【福島県保健福祉部】菅野俊彦 部長インタビュー

【福島県保健福祉部】菅野俊彦 部長インタビュー

経歴

かんの・としひこ 1967年生まれ。伊達市出身。筑波大学大学院修了。1990年に県職員となり、保健福祉部政策監、県立医科大学理事兼事務局長などを歴任し、今年4月から現職。

 県民の保健・医療・福祉分野全般を担う県保健福祉部。県民の健康増進のためにさまざまな事業を展開しているほか、医療・介護スタッフの確保などの課題に取り組んでいる。今年4月に就任した菅野俊彦部長にそれら課題への具体的な取り組みと成果、今年度の重点事業などについてインタビューした。

 ――今年2月に日本ベーリンガーインゲルハイム㈱と、3月にはアストラゼネカ㈱と「健康づくりの推進に関する連携協定」を締結しました。その狙いについてお聞かせください。

 「日本ベーリンガーインゲルハイムとの連携につきましては、CKD(慢性腎臓病)対策を中心に行っています。CKDは、現在、日本の成人の約5人に1人の患者がいると推定され、新たな国民病ともいわれる疾患です。腎臓は一度機能を失うと回復が難しく、腎機能の低下により、透析や移植手術が必要となることもあります。特に、初期のCKDは症状が出にくいため、健診等での血液検査や検尿による早期発見及び早期受診が重要であることから、日本べーリンガーインゲルハイムと連携し、リーフレットの作成・配布、インターネット・動画・新聞による疾患啓発を実施しています。

 また、アストラゼネカとの連携につきましては、COPD(慢性閉塞性肺疾患)対策を中心に行っています。COPDは喫煙を主な原因とし、咳や痰が続くなどの症状が現れ、患者のQOL(生活の質)が著しく低下する疾患であり、CKDと同様に、早期発見及び早期受診が重要です。このため、アストラゼネカと連携し、チラシの配布等によりCOPDの認知度向上を図るほか、医療従事者向けの講習会を実施いたします」

 ――ふくしま健康経営優良事業所認定・表彰制度について、導入の経緯と目的、現在の事業所数はいかがでしょうか。

 「福島県では、東日本大震災後、メタボリックシンドローム該当者の割合が増加し、平成26年度には全国ワースト2位(平成28年度公表)となり、中でも、働く世代のメタボリックシンドローム該当者の割合が大きいことが明らかになったことから、働く世代の健康づくり施策の重要性が示唆されました。

 そのため、従業員の健康づくりのみならず、生産性の向上や離職率の低下等にもつながる健康経営を推進することといたしました。平成30年度からは、経済産業省が認定する『健康経営優良法人』に加え、本県独自の制度として健康経営に積極的に取り組む企業を『ふくしま健康経営優良事業所』として認定し、優れた取り組みを行った企業への表彰制度を設けたところです。

 現在の認定事業所数は、令和7年9月現在492社となっており、健康経営の輪が着実に広がってきていると実感しています。さらに、今年度からはアドバイザーを派遣する伴走支援をスタートさせたほか、健康経営に取り組む企業を奨励金により支援するなど、積極的な取り組みを進めているところです」

 ――県民の健康増進に向けた取り組みとして、食生活の改善や運動習慣の定着を促すための具体的な施策について。

 「『第三次健康ふくしま21計画』では、『誰もがすこやかにいきいきと活躍できる笑顔あふれる健康長寿ふくしまの実現』に向け、『健康寿命の延伸と健康格差の縮小』を目指しています。令和6年度からは、『みんなでチャレンジ!減塩・禁煙・脱肥満』という重点スローガンを掲げ、県民一人ひとりの生活習慣の改善や生活習慣病の発症予防等の取り組みを展開しています。

 減塩については、市町村・食品関連企業等と減塩に関するネットワーク会議による連携強化やスーパーと連携したモデル事業等により、自然に健康になれる食環境整備を進めています。令和7年3月には、国と都道府県等の効果的な連携体制を組織する厚生労働省『健康的で持続可能な食環境づくりのための国・都道府県等アライアンス』に自治体として全国で初めて正式登録されたところです。

 また、運動習慣の定着を促すための具体的な施策として、無理なく楽しく健康づくりを継続できるよう、ふくしま健民アプリを活用し、体重や血圧等日々の健康状態の記録により健康意識の向上及び行動変容につなげるキャンペーンや公共交通機関と連動した取り組みなどを推進しています」

 ――福祉・介護分野の人材不足が課題となる中、若い世代が福祉・介護分野に関心を持つようにするため、どのような取り組みを強化していきますか。

 「内堀雅雄知事が全国知事会の社会保障常任委員会委員長として介護職員の処遇改善等に係る提言を取りまとめ、代表して厚生労働省に対する要請活動を行いました。また、本県の福祉・介護施設等に新たに就職した方が懇親を深めて今後の励みにしていただくために開催している『福祉・介護職員のつどい』では、参加された方一人ひとりを直接激励するなど、知事が我々職員の先頭に立ち、若手介護職員等の人材確保・定着に取り組んでいるところです。

 一方、若い世代の方に介護職の仕事の魅力ややりがいを伝え、選ばれる職業にしていくことも大切であると考えています。そのため、小学生などを対象に介護の職場見学会や親子で介護について学ぶことができる参加型イベントを実施しています。この他にも、若手介護職員による高校での出前講座や介護職への就職を希望する高校生を対象に介護職員初任者研修を実施するなど、段階に応じたイメージアップや進路選択を支援するための取り組みを行っています。さらに、今年度は、介護職の魅力や介護の職場が働きやすい環境であることを若い世代に伝えるため、若手介護職員が働く姿をテレビや動画で発信することに力を入れています」

 ――今年度の重点事業についてお聞かせください。

 「重点事業は、県の総合計画に掲げる8つの『重点プロジェクト』の下、『復興・再生』と『地方創生』を推進する具体的な取り組みです。

 保健福祉部では本県の保健・医療・福祉を取り巻く課題の解決に向け、積極的かつ効果的な事業の展開を図っており、今年度は『避難地域等医療復興事業(避難地域等復興加速化プロジェクト)32・5億円』、『ふくしま脱メタボプロジェクト事業(輝く人づくりプロジェクト)1・8億円』、『女性活躍・働く世代の健康づくり推進事業(しごとづくりプロジェクト)0・8億円』、『若者の県内定着のための看護の魅力発信事業(しごとづくりプロジェクト)0・9億円』、『介護のしごと魅力発信事業(しごとづくりプロジェクト)0・6億円』などに取り組んでいます」

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