よしだ・えいこう 1963年12月生まれ。双葉高卒。県議を5期務め、自民党県連幹事長、県議会議長などを歴任。2022年7月の浪江町長選で初当選。今年7月に再選を果たす。
――無投票で再選を果たしました。率直な感想を。
「1期目の4年間を振り返って強く感じるのは、私一人でできることではないということです。プロパー職員も応援職員も含めて職員力を発揮していただき、多岐にわたる複雑な復興事業を前へ進めることができました。2期目もその職場環境をしっかり作っていくことが、町長としての私の務めです。また、この間、双葉郡内で先行して避難指示解除された地域の歩みも間近に見せていただき、その経験が浪江の復興を加速させる糧になっています。一方で、いまだ解除になっていない帰還困難区域の課題を抱えています。特定帰還居住区域は2020年代の避難指示解除を目指すという国の方針が示されていますが、大事なのは解除の先です。家屋解体・除染の先に、その地域の復興と振興をどう描いていくのか。これまでは解除そのものにエネルギーを注いできましたが、2期目の4年間は、今まで以上に複雑で限られた時間の中で、さまざまな政策を打ち込んでいかなければなりません。責任の重さは1期目以上だと受け止めています」
――2期目で特に優先する最重要課題は。
「まずは1期目に立ち上げてきた復興事業を、一つ一つ着実に前へ進めることです。復興はまさに多岐にわたります。子育て、教育、医療、産業、そして帰還環境の整備。どれも欠かすことはできません。ありがたいことに、なみえ創成小・中学校は子どもたちが増えており、増築を検討するほどです。企業誘致も順調で、既存の工業団地はほぼ埋まりつつあります。現在計画中の浪江インターチェンジ周辺の産業団地は、第1期が約15㌶、第2期は約45㌶を見込んでおり、事業採択までしっかり持っていきます。企業の誘致はまちのエンジンです。帰還困難区域の課題解決に向け、役場内に専任を設け、集中的に取り組んでいきます」
――F―REI(福島国際研究教育機構)の本格稼働を見据え、研究者・企業を呼び込む基盤整備や地元雇用・産業振興への連動策は。
「F―REIは現在、研究開発が先行して進んでおり、町民の皆様には見えにくい段階かもしれません。しかし今後は研究施設建設が逐次始まり、目に見える形になっていきます。まちに新しい人の流れが生まれるチャンスでもあります。並行して町は、身の丈に合った基盤を、どんな順序で整備すべきかを考えなければなりません。世界に誇れる研究拠点を目指すのであれば、県内はもちろん、東北や関東の経済圏を視野に入れた広域的な考え方も必要です。F―REIの立地により、町行政がこれまで経験したことのない環境変化が間違いなく起きます。それにどう対応するかを町長として判断していく4年間になると思います。研究はやがて実証から実装、実用化、そしてビジネスへとつながっていきます。開発された技術を民間事業とどう結びつけるか、マネジメントを担う事業者も必要になるでしょう。そうした受け皿を浪江に育てていくことが、地元雇用と産業振興への一番の連動策だと考えています」
駅周辺再開発への期待
――農業面ではスマート農業の先導地域にしたいとのことですが。
「浪江の復興の基本は一次産業の復興だと考えています。元来、この地域は農業、林業、漁業の一次産業のまちです。漁業は着実に前へ進んできました。農業は優良農地の圃場整備を進めており、10年後には一定の姿が見えてくると想像しています。スマート農業の先導的な地域にしたいという思いは変わりません。担い手が限られる中で営農を再開し、面積を広げていくには、省力化と効率化の技術が欠かせないからです。欠けているのは林業です。町域の約8割は森林であり、この林業を今後どう再生していくかが大きな課題です。私が思い描くのは、F―REIの科学的な知見と地域の一次産業をミックスした形です。荒廃した農地の再生も含め、農業、漁業、林業がしっかりと絡み合い、自然豊かな地域の一次産業が支えるF―REI、F―REIが支える地域産業といった相互関係を想像しながら、この4年間を進めていきたいと思っています」
――JR浪江駅周辺の再開発事業が進められています。
「工事はすでに発注され、商業施設、住宅、駅舎、そして駅西側の開発を含めて着実に進んでいくものと考えています。駅周辺はまちの顔であり、人が集い、にぎわいが生まれる拠点です。ただ、これだけの大きなプロジェクトですから、資材高騰などによって新たな課題も出てくるかもしれません。それらを一つ一つ整理しながら、着実に整備していきます。町民の皆様、特に高齢者の方々からは『早く変わった浪江のまちを見てみたい』という声を多くいただいています。その思いに応えるためにも、しっかりと形にして、皆様に新しい駅前をご覧いただきたいと考えています」
――来年の県議選に向け、双葉郡の定数削減議論が進んでいます。
「私は県議会議長の時に、震災特例の法律を整備していただき、選挙区を維持した経験をしています。当時も今も変わらないのは、東日本大震災だけでなく原発事故という複合災害が起きたこの双葉郡を代表する県議が必要だということです。国勢調査の結果を受けて検討委員会が開かれ、定数の考え方が示されたことは、議長を経験した立場として尊重しなければなりません。ただ、申し上げたいのは、被災地の双葉郡選挙区をしっかり守り、維持・堅持していただきたいという強い思いだけです。検討委員会で協議が進められていますから、これ以上は申し上げません。国に対しては、まず選挙区の在り方は県議会で議論されるべきものですが、原発事故がなければこんなことにはならなかった特別な地域だという点は、しっかり伝えていくことが大事だと考えています」
――今後の抱負を。
「震災から15年が過ぎ、次の節目である20年へ向けて、責任をしっかり果たす舵取りの4年間になります。2期目のスタートに当たり、あらためて身の引き締まる思いです。私たちは国民全体に復興税というご負担をいただき、ここまで支援していただきました。その支援に報いられる浪江町をつくらなければなりません。あと4年ですべてを仕上げるのは正直難しく、今はまだ光の部分と影の部分の両方があります。それでも4年後には、町民の皆様、そして県民の方々から『よくここまで来たな』と一定の評価をいただける地域にしたいと思っており、それが私の目標です。原発事故への対応は今後も長期にわたりますが、この地域の将来像を見据えながら、全力で町政のかじ取りを担ってまいります」

























