わたなべ・まさよし 1958年7月生まれ。県立田島高校卒。旧田島町役場入庁後、総合政策課長、総務課長などを歴任。南会津町副町長を経て2022年4月に町長初当選。2026年4月の町長選で無投票再選。現在2期目。
――1期目の選挙戦とは異なり、今回は初の無投票での当選となりました。受け止めをお聞かせください。
「町長選への立候補にあたり、後援会を中心に多くの有権者の皆様から励ましと期待の言葉をかけていただきました。一方で、加速する人口減少への不安や地域活力の低下を心配する意見が寄せられているのも事実です。今年4月の町長選は、2006年の合併で南会津町が誕生して以来初めての無投票となり、町長としての職責の重さをあらためて痛感しています。期待が大きいだけに、結果で応える責任も大きいと受け止めています。2期目の町政運営にあたっては、議員の皆様をはじめ、町民の皆様、関係団体・事業者の皆様の声に耳を傾け、謙虚な気持ちで初心を忘れず取り組んでいきます」
――1期目を振り返り、特に手応えを感じている成果や実績は。
「公約に掲げた項目のうち、新型コロナウイルスや物価高騰への対応は、国の交付金などを活用して迅速・円滑に進められたと振り返っています。子育て分野では、保育所の入所応援助成金、学校給食支援事業、こども家庭センター運営事業の立ち上げと、従来の政策から一歩踏み出すことができました。
産業面では、ドローン活用事業として旧檜沢中学校が県の寒冷地ロボットテストフィールドとして運用がスタートしています。冬の平均気温が氷点下2・3度という厳しい気候を逆手にとった実証実験の場として歩み始めました。令和7年度からは県事業の『南会ドローン中学校』が同所で開校するなど、研究拠点の歩みが本格化しています。今後成長するドローン産業の研究の場として、さらなるものづくり企業の進出につなげていきたいです。
高齢者に対しては、デマンド交通の運行区域を拡大し、交通空白地帯の解消を進めました。観光・交流面では『星空誘客事業』を手がけました。本町には天文ファンも多く、あらためて自分たちの町の星空の魅力を再確認することができました。次のステップとして宿泊を伴う観光誘客につなげていきたいです。昨年12月末には、大火球の落下があり、南会津ほしぞらの会主催の説明会には町内外から130人ほどが集まりました。今年4〜5月に行われた隕石捜索活動がメディアで取り上げられると、県内外から多くの天文ファンが訪れました。発見には至っていませんが、本町のPRに大きな効果があったことは、宇宙からの贈り物だと受け止めています」
――これからの4年間で最優先したい課題、具体的な政策は。
「最大の課題は、急激な人口減少と若者の流出です。一方で、本町の優位性として、大地震の発生確率が低い安全性、首都圏との近さ、四季折々の美しい自然、夏でも冷涼な気候、昼夜の寒暖差が生む農作物栽培の適地性、江戸幕府直轄として栄えた歴史や文化、支え合いの精神が根付く土地柄、昔ながらの知恵と技を有する高齢者の存在があります。
これらを前面に出した町づくりを進め、町民が住み続けたいと思え、他地域から評価され、選ばれる町を目指します。
2期目の公約には『安心して生活できる場所として選ばれるまち』『子育てや教育を行う地域として選ばれるまち』『仕事をする場所や企業立地先として選ばれるまち』『観光交流体験の地として選ばれるまち』『選ばれる町を実現するための組織体制の強化』の5本柱を立てました。
データを安全に守れる土地
安心の柱では、広域幹線道路網と公共インフラの整備が欠かせません。会津縦貫南道路の田島地域までの全線開通は、物流の大動脈となるとともに、県立南会津病院から会津若松市までの救急搬送時間を大幅に短縮する〝命をつなぐ道路〟になります。来年夏には、新潟方面とつながる新たな広域道路の暫定開通が予定されており、本町への新ルートとして来訪者を呼び込む仕組みを準備します。既存の施設や資源を磨き上げ、この地域に長く滞在してもらう取り組みを進め、観光交流の柱とも連動させていきます。組織体制の強化では、課題が複合的になる中で部署横断の連携を高め、政策の実行力を引き上げます」
――過疎化や少子高齢化が進む中、活力維持と移住・定住促進のための施策は。
「移住希望者向けの相談窓口と受け入れ制度を拡充し、空き家バンクと連動した情報整理・発信を強化します。本町の暮らしを体験しながら住んでみたいと思っていただける方をサポートし、関係人口から移住・定住への流れを確実につくります。子育て分野では、本年度予算で小・中学校の学校給食を完全無償化しました。国の無償化は小学校の一部にとどまるため、町独自に中学校まで支援し、保護者の負担軽減に努めます。手厚い子育て支援センターの相談体制や独身男女の出会い創出事業も継続します。地元の南会津高校は本年度から修学魅力を引き出す支援を始めており、本町の子どもたちはもちろん、町外からも選ばれる高校になるよう支援してまいります。就労の分野では新規就農・新規林業従事者の確保が基幹産業の振興に欠かせず、本町ブランドのアスパラガスや南郷トマトを担う後継者を、研修から資材提供まで手厚くサポートしていきます。高齢で離農される農家から新規参入者へバトンをつなぐ仕組みを町としても支えます。
ドローン関連の研究機関や事業所の立地、地震被害が少ない地域特性を生かしたデータセンターのバックアップ拠点誘致も視野に入れます。都市部の企業が被災した際に大切なデータを安全に守れる土地柄であることをアピールしてまいります。
観光交流では、町観光施設の指定管理に民間活力を導入したほか、白河市と奥会津地方をつなぐ広域観光協議会も設立されましたので、周遊型の広域観光ルート構築を進めます。6月末には東武鉄道のSL大樹『土津(はにつ)号』が下今市駅から会津若松駅まで乗り入れ、YouTubeでも『52年ぶりのSL会津線走行』として話題が広がっています。台湾を中心に外国人来訪が増える只見線とともに、鉄道を活用した来訪者獲得につなげます。冷涼な気候を生かしたスポーツ合宿や企業研修の誘致も、古くから本町と縁の深い東京都台東区やさいたま市の学校、企業などと継続して進めていきます」
――最後に、町民にメッセージを。
「2期目も揺るがずに『選ばれる町』の実現に全力で取り組みます。本町が持つ優位性を磨き直し、子どもから高齢者まで誰もがいきいきと暮らせる地域にしていきます。町民の皆様、議員の皆様、事業者の皆様とともに、安全で活力ある南会津町を未来へ確実に引き継いでいきます。皆様の一層のご支援を心からお願いいたします」







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