の豊かな自然、歴史、文化など、地域ならではの魅力を感じていただきたいと思います」
復興祈念公園の概要
――5月2日に開園した福島県復興祈念公園の施設概要について。
「福島県復興祈念公園は、沿岸部の双葉・浪江両町にまたがるエリアに約46・4㌶の広さを有した公園であり、7つのエリアで構成されております。そのうち、福島県が整備した6つのエリアについて紹介いたします。
①多目的広場
復興に関するイベントをはじめ、様々な活動ができる約3㌶の芝生広場が広がります。災害時の臨時ヘリポートの機能も備えております。
②中野地区集落
地震や津波による被災の後、原子力発電所事故の影響により長期避難を余儀なくされた集落の面影が遺されております。
③さくらの丘
オオシマザクラをはじめとした桜の木が、地域の復興を見守る丘に植栽されております。
④だんご山
その特徴的な見た目から、地域の方々に『だんご山』と呼ばれておりました。山の周辺では震災以前にあった水田の風景が広がります。
⑤両竹地区集落
震災前、集落にあった家屋等の位置を盛土で示すとともに、花や緑からなる新たな風景の創生を目指し、多くの方々と協同で植栽活動を行っております。
⑥水辺の広場
地震による地盤沈下と、その後の冠水により生じた湿地を中心に自然が再生する姿を見守っていくエリアです。
その他、デザインや構造面で特徴的な施設として、公園内でインフォメーション機能を担う管理棟や、国が整備した『国営追悼・祈念施設』と他のエリアをつなぐ公園橋があります。管理棟は県産木材や天幕を使用した大屋根のあるイベントスペースを有し、公園橋は上部工に船底形のスレンダーな断面、橋脚にはテーパー付き六角形断面を採用しております。いずれの施設も杉板型枠を用いたコンクリート打設により、表面に木目を転写した仕上げとし、デザインの統一も図っております」
――今年度の重点事業について。
「1つは東日本大震災からの復興・創生です。県道小野富岡線をはじめとする、避難地域の住民帰還や浜通り地方の復興を支える『ふくしま復興再生道路』や、県道井手長塚線などの復興拠点へのアクセス道路等の整備を推進してまいります。さらに、復興が進む市街地の浸水被害等を軽減させるための請戸川水系における治水対策のほか、特定復興再生拠点区域や特定帰還居住区域の土砂災害防止に向けた砂防施設の整備等により、帰還住民の安全度の向上に取り組んでまいります。
もう1つは、防災・減災、国土強靭化及び安全・安心の確保です。近年の気候変動による豪雨や大雪、大規模地震などの自然災害に備え、県民生活と地域経済を支えるインフラ整備を進めていく必要があります。
昨年4月には、新潟県境に近い国道252号の冬期通行止め区間において、橋梁が雪崩で流失していることが判明し、現在、仮橋の設置・片側交互通行により交通解放を行っているところです。国道252号は、本県と新潟県を結ぶ重要な路線であることから、早期の全面開通に向け、復旧工事等を進めております。
また、緊急輸送道路等の落石対策や、雪崩等の危険箇所への防護施設等の整備も進めてまいります。
激甚化する豪雨対策としては、流域内のあらゆる関係者と連携しながら、流域治水の推進を図るとともに、特定都市河川に指定した釈迦堂川、逢瀬川及び谷田川について、早期の流域水害対策計画策定に向け、関係機関等と連携し検討を進めてまいります。
令和8年度は、『第3期復興・創生期間』、『第1次国土強靱化実施中期計画』の初年度となることから、県土全域の将来像を見据えた社会資本の整備に取り組み、将来にわたり安全で豊かさを実感できる県土づくりを推進してまいります」

























