原発賠償「事業者負担金」の全容

原子力損害賠償・廃炉等支援機構は3月31日、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づく原子力事業者の2025年度の負担金の詳細を公表した。福島第一原発事故に伴う賠償金の支払いが滞らないようにするため、同機構が必要な資金を一時的に立て替え、原子力事業者に負担金を課して回収するための制度だが、そこには被害者(賠償金を受け取る側)を気に病ませる構造的な課題がある。

被害者を気に病ませる構造的課題

原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づく、原子力事業者の2025年度負担金の詳細に触れる前に、同制度の仕組みついて簡単に解説しておく。

東京電力福島第一原発のような賠償範囲が大きな原発事故が発生した場合、その費用は一時的に国が立て替える形になる。

今回の原発事故では、2011年9月に「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が設立され、国は同機構に交付国債(発行限度額15・4兆円)を付与した。同機構は東電から資金交付の申請があれば、その中身を審査し、交付国債を現金化して東電に交付する。東電は、それを賠償費用などに充てている。

要するに、東電は賠償費用として、同機構を通して国から最大15・4兆円の「借り入れ」が可能になっているということ。被災者の早期救済、すなわち賠償金の支払いが滞らないようにするため、こうした措置が取られている。

そのうち、東電は今年3月25日までに、11兆4832億円の資金交付を受けている(同日付の東電発表リリース)。一方、東電の賠償支払い実績は約11兆6695億円(3月27日時点)となっており、金額はほぼ一致している。

利息分は国民負担

この「借り入れ」の返済は、各原子力事業者が同機構に支払う「負担金」が充てられる。今回、その2025年度の詳細が公表されたわけである。内訳は別表のとおり。

一般負担金の内訳

原子力事業者負担金額負担金率
北海道電力64億6614万円3・32%
東北電力106億6268万円5・48%
東京電力HD675億5017万円34・70%
中部電力178億8059万円9・18%
北陸電力56億7563万円2・92%
関西電力397億6796万円20・43%
中国電力51億7453万円2・66%
四国電力77億5512万円3・98%
九州電力196億2519万円10・08%
日本原子力発電118億3212万円6・08%
日本原燃23億0520万円1・18%
※原子力損害賠償・廃炉等支援機構発表の資料を基に本誌作成。1000円以下切り捨て


計1946億9537万円に上り、これを「一般負担金」という。2024年度も各原子力事業者の負担金は同額だった。

そのほか、今回の事故の〝当事者〟である東電は「特別負担金」というものを収めている。東電の財務状況に応じて、同機構が徴収するもので、2025年度は400億円とされた。ちなみに、2024年度は700億円だった。今期、東電が今後の廃炉に必要な費用を計上したことで連結決算が大幅な赤字となったことを踏まえ、前年度から300億円減額された。

一般・特別を合わせた負担金の合計は約2300億円で、これを前述した交付国債からの「借り入れ」の返済に充てている。

ここで問題になるのは、国は交付国債の利息分については負担を求めない、とされていること。つまり、利息分は国の負担、言い換えると国民負担ということになる。当然、返済終了までの期間が長引けば利息は増える。

「借り入れ」上限が15・4兆円で、返済が年約2300億円(2025年度)だから、このペースだと完済までに60年以上かかる計算。それに伴う利息分は2000億円前後と試算されている。

なお、交付国債の上限額は、当初は5兆円だったが、2014年に4兆円が追加され、計9兆円になった。さらに、2017年に4・5兆円、2025年に1・9兆円が追加発行され、累計で15・4兆円になった。場合によっては、今度さらなる追加があるかもしれない。そうなると、利息分も増える可能性がある。

この仕組みを理解している人がどれだけいるかは分からないが、原発賠償を受ける側は意外と気にしている。以前、旧避難指示区域の住民はこう話していた。

「毎年、負担金のニュースが出ると、完済にはどのくらいかかるのか、それに伴って利息分の国負担(国民負担)はどうなるのか、ということが合わせて報じられます。それに伴って、われわれ(原発賠償を受ける側)への風当たりが強くなるのです。もっとも、表立って何か言われることはありませんが、ネットニュースのコメント欄などを見ると、そう感じてしまいます」

被災者の迅速な救済のためにつくられたこの仕組みだが、返済の長期化は避けられず、それに伴い、国民負担が増加していく側面を持っている。「負担金が確定し公表された」という何気ない(?)ニュースだが、その裏には構造的課題があり、賠償を受ける側がそれを気にしている実態があるのだ。

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