政経東北|多様化時代の福島を読み解く

【飯舘村】出身女優が性被害告発

 飯舘村出身の俳優・大内彩加さん(29)が、「福島三部作」で知られ、双葉町に移住した劇作家・谷賢一氏(40)=石川町生まれ、千葉県育ち=から性被害を受けたとして損害賠償を求めて提訴している。谷氏は否定し、法廷で争う姿勢。別の俳優からも性被害やパワハラの証言がある。

 大内さんは高校2年生の時に東日本大震災・原発事故で被災。2018年から谷氏が主宰する劇団に客演として参加するようになる。同年夏の「福島三部作」東京公演後に谷氏からレイプ被害を受けたという。

 大内さんは「谷はハラスメントの常習犯。移住すると聞いて怖くて仕方がなかった。何も知らない福島県民や演劇が好きな人が被害を受ける前に『告発』したかった」と決意の固さを話してくれた。提訴を受けて12月に南相馬市で予定されていた谷氏作・演出の舞台が中止になったことについては、「千秋楽の後に『告発』したら見に来てくれたお客様が傷つくと考えました。後になって深い傷が生まれてほしくなかった」。

 12月末にZoomで開いた会見には、地元紙の記者の姿はなかった。共同通信の配信記事で事足りるということか。いままで散々、谷氏をもてはやしておいて被害者の声に耳を傾けないのはフェアではない。

モバイルバージョンを終了