大阪市の人工島「夢洲」で開催された大阪・関西万博は10月13日、184日間の会期を終えて閉幕した。会期中の入場者総数は2557万人に上り、運営収支は230~280億円の黒字と見込まれている。
復興庁や経済産業省による福島復興展示、東北絆まつりなどのイベントが催され、福島県に関する情報が多く発信されたが、県民にとっては遠方で気軽に行けない場所であり、映像で雰囲気を味わうしかないという人も多かったのではないか。
そうした中、楢葉町議会9月定例会では、総務環境常任委員会と経済福祉常任委員会の合同視察として、関西方面に行くことを決議。旅程に万博会場も含まれていたことから、「観光目的の色が濃い視察だったのではないか」と町民の間で疑問の声が上がっている。
「議案が発議された際、松本明平町議(2期)が『住民の理解が得られるのか』と疑問を呈したが、賛成8、反対1の賛成多数で可決された。『最初から万博目的で視察を決めたのではないか』とささやかれています」(楢葉町在住の年配男性)
同町議会事務局に確認したところ、合同視察は10月8日から10日までの日程で行われた。
初日は茨城空港から飛行機で移動し、阪神・淡路大震災の教訓を学ぶため、淡路島の野島断層や関連施設を見学した。2日目には同町でさつまいもファームを運営する白ハト食品工業(大阪府守口市、永尾俊一社長)の本社・工場を見学した。
3日目には同社が大阪・関西万博会場内に出展している「らぽっぽファーム」のイベント「さつまいも収穫祭」に出席した。同ファームでは楢葉町産の苗を可動式コンテナを活用して栽培しており、未来型農業として紹介していた。そこで育てられたサツマイモを収穫するイベントに合わせて、町議らが万博会場を訪問したのだ。収穫祭には松本幸英町長も出席した。
もっとも、万博を満喫したわけではなかったようで、朝9時からの収穫祭に参加後、1時間ほどで会場を後にし、帰途についたという。
同町議会では2年に1度、視察研修を実施しており、150~160万円の予算を組んでいる。同事務局によると、今回の旅費はその金額を下回る規模になる見通しとのこと。
町民から疑問の声が出ていることについて、青木基議長はこうコメントした。
「本町は避難指示解除から10年の節目を迎えました。復興に向けて甘藷(サツマイモ)の一大産地化を目指していますが、そうした中、白ハト食品工業グループが大阪・関西万博で楢葉町産のサツマイモの苗を栽培してくれていたので、どのように展示・発信されているのか確認するために視察に行ったのです。収穫祭当日は多くのメディアが取材に訪れ、国内外で報道されました。決して物見遊山の視察というわけではありません」
ただ、町民の間では「松本町長も足を運んだのに、わざわざ議会が行く必要はなかったはず。やはり観光目的の色が濃い視察だったのではないか」(前出・年配男性)と疑問視する声が根強い。
ちなみに、9月定例会では前出・松本町議が質問しようとしたところ、宇佐見雅夫町議(4期)や草野公雄町議(5期)から異論の声が上がり、紛糾したまま、質問、討論が打ち切られ、議案が可決される一幕があった。松本町議は一連の経緯を議員活動の妨害と受け止め、合同視察を欠席した。
視察と称して大阪・関西万博を見学している議会は他にもあるかもしれない。あらためて県内市町村議会の視察実態も調べてみたい。

























