議員提案で2減の定数20を可決

二本松市議会は昨年9月、「議員定数等調査特別委員会」を設置し、議員定数や議員のなり手不足対策等について調査を実施してきた。現在の同市議会の定数は22(欠員1)だが、人口減少などを理由に、議員定数のあり方を考えるのが流れになっている。なお、同市議会の任期は来年6月までで、それを前に定数などについての調査を行うのが同委員会の目的。今年8月までに10回の委員会を開催し、9月議会で委員長報告が行われた。
同委員会ではまず、議員定数、議員のなり手不足対策に関する市民アンケートを実施した。アンケート用紙は18歳以上の市民から無作為に抽出された1000人に郵送した。市内各種団体に協力を依頼したほか、市議会ウェブサイト、市議会だよりで周知したところ、678件の回答を得た。
その中で、議員定数については、「減らすほうがよい」が76%、「現状維持」が7%、「増やすほうがよい」が6%、「わからない」が11%だった。
委員長報告によると、「減らすほうがよい」との回答の理由は、「人口減少に伴い議員定数減が妥当」、「議員の数を減らすと市民の声が届かなくなるというが、議員は地域の代表ではない」などだった。一方、「現状維持」や「増やすほうがよい」の理由は、「各地区の現状を把握している議員が少なくとも1人は必要」、「議員が少なくなると市民の声が届きにくくなる」などだった。
そのほかのアンケート項目、結果は次のとおり。
議員報酬
減額したほうがよい▽38%
現状のままでよい▽36%
増額したほうがよい▽15%
その他▽11%
議員の活動内容
知っている▽14%
一部は知っている▽50%
知らない▽36%
議員の仕事に魅力を感じるか
感じる▽13%
感じない▽56%
わからない▽31%
市議会議員として活動したいか
ぜひやってみたい▽3%
条件が整えばやってみたい▽22%
やりたくない▽75%
議員の活動内容の周知不足や、議員という仕事に魅力を感じられない実態が浮き彫りになった。
詳細意見としては、議員報酬に関しては「減額」の理由として「一般のサラリーマンより、はるかに高い収入」など、「現状維持」は「減額することで議員のなり手が減る」など、「増額」は「議員定数を減らし、仕事にやりがいが感じられるよう大幅増額した方がよい」などの意見があったという。
議員の活動内容については、「知っている」活動内容として、「地域活動や要望の取りまとめ」など、「知らない」は、「どのように会議をしているか知らない人が多い」など。
議員の魅力については、「感じない」との回答理由として、「サラリーマンとの兼業は困難」、「自営業者でないと議員活動との調整が難しい」など、「感じる」との回答理由は、「市民の代表として、二本松市を良くするために最前線で働ける」などがあった。
市議会議員として活動したいかの項目では「やりたくない」と答えた理由は、「政治にも政治家にも期待していない」などがあり、「ぜひやってみたい」、「条件が整えばやってみたい」との回答理由は、「地域のために貢献したい」、「報酬が上がればやってみたい」などがあった。
意見集約に至らず
同委員会ではこのアンケート結果を踏まえ、県内の状況や、全国自治体の議員定数に関する調査結果などを参考にしながら、調査・検討を進めた。
同委員会で「議員定数を減らすべき」との意見の中では、定数18(現行から4減)、あるいは20(同2減)が多かった。その理由は「市民アンケートで約76%が減らすほうがよいと答えていることを重く受け止めるべき」、「人口5万人未満の市の全国平均が16・8人で、議員定数は削減すべき」、「定数を削減しないということは、アンケート結果を軽視することとなり、説明責任を果たせない」、「市の財政状況を考えると、議員自ら定数削減すべき」というものだった。
一方、「現状維持」の意見では、「現在の議員数であれば、過疎地域にも目が届き、多くの民意を市政に反映できる」、「議員定数を削減してしまうと、委員会審査が手薄になり、二元代表制が崩れてしまう」、「議会は地方公共団体の意思決定機関であり、議員定数を減らす議論よりも、むしろ議員の質を高めるべき」、「1年間という短い期間の中で結論を出すのは危険」などが挙げられた。
委員長報告によると「当委員会の進め方として、委員会の意思決定については全会一致を基本としていたことから、委員会としての合意形成 を図るべく、幾度もの協議・検討を重ねてきたが、『定数削減』、『現状維持』の双方の考え方に変化はなく、結果として議員定数に関する意見を一本化するには至らなかった」とのこと。
つまりは定数を削減する・しないの結論には至らなかったということである。
そのほかの項目については次のように言及された。以下は議員定数等調査特別委員会の調査報告書より。

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議員のなり手不足に関しては、多くの委員が「今後の大きな課題」という認識を持つ中で協議を進めてまいりました。
