生活困窮世帯への支援活動を応援している本宮市商工会は8月5日、市内の「子ども食堂」運営団体や「本宮市社会福祉協議会フードバンク」事業に対し、活動支援品を贈呈した。活動支援品は会員事業所などが提供したもので、寄付金約59万円のほか、コメ(玄米)90㌔、冷凍食品や飲料、規格外の卵、タオルなど、多岐にわたる品目が贈られた。同商工会では毎年2回支援品を贈呈している。
支援品を受け取ったのは本宮市社協のほか、▽子ども食堂「コスモス」▽一般社団法人金の雫「みずいろ子ども食堂」▽社会福祉法人安積福祉会しらさわ有寿園「こころ食堂」▽NPO法人東日本次世代教育支援協会NA―PONハウスふくしまキッズエコ食堂▽「a sobeba lab」(ア・ソベバ・ラボ)――の5団体。
同日、本宮市商工会館で支援品贈呈式が行われ、本宮市商工会の渡邉弘一会長は「この活動は今年で4年目を迎える。物価高騰で子ども食堂の運営は大変だと思う。支援の輪は広がっており、今後も活動を継続していきたい」とあいさつした。
出席した子ども食堂の関係者が支援への謝辞を述べ、活動内容を報告。その後、意見交換会が開かれ、現状や課題について意見を交わした。
意見交換会で特に印象的だったのが、コメ確保の苦労や寄付してもらえるありがたさを語る団体が目立ったことだ。
農林水産省では、ごはん食を通じた食育推進のため、子ども食堂や宅食、フードバンクに政府備蓄米を無償交付しており、その制度を活用している団体もあった。
ただし、参加団体からは「昨年まで玄米で送られてきたが、今年は白米で600㌔が届いた。保冷庫はあるが、結露によるカビが怖いので、早めに配布せざるを得ない」との声が上がった。そのうえで、商工会に対し「直接配るのがルールなので、商工会のイベントで配布ブースを設けられないか」といった相談があった。別の団体からも「この暑さで貴重なコメに虫が発生しないよう、管理に特に注意している」といった意見が寄せられた。
主食であるコメは子ども食堂にとって必要不可欠な食料品だが、「令和の米騒動」の余波を受け、翻弄されている様子がうかがえた。
生活困窮世帯を支援している本宮市社協の担当者は「お金に困って社協に相談に来る人が多い。生活支援として食料を渡すケースは年間100件に上る」と報告した。
相談内容はさまざまで、「老齢年金や障害年金の支給日直前で生活費が足りなくなった」、「県外から派遣社員として働きに来たが、初任給まで日数があり食料が尽きた」、「派遣社員をやめたらすぐに寮を出るよう迫られ、住む場所もお金もない」といった事例が確認されたという。
このほか、「女性から生理用品を求める声があった」、「トイレットペーパーやシャンプーなど生活用品を買うお金がないようなのでもらえると助かる」といった具体的な要望も各団体から寄せられた。
今回の意見交換会は昨年に続いて開催されたもので、貧困問題と向き合う現場の声を直接共有できる貴重な場と言える。経済界が先頭に立って子ども食堂を応援し、地域振興につなげようとする同市の取り組みに、引き続き注目していきたい。

























