【猪苗代町】町長・議員給料増額案で歪み

本誌前号で、古殿町議会が議員の期末手当(ボーナス)増額を否決したことを伝えた。

中学校教諭の不祥事が影響か

背景には昨年の国の人事院、福島県人事委員会の勧告がある。毎年8月に国の人事院、10月に福島県人事委員会による職員の給与等に関する勧告が行われる。昨年の人事院勧告のポイントは①民間給与との較差を埋めるため、若年層に中心に引き上げ改定、②期末手当・勤勉手当をそれぞれ0・025カ月分(計0・05カ月分)引き上げ、というものだった。県人事委員会の勧告もそれに準じたものだった。

本来、人事院・人事委員会の勧告は職員に適用されるもので、特別職(市町村長、副市町村長、教育長など)や議員には適用されない。ただ、特別職の給与、議員の報酬は職員の給与を参考に決定しているため、今回の引き上げ勧告を受け、特別職や議員の期末手当、いわゆるボーナスを増額する動きが全国的に広がった。

古殿町でも、昨年12月議会で「議会議員の議員報酬・期末手当及び費用弁償に関する条例を一部改正する条例」が執行部から提出された。ただ、同議案は賛成4、反対5で否決された。ちなみに、可決されていれば、期末手当は議長が1万7480円、副議長が1万3742円、一般議員が1万2822円のアップになる予定だった。そのほか、賛成したのは1期目、2期目の議員で、3期以上の議員は全員反対だったということも興味深かった。そうした詳細をリポートしたのが前号記事の内容である。

加えて、前述したように、今回の引き上げ勧告を受け、特別職や議員の期末手当を増額する動きは全国的に広がった。そのため、「県内のほかの市町村はどうだったのか気になる」との声もあったことから、記事では《(県内のほかの市町村は)可決なのか、否決なのか、可決(あるいは否決)したとしても全会一致なのか、ギリギリでの可決(否決)なのか。昨年12月議会で関連議案が審議されたはずだから、各議会の議事録などが公開されたら、一覧化してお伝えしたい》と書いた。

猪苗代町の対応

その後、「猪苗代町の対応も気になった」との情報が寄せられた。

同町は、昨年12月23日に臨時議会を開き、議員の報酬増額と特別職の給与増額に関する議案が出されたが、前者は可決し、後者は否決したというのだ。

「議会だより」(181号、今年1月発行)によると、「議会議員の議員報酬、期末手当及び費用弁償に関する条例の一部を改正する条例」、すなわち議員の報酬増額に関する議案については以下の反対討論があった。

安齋浩明議員▽議員報酬は、その時の経済状況等を含め総合的に検討を重ねて決定すべきもので、人事委員会勧告に連動する形で変えるべきではないと考える。

鈴木元議員▽義務的経費の割合が年々増加の一途を辿り、議員や特別職は、財務状況を見極めた上で判断すべきもの。町民目線に立った適切性の確保が不可欠である。

五十嵐ミエ子議員▽物価高騰に歯止めがかからず、町民の暮らしにも深刻な打撃を与えている。この状況の中、議員報酬を引き上げることは、町民理解を得られない。町民生活の支援の予算とすべきであり、見送るべきと考える。

一方、「町長等の給与及び旅費に関する条例の一部を改正する条例」、すなわち町長を含む特別職の給与増額に関する議案については以下の反対討論があった。

安齋浩明議員▽本町の財政は極めて厳しく、このままいけば人件費、義務的経費のみが膨らむ。まずは若者や子育て世代の給与を上げることを優先すべき。よって、現在の本町の財政状況や諸事情を総合的に判断し、特別職3役の給与を上げることは理解できない。

大高佐代美議員▽猪苗代中学校の不祥事の件で、子どもたちに動揺を与え、町民の方に不安、混乱を招いたことに関して、大人の責任として今回の条例改正に反対。

鈴木元議員▽人事院勧告制度は、公務員の労働基本権が制約されていることに対する代償措置となっている。特別職については反対。

五十嵐ミエ子議員▽先の議員報酬等に関する条例の改正と同様の理由で反対。

いずれも反対討論のみで賛成討論はなかった。こうして、討論が行われた後、採決が行われた。賛否一覧は別掲の通りで、議員報酬については、6対6の同数となり、後藤議長の議長決裁により可決された。町長等の給与については、賛成5、反対7の反対多数で否決された。

賛否一覧

議員報酬改正町長等給与改正
長 友 海 夢賛成反対
山 内 浩 二賛成賛成
鈴 木   元反対反対
大 高 佐代美反対反対
渡 部 一 登賛成賛成
星 野 あけみ賛成賛成
瀧 田 勝 昭反対賛成
佐 藤 英一郎欠席欠席
長 澤   操反対反対
渡 辺 真一郎賛成反対
五十嵐 ミエ子反対反対
関 沢 和 人賛成賛成
安 齋 浩 明反対反対
後 藤 公 男賛成――


町長等の給与については、反対討論にもあったように、昨年12月11日に猪苗代中学校に勤務する男性教諭(28)が盗撮目的で男子トイレに入ったとして、建造物侵入の疑いで、逮捕される事件があった。これを受け、「いまは給与改定すべきではない」といった判断もあり、反対者が上回った。

とはいえ、結果だけをみれば、議員が自らの報酬増額は可決したのに、町長など特別職の給与増額は否決したということになる。

実際、皮肉たっぷりに「ウチの町議会はすごいでしょ。自分たち(議員)の報酬は上げたのに、町長・副町長らの給与を上げるのは許さないんだから」と話す町民もいた。

議員はそういった目を向けられていることを認識した方がいい。

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