二本松市議会では、平成30年3月定例会で議員定数を26人から22人に削減して以降、平成30年6月及び令和4年6月に市議会議員一般選挙が行われましたが、いずれも定数より1人多い立候補者数にとどまり、今回のアンケート結果を見ても、75%の方が「議員をやりたくない」と回答しています。こうした状況の中、各委員の意見として共通していたのは、議員の年金問題であります。現在、就業者の9割を会社員等の被用者が占める中、議員のなり手についても会社員等からの転身が期待されており、切れ目なく厚生年金の適用を受けることができれば、将来を心配することなく議員に立候補できると考えられるため、令和7年6月定例会において、議員提出議案「厚生年金への地方議会議員の加入を求める意見書の提出について」を全会一致で可決したことは、当委員会におけるひとつの成果であったと捉えているところであります。
このほか、「子ども議会や女性議会の開催」、「議員定数の削減と議員報酬の増額」、「夜間議会の開催」、「立候補を考えている方を対象とした議会セミナー」など、様々な意見が出されたところでありますが、当委員会としては、議員の仕事をより多くの方々に知っていただくため、まずは子ども議会や女性議会など、できるものから速やかに進めていくべきであるとの結論に至ったところであります。
最後に、説明責任についてであります。
アンケート調査を実施したところ、市民の皆様や各種団体の皆様のご協力により、多くの貴重なご意見をいただくことができたことから、こうした方々に対しては、当委員会での協議内容を十分に説明する必要があるという意見で一致し、説明責任を果たすための具体的な方策について協議を行ったところであります。
その結果、市議会だよりや市議会ウェブサイトを活用しながら積極的に周知を図ることとし、市議会だよりに協議結果の概要を掲載するほか、市議会ウェブサイトには「調査報告書」の全文を掲載、さらにはアンケート調査にご協力いただいた各種団体に対し「調査報告書」及び「委員長報告」を送付するという内容で意見がまとまったところであります。
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議員定数議論の本質
要は、議会を知ってもらうための取り組みを進めていくということだが、肝心の定数については前述したように、意見の一本化には至らなかった。正直、どう捉えていいか分からない結果だが、9月議会最終日の本会議で、議員提出議案として定数削減の条例改正案が提出された。提出者は小林均議員で、定数を2減の20とする条例改正案だった。これに対し、菅野明議員が反対討論を行った後、採決が行われた。結果は賛成10、反対10の同数となり、議長採決で可決された。
ある関係者はこう話す。
「『議員定数等調査特別委員会』は、定数を削減するかどうかを決めることが目的ではなく、あくまでも調査することが目的だった。だから、委員会で削減派と現状維持派で意見が分かれ、一本化に至らなかったものの、委員会議論の結果報告を受け、議員から定数削減の条例改正案が出されるのはいいと思う。ただ、9月議会初日(2日)に委員長報告があり、それから間もない最終日(19日)に条例改正案を出すのはどうなのか。今回の委員長報告を受けて、市民との意見交換などを経てもっと深く議論してから、というのが道理ではないか。委員長報告では『人口5万人未満の市の全国平均が16・8人だから議員定数は削減すべき』との意見があったとのことだが、だとしたらなぜ20人なのか。拙速に決めるから、そういう『?』と思うようなことが出てきてしまう」
前述したように、現在の同市議会の定数は22で欠員1。今年11月の市長選に合わせて議員補欠選挙が行われる。9月議会で定数を20とすることが決まったが、それが適用されるのは来年6月の市議選からで、現在の欠員1を補充する形になる。ただ、11月の補選で当選しても任期は半年ちょっと。しかも来年の本選では定数が2減となるわけだから、補選に立候補する人はいないのではないかと思ってしまう。
それはともかく、本誌では以前から、議員定数削減には否定的で、むしろ議員は増やすべきと指摘してきた。その場合、議員報酬を下げ、全体の議会費が上がらないようにすることが求められる。同時に、仕事(会社勤め)をしていても議員になり、その務めが果たせるよう、選挙のあり方、さらには議会開催の方法なども変えていかなければならない。
議員定数議論に正解はない。強いて言うなら、「住民にとってどんな形が有益か」ということが正解になる。議員定数を減らすことが住民にとって有益ならそれでいいし、本誌が主張するように、議員・議会へのハードルを下げ、もっとフランクに議論できるような仕組みをつくる方が有益ならそうすべき。議員定数議論の本質はそこにしかない。
























