ほし・まなぶ 1947年1月生まれ。日本大学東北工業高卒。下郷町建設課長、助役、副町長などを経て、2013年9月の町長選で初当選。現在4期目。県町村会長も務める。
――昨年の町長選を制し、4選を果たされました。選挙戦の総括と4期目の抱負を伺います。
「多くの町民の皆様からご支持をいただき、引き続き4期目の町政運営を担わせていただくことになりました。寄せられた期待の大きさ、町政を預かる責任の重さをあらためて実感し、これまで以上に身の引き締まる思いです。私は町内の隅々まで足を運び、皆様の声を直接伺ってきました。少子高齢化や後継者不足、有害鳥獣による農作物被害、物価高騰への不安、子育て世帯への支援や老朽化したインフラの整備など、暮らしに密接に関わる声が数多く寄せられました。これら一つ一つに真摯に耳を傾け、『よりそう行政
挑戦する下郷』を基本姿勢に、町民の皆様とともに課題を乗り越え、持続可能な町づくりを着実に進めていきます。
4期目は農業振興、観光振興、そして教育に力を注ぎます。とりわけ教育は人口減少に歯止めをかける鍵であり、子どもたちが地域に残り、戻ってくれる町をつくることが何よりの少子化対策だと考えています。4期目は仕上げの4年と捉え、積み上げてきた施策を一つ一つ形にし、決意を新たに、さらなる町政発展へ全身全霊で取り組みます。町民の信頼に応えることこそ私の責務であり、現場の声を起点とした町政を貫きます」
――4期目の柱、観光振興の具体策は。
「本町には大内宿という、下郷町だけでなく福島県、ひいては日本を代表する観光地があります。大型連休には3、4㌔に及ぶ渋滞が生じるほど多くの方が訪れますが、日帰り客が中心で、これを滞在型の観光へと育てなければなりません。湯野上温泉地域には、観光関連や地域のコミュニティー関連施設の充実、大内宿においては、修理・修景事業の推進を図っていく所存です。昔ながらの景観を守ることが、そのまま地域の魅力となり、定住につながると考えています。大内宿は世界に誇れる景観であり、磨き続ければさらに大きな力になります。湯野上温泉郷などへの冬の誘客にも力を入れ、通年で人を呼び込みたいです。観光に携わる宿や店は高齢化が進んでいますが、人の流れが戻れば、夫婦やその家族、パートとして働く人の雇用も生まれます。
町の玄関口である道の駅も、地元の農産物や特産品を発信する拠点として磨きをかけます。そのためには観光地へアクセスする県道や町道の整備が欠かせません。県の事業で進む道路を生かすにも、それをつなぐ町道が整っていなければ渋滞は解消せず、消費も地域に落ちません。さらに宅地を造成し、住宅を整備して、若い世代が住み続けられる環境をつくります。会津管内では比較的雪が少なく、通勤にも便利な本町の強みを定住促進に生かしていきます」
――県町村会長としての1年を振り返って。
「町村を取り巻く環境は、急速な少子高齢化や人口減少、農林水産業の衰退、長引く物価高騰による地域経済の低迷など、厳しい状況が続いています。加えて東日本大震災・原発事故から15年余りが経った本県では、帰還環境の整備や廃炉・処理水対策、除去土壌の再生利用・県外最終処分など困難な課題が山積し、復興は道半ばです。全国的には風化が進んでいますが、被災地の現状は今なお復興の途上にあります。廃炉や処理水の対策は、科学的根拠と社会的な理解のもとで安全・確実に進められなければなりません。
復興と併せて喫緊の課題である地方創生にも、これまでの反省を踏まえた実効性のある施策が欠かせません。県町村会では人口減少を筆頭に19項目の要望をまとめ、国へ働きかけてきました。地方交付税など財源の確保も大きな課題です。本県は公共事業が多く、建設業が地域の雇用を支えています。1社で50人規模の従業員を抱える会社もあり、仕事が減れば雇用も失われてしまいます。道路整備をはじめ公共事業の予算を確保することが、地域経済の活性化に直結します。復興の一層の加速化へ、国へ粘り強く必要な働きかけを続けます。残る任期も全国町村会や地方町村会、関係団体との連携を強め、県下町村の振興発展に寄与していきます」
――総合計画の進捗と今年度の重点事業は。
「第7次総合計画は令和7年度から11年度までの5年間のまちづくりの指針で、2年目を迎えます。『人口減少』と『少子高齢化』という地域社会が直面する課題に正面から取り組むのが基本姿勢です。今年度は高校生通学支援補助金を新設し、町内に住み高校へ通う生徒の通学費の3分の1を補助します。子育て支援の一層の充実を図るものです。
高齢者タクシー助成も、高齢者や障害のある方が住み慣れた地域で自立した生活を送れるよう、1人当たり3000円増額し、1万5000円としました。防災面では国・県の防災計画の修正に合わせ、町の地域防災計画とハザードマップを更新します。さらに小学校の統合も大きな重点事業で、今年度は調査費を計上し、来年度は本格的な設計に入ります。いずれも町民の暮らしに身近な施策です。統合後も通学への支援と安全な環境づくりに万全を期し、若い世代が安心して子育てできる町を全力を挙げてつくります。『認め合い、支え合う』『つながり、創造する』『未来への責任を持つ』を基本に、関係機関や町議会と歩調を合わせ、『魅力あふれる未来へつなぐまち下郷』へ歩み続けます」
町制70周年を迎えて
――町制70周年の総括を。
「1955(昭和30)年4月に楢原町、旭田村、江川村が合併して下郷町が誕生し、昨年で70年を迎えました。高度経済成長と急速な地域開発が進む中、本町も道路交通網の整備や農業振興、観光資源の開発を着々と進めてきました。
そのような中、昨年12月に開催した記念式典には、国会議員の先生方をはじめ約130名にご列席いただき、盛大に挙行できました。先輩各位と町民の皆様のご尽力に深く敬意と感謝を表します。町公認の観光PRキャラクター『しもごろー』に妹の『ごろみ』が誕生し、初めてお披露目できました。広域パークゴルフ大会や、戦場カメラマンでジャーナリストの渡部陽一氏を招いた講演会、『Happy JAZZクリスマスライブ』なども開き、町全体で節目を祝うことができました。
町制70周年は第7次総合計画が始まった年でもあり、この節目を飛躍の年と位置づけています。先人が築いた財産を受け継ぎ、次の80年へも歩みを止めません。関係機関や町議会とともに町民一丸となって、一人ひとりが『下郷町に生まれてよかった。住んでいてよかった』と実感できる町づくりへ、決意を新たにしています」

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