わたなべ・けんいち 1965年、南会津町生まれ。東京農業大学農学部を卒業後、開当男山酒造醸造元。福島県酒造組合副会長を経て、2022年5月より現職。
――2025酒造年度の全国新酒鑑評会で本県は金賞受賞数2年連続日本一を達成しました。
「2年連続日本一は大きな励みであり、長年、品質向上に取り組んできた県内蔵元の努力の積み重ねが結実したものです。入賞銘柄32は新潟・長野両県の29を上回って全国最多、金賞20銘柄は7年ぶりで、本県の日本一は2005酒造年度以降で9度目です。福島の水・米・気候、そして組合を挙げて取り組む『清酒アカデミー』などの技術研鑽の土壌が本県の強みを支えています。鑑評会は技術力を示す重要な舞台ですが、最終的にはお客様の食卓で選ばれる酒であり続けることが大切です。受賞を一過性に終わらせず、品質日本一の県として国内外への発信を強めていきます」
――昨年度の出荷状況は。
「県全体で前年比94%、コロナ前の水準に戻りきれない中でのマイナスで、厳しい数字です。コロナ以降に消費動向がガラッと変わったことが最大の要因で、直近では物価高や中東情勢の不安が重なり、消費者の財布の紐が固くなりました。嗜好品である日本酒は商品が回りにくくなっており、特に飲食店向けの落ち込みが目立ちます。世界情勢は我々ではどうにもなりませんが、金賞日本一の品質を前面に出して、消費喚起のPRや海外販路の開拓に粘り強く取り組んでいきます」
――2026年度の事業展開は。
「5月の『春の福島美酒めぐり』を皮切りに、6月6・7日には『福島酒味噌醤油まつり』を開催し、DCキャンペーンとの相乗効果で2日間延べ約2万人にご来場いただきました。6月19・20日には東京の全国日本酒フェアに組合として出展し、首都圏のファンに直接アピールしました。県内では冬の福島美酒めぐりも予定しています。また、新規事業として、6月24日に『酒蔵・酒米生産者連携 酒米生産拡大推進大会』を初開催し、酒蔵と酒米農家が一堂に会して福島県産酒米の特徴を学ぶ勉強会、蔵と農家をつなぐパネルディスカッション、福島の食材と県産酒の試飲会を行います(※取材は同大会前に行った)。酒米は食用米への切り替えで生産量が減少し、ここ2年で価格がほぼ倍になっています。燃料・瓶・ラベルなど資材も高騰し蔵元経営は厳しさを増していますが、酒米が確保できなければ酒造りは成り立ちません。生産者と蔵が手を携える仕組みづくりに本気で着手します」
――今後の抱負を。
「需要開拓のイベント事業と酒米確保の事業に加え、技術力向上の柱として清酒アカデミーと高品質清酒研究会の充実を継続します。来年も多くの金賞を獲得できるよう、今からスタートして組合を挙げて研鑽を重ね、『品質日本一』の名にふさわしい福島の酒を磨き続けてまいります。歯を食いしばってでも、皆で力を合わせて福島の酒文化を未来へつないでいきます」

